cowboy-平松の部屋

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'87RS125Rのアルミフレームの話し

2019-09-28 17:16:44 | アルミ(材料等)の話し
アルミ(材料等)の話しー1

アルミ材料の話しNF4(HAZ-2とロストワックス製法の話し)

NF4(’87RS125R)を鉄のフレームで作るつもりはなかった。鉄なら 100円/Kg、アルミなら1000円/Kg
と材料費は鉄の方が安いが、現RS125Rのような鉄パイプフレーム(小径丸パイプを組み合わせた
スペースフレーム)は加工工程が多く、複雑でコストメリットが無い、また、技術的アピールするものが無い。
それで私が考案したツインチューブ構造なら構成部品も少なく、ヘッドパイプ、ピボット部(工法)を工夫し
左右対の矩形パイプで合体させれば面白いフレームが出来そうです。
チャンスはあるもんですね、材料屋(3K)に自分と同じに ノッテ 居る奴がいましてね、ヘッドパイプ、
ピボット部に新材料の”HAZ-2”を使おうと言うんです。HAZ-2はA7N01と同成分の鋳物-熱処理
材です、T6処理後、溶接部は時効硬化しT4相当に戻る、高強度のアルミ鋳物材です。でも、湯流れ
が悪い為、通常の鋳造では出来ません。”ロストワックス”という製法で作ります。 説明いたします
ロスト(失う)ワックス(蝋=ロウソク)製法とは、たとえば、海老の天ぷらをイメージして下さい。海老を
小麦粉液に漬けパン粉をまぶしまて、油で揚げると海老天になります。その海老をワックス(蝋=ロウソク)
でつくって、油で揚げて(炉に入れて)ワックスを溶かし出すと、パン粉の殻(ころも=”鋳物の型”)の
中に海老の空洞ができます。 海老の空洞を作ると同じ工程で”鋳物の型”を製作し溶けた金属
を注入する工法がロストワックス工法です。実工程は温度の高い炉(窯)の中で金属を注湯しますので、
1個作る訳にいきません、ワックスで作った中心軸(木)の回りに、炉の入る個数分のワックス(製品、葉)を
ぶらさげる(木の枝葉の様にワックスでつなぐ)とクリスマスツリーの様に見えます、これをツリーと呼んでます。
これからが海老天と同じ(作業手順)です、ツリーを小麦粉液の様な液体に漬けます、液体から出して
パン粉の様な鋳物用砂を吹き付けます。炉に入れて、鋳物の型を焼結(炉に入れる)すると共に
ワックスを溶かし出します。加熱された鋳物の型に、溶けたHAZ-2をを注入します。型も熱いですし
型の厚さ(ころも)も薄く型内のエアーも抜け易く、湯流れの悪い材料も容易に鋳造できる訳です。
私はロストワックス工場のロビーで、アルミのトンボ(鬼ヤンマだっと思います)と、アルミの戦艦大和(ベースは
プラモデル)を見ました。このロストワックス製法でハンディーカメラの肉薄のボディーやターボエンジンのインペラー
(ステンレス製、耐熱強度はあるが湯流れが悪い)も作られてます。精密鋳造で0.2mm単位の公差で
鋳造できます。NF4のメインフレームBODYは、カットと曲げ加工された左右対の矩形パイプ、ロストワックス製
のヘッドパイプ+ガセット部、ロストワックス製のピボット+クロスメンバー部の4点で構成され、溶接部のインロー部は
精密鋳造なので、摺り合わせ加工等は不用、4か所を1周溶接するだけで完成です。
アルミ溶接の強度は溶接長さによります、幅の狭い矩形パイプで長手方向に溶接できるので、
アルミツインチューブには向いているようです。パイプフレームですとヘッドパイプと2対のパイプ(アップ、ダウン)を
補強するガセット(プレス)で構成されますが、ツインチューブは一体鋳造できます、加工工数削減でき
アルミ鋳物ツインチューブのメリットをだしました。