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フロンテレーシングKITの ピストン   Si(ケイ素)を18%

2020-09-06 17:12:06 | スズキーフロンテのレーシングKIT
SUZUKI フロンテ レーシングKIT  5
フロンテレーシングKITの ピストン   Si(ケイ素)を18%

レース用ピストンは当初、STDの素材を使って、リングのみ摺動抵抗の少ない、板厚0.8mmに変更し
出力向上を狙った、3気筒、120度クランクの為、細いリングを曲げずにシリンダーのセットするのが難易
でした、特にミニフォーミューラの実車での組み込みは大変でした。
ベンチでの出力テストやFJ360(車重200Kg台)のレースによる、
ピストン頭部のクラックは有りませんでしたが、セダン(フロンテクーペ、440Kg)のレースでは、1レースでピストン
頭部にクラックが入ってしまいました、駆動する重量が違うようです、とりあえず、クラック部位に裏リブ
を追加しましたが、再レース後、クラックはリブの中央を走り寿命は延びましたが、NGですね
ピストンの表面は黒く、Si(ケイ素)の黒い結晶が見えているようです、Siの含有量は23%以上
で、Siは硬く摩耗しないので、市販車の仕様に合っているようです。半面脆いので高出力の
爆発圧力に耐えられなくピストンにクラックが入ってしまうようです。 GPマシンのピストンをじっくり
観察すると、表面が白くSiの含有量が少ないようです。Siを18%に変更し試作しました
白いピストンが出来てきて、フロンテクーペに組込みレースに投入し確認しました、OKでしたね

ピストンの頂部は燃焼熱により400度近くになります、スカート部は100度程度、燃焼時、ピストンの頭部
ピンボス部、スカート部はシリンダーに均等に当たらないと、首を振ったり、焼きついたりします、熱膨張
違いにより、常温でのピストン形状は釣鐘状になっていて、頭部の径が小さいです
その上、ピンボス部の断面は楕円になっていて、ピン軸の方が小径です、その楕円形状は実走で
ボス部の’アタリ’をメカが目視で確認し’アタリ’をとる作業を丹念に行います
短冊状に切られた耐水ペーパーを親指に挟んでピンボス部に目視される’アタリ’を研削するんです、
ピンボス部が楕円になるように、小僧の我々(私や阿部)はその作業を眼でみてメカ(我々にとって
は神様)の手作業を眼で見て覚える(どの位の指圧で、何回研削するか)んです。

私の次の仕事はそのピストンを図面にします、スズキは”凄いん”です、ピンボス部の楕円形状を
精密測定しデーターを持って試作の旋盤屋さんに、このピストンを作りたいですと相談するとピストンの
加工手順(方法)を教えてくれます、加工する為の適切な寸法の入れ方も、楕円カムの加工方法、
チャッキングの位置(仕方、方法)等等。また楕円測定データーを見て、この形状はRA125
(ワークス・MX125)と同じだと、カムは流用できるそうです、”凄い”ですね、神の手が削った形状が
現ワークスと同じなのと、旋盤屋さんが即判断したのも、熟知してるんですね
そして”凄い”のは、入社そこそこの小僧(自分)をしっかりと現場から鍛えてくれてるんです。

そして、RA125のカムを流用した、フロンテレーシングKITのピストンを出図し加工してもらいました
私は図面を書くときは、基準点(線)を決め、加工するのに必要な寸法を記入し、加工者に計算
させないように心がけています。


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