べっぴんさんの憂鬱

もっそい美人がな、

でっかい車を運転しとってん。


いとも簡単に。


私なんかコンパクトカーと呼ばれるヴィッツを、

ヒヤヒヤしながら運転しとるってのに、

その美人はエルグランド。


コンパクトカーヴィッツでも、

隣をバスが通ったりなんかしたら、

「あぁ、もうアカン…潰される…」

って気持ちになんのに、

エルグランドの美人ったら、

なんの迷いもなくバスと行き違うの。


美人ってのはさ、

なにをやってもうまいこといくようになってると思うねん。


道だって譲ってもらえるやろうし、

いじめられたりしたこともないやろうし、

うんこだって踏んことないんちゃうやろか。


どんだけ花粉が飛んどっても、

マスクするだけで鼻汁祭りから開放されてさ。


いいよね。

美人って。

得だよね。


ふだんナルシストな私が、

今日はなんでこんなに卑屈かって？


実は昨日、

友人の友人のお店に行ってきてんけど、

友人ったら、友人に、

「べっぴん連れていくから！」

ってゆうてたらしいわ。


友人の友人ったら、

友人のゆうことを信じて、

友人の連れてくる友人の私を、

楽しみにしてたらどうすんのさー!!

と。


前日にそれを聞かされた私は、

晩ご飯のたこ焼きもあんまり喉を通らず、

20個ほど食べただけで、

スナック菓子を食べ始めてん。


明日までに痩せへんかなー

と思いながら。


痩せるんは不可能やと気づいた私は、

翌朝、早めに起きて化粧をがんばることに。


つけマツゲにチーク。

口紅塗ったらオバケになるから塗らない。

完成♪

と鏡を見ると、

そこにはおかめさん。




わぉ。


顔はもうしゃーないわ。

キレイな服着よう。

破れてないやつで、染みのないやつ。


で、

フリフリのレースのついたブラウスに、

キラキラのボタンがついたカーディガン着て、

宝石のついたパンプスを履いたの。


それを見たうちのダンナが一言。

「どっか踊りにいくん？」


そのままでかけ、

友人に拾ってもらい、

友人の友人のお店へ。


友人「ほら、べっぴんさん連れてきたで」

メメ「どうもー、べっぴんでーす」


誰か、

私を助けて。