cowboy-平松の部屋

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RCB400

2019-11-27 18:08:27 | 開発したBIKE-HRC編
開発したBIKE HRC編ー3

RCB400、  RCB400の雑誌記事を紹介します。結構記載されてますよ。

 RCB400の真実 マーケットからの要望で直4プロジェクト誕生、RVF400を凌駕するために、車体幅を
 狭めコンパクト化を極める異色のレーサー
2008、12月、372号、別冊モーターサイクリスト、2輪用モノコックフレームの真実⑤、100P~101P
 並列4気筒の復権を期した幻のマシンホンダRCB400 常勝RVF400が君臨するF3界に直列4気筒
 市販車CBR400RRのレースプロモーションを目的として開発された
2009、1月、373号、別冊モーターサイクリスト、2輪用モノコックフレームの真実⑥、150P~151P
 それは、世界でたった1台きりのスペシャルマシンだった、RVF400を凌駕する為には、車体幅を
 短縮し空気抵抗の減少、マスの集中化、軽いマシンと直4ダウンドラフト吸気レイアウトとの適正化RCB400
2009、2月、374号、別冊モーターサイクリスト、2輪用モノコックフレームの真実⑦、104P~105P
 先行技術を散りばめた実験マシンのすべて、セミモノコックを採用しカウル幅を狭くし、空気抵抗を軽減
 モノコックフレーム内にエアー通しキャブ室へ、ラバータンクをENG後方下部にレイアウトしマスを集中させるRCB400
2014、Vol.29 RACERS RVF VS YZF  76P~86P
 RCB400の真実 マーケットからの要望で直4プロジェクト誕生、RVF400を凌駕するために、車体幅を
 を短縮し空気抵抗の減少とマスの集中に特化する、自ら考案したツインチューブを廃し、セミモノコックを
 採用し車体幅を狭く、セミモノコックの中空部を通過したエアーはキャブBOXへ、その後部へガスバック配し
 マスの集中、中央部が凸状になったスクリーン、カウリング後部もフルカバーしエアーを綺麗に流す

 RCB400は別冊モーターサイクリスやトRACERSのに記載されていますが、もっと詳しく解説しましょう。
 敵はYZF400にあらずRVF400なんです。マシンを開発する時には”彼我の検討”を行います。
要するにケンカする相手の次年の性能を予測し、我がマシンが相手の性能を凌駕できるか、目標性能
を、設定するのです。すげーカッコいいですよね、抽象的ですが、でも、組織(チーム)を動かす為には
必要な情報です。Yのデーターは予測するしかないですが、2年連続でチャンプを獲得している
RVF400のデーターは知ってます。ENG出力、トルク、風洞値、重量,慣性重量、ドライビリティー等いろいろ
な要件はありますが、すべて、RVF400を凌駕しないと、YZF400とケンカする土台にすら立てないの
です。YZF400がRVF400を凌駕してくると予測するのは当然ですから。
ENGの出力系はO野に任せておきましょう。RVF400と同BxSですから、参考にしながら、1万5~
6千ブン回すでしょう。直四は好いサウンドですよ,隅谷さん(CB600改)やディック・マン(トライアンフの3気筒)
のデイトナサウンドは最高でしたよ。デイトナで阿部のKR750を整備している時に、バンクから直4、直3の
クオーンーって甲高いサウンドが響いてくるんです  最高でしたね。でもね、隅谷さんが お前らの2STに
ついていくとENGが ぶっ壊れるんだって 言ってました。

 フレーム屋の私の仕事はBIKEをコンパクトにレイアウトすることです。カウリングの空気抵抗値を目標要件値
以下に作り上げ、運動性能向上の為、マスを重心部に集中させ、トータル重量をレギュレーション内に収める
事です。幸いENG以外は自分一人でそのレイアウトを決められました(今まで、出来なかった、
不具合のまま残してしまったレイアウト等を反省しながら、そして、不要なチャチャが入らない)
私は今まで一からフレームレイアウトした機種は10機種目でした。常にタンク形状(ライポジ)を優先に図面
に向かってたようですね。特にこのRCB400は面白かったです。
 自然吸気の2輪車は動圧しか期待できないんです、4輪みたいに隔壁(ラジエターみたいに)がないため
空気に圧力差が出来ないので風を引っ張ぱれないんです,前面からカバッと放り込むんです、
通路が曲がったりすると抵抗で流れません、そして、一定スピード時は慣性で空気量が満たされて
いてもアクセル急開時、キャブ室の空気容量が小さい(容量が適切でない)と モタツイ てしまいます、
レーサーは高出力ENGを機能させるために空気の流れが重要です。

 空気抵抗値に効くのは、前影投影面積と形状抵抗です。投影面積はフレームの幅、タンクの幅で大きく
決まり肘をいかに内側にたためるかです。形状抵抗は空気をカウリング表面をスムーズに剥離なくそして、
後方まで空気を流すかです。私のイメージとしては、卵の形状の中にライダーが喰い込んでいる感じで
す。前から見てヘルメットと同形状した小型スクリーンも投影面積減少と形状抵抗減少に役立っています。
RACERSのページ80の風洞テスト時のカウルに貼られた糸の流れを見て下さい、ライダーの肩の前方、
小型スクリーンのサイド部の糸が乱れてないでしょう、またブーツの後方の糸も乱れてないですね。
(ライダーは阿部孝夫の つなぎ を着た私です。阿部ちゃんもスリムな時が有りましたよ)
一発で空気抵抗値の要件はクリアしました。


 フレームの幅とタンク形状をコンパクトにレイアウトするのが最重要検討項目なのです。RACERSのページ82
を参照下さい。シリンダーヘッドのサイドにダウンチューブがENGのクランクケース前方に下りてます。この構造は
外せないでしょうから。通常のツインチューブをレイアウトしたらカウリングの幅はSTDと同じですね。
キャブのファンネルの燃焼空気入口のボリューム(80mmのクリアランス)が必要で、フューエルコックの上部にしか
ガスタンクをおけません(加減速でコック小部屋にガスを溜める方法はある)。ツインチューブの内側にタンクを
挟み込む通常の構造にするとタンク上面及び幅はコンパクトなレイアウトは得られないでしょう。ややっこしい
キャブへのエアー通路も考えなくてはなりません。実はツインチューブは私の考案で良さも悪さも知ってます

 ツインチューブのサイズを小さくしMUSTとし、カウル幅を減少させる、燃焼空気入口ボリュームを確保する
上部フレームで覆う、燃焼空気はカウル前部からカウルステーを兼ねたパイプからフレーム内を通しファンネル上部
に導く。 (このカウルステーを兼ねたタンクカバーはカブト虫の角みたいで、持ち運び時、布で覆って隠して
いました、単品ではとてもレース用の部品とは想えませんからね)上部、下部のパイプで ねじれ
強度を考慮しつつ補強しました。たぶん、説明しても解らんでしょうが、ドラフターにむかって、私の頭の
で計算してました。
 ガスタンク(ガスバック、ラバー製)は重心に近いキャブ後方フランクケース上方にレイアウトできた。ガスバックは
航空機のはね(翼)の中にもセットされてて、4輪レースマシンでは常備されています。形状としては上下
フレームパイプを逃げながら容量を確保しているため、ミシュランのビバンダムみたいな容姿をしている。
スペースが小さい為、手の小さい自分がAssyしました。タンクの最下部にスノーモビルの負圧ポンプ(HGH、
東研から技術習得)を設けて、インマニからの負圧で作動させ、常時上部のヒューエルコック部屋にガスを
送っている。オーバーフローしたガスはメインタンクに戻しております、キャブへのガス供給ヘッド圧は安定してい
ます。

 通常BIKEの重心はシリンダーの後方ミッションケースの上方にあります。STDのBIKEのように上部位置
におかれたからガスタンクより、重心位置にガスタンクがレイアウトされた為、満タン時、エンプティー時の
重心の変化が少なくなるように 又、前後重心移動も少なくなった為ドライバビリティー向上も期待し
レイアウトしています。
 現在のヒューエルポンプ付きインジェクショク車でもインジェクター後方、クランクケース上方タンクはあたりまえになっ
ているようですね。

 このBIKE,宮城光が試乗したらしく、ハンドリングは良かった、エンブレがキツカッタが 乗りたかったと
インプレを言ってました。
 このフレームは説明するのも難解で、作るのも容易ではなかった、溶接順序を間違えるとトーチが
入らず、溶接ができないので、板金担当者(気の合った)を指名し、ああじゃない、こうじゃない、
と喧嘩しながら、作りました。スゲー楽しかったです、この気の合った友人(板金や)は若くして死去
してしまい、良い想い出になってしまいました。

オートマチックモトクロBIKE と 摩耗の話し

2019-10-01 16:22:47 | 開発したBIKE-HRC編
開発したBIKE-HRC編-2

オートマチックMXと ドロドロレースの摩耗の話し

MXグループに移籍後、AT-MX(オートマチック・モトクロス)のAℓフレームを担当しました。宗一郎さんがイタリアの
バタリーから特許を買われて、市販車としては ジュノー でしたかね、高圧(オイル)を利用したATです
基本的な構造は、洗車ポンプと同じで圧力容器の中に棒を挿入すると、棒の体積ぶん圧力は上が
ります、溶体に圧縮されないオイルを使用すると高圧ポンプになります、挿入する棒のストロークを調整
したオイルポンプとミッションを併用したオートマチックです。オイルが高温になるので、オイルクーラーは必須で宮内
(宮内がAT車に、東福寺ガミッション車をライド) がPITを通過する前からOILの焼けた臭がプーンとして、
オー来た来たです。MXでもピーキーなENGは乗りにくいのですが、ATによりピーキーなパワー特性でも
地面を引っ掻かかないマイルドにな特性になり、特に雨の昇り坂は速いです。周東(山口のコース)の
雨の昇り、東福寺がミッション車で上手に昇っていきますが宮内はATでアクセルを開けたまま、スタスタと
宮内の方が速かったです。コースの事前走行データより、増速する回転数をECUに指示します、
でもJAMP時トラブルが発生しました、空中でENG回転が上がるとECUは増速せよと判断します
2速で飛び出すと、3速で着地してしまって、ENGがボー、失速してしまいました。対策はジャンプ時
の延び切りをセンシングしECUに増速するなと指示したようです。又、実戦時に遅い奴にひっかると
チエンジダウンが必要となります、ATーMX車をみるとクラッチレバーが付いてます、このレバーを操作すると
チェンジキヤーが1速落ちます、再加速でき 遅い奴を抜いていけます。私のフレーム屋としての業務は
バタリーニのENGが重いのでフレームで軽量化しなければならないのです。機能上外す部品はありま
せんので、材料置換が主です、カーボンのA/C-BO,X, ,Aℓサイレンサー、カーボン外筒、Tiステップ。フレームは
AℓとSteelのハイブリットでグランドヒット部がスチールで重量メリットは少なかったです。AℓとSteelの締結部
がBOLT-ONでしたから、フレーム剛性は、いまのAℓフレームと違い適度に柔らかかったでしょう。
これは、YのエンデューロのWR○○Fと同で柔らかフレームです。東福寺は光物のTiステップや、黒メッシュの
カーボンA/Cを見て、僕のBIKEにもこのパーツは付くのでしょうね。すると、増田監督が、”このパーツ
の製作費はお前の契約金で使い切ってしまったよ”だって。 ミッション車はレギュレーションウエイトに
合致していて、軽量パーツは不要です
 摩耗の話し Ti(チタン)スッテプは摩耗に強く折れ曲がり部のピン、内径部が雨天ドロドロのサンドペーパー
状態でも、ワンシーズン タレ無しで使用できました、鉄ステップだとドロドロレース後タレてますよね、 また 
Tiステップは歯もタレないためメカがよく ひっかけ怪我をして、糞って言いながらヤスリで歯先を
丸めていました。御免
 他摩耗の話し、雨のスズカMXでは RRブレーキが効かなくなりました、レース後 洗車を見ていると
パッドの摩擦材がすり減って金属タッチしてました、より注意深く見ると ディスクの穴部に小石が挟ま
っていました、パッドの摩擦材が石で削られていたようです。他社の洗車場を覗きに行くと同様な
トラブルを発見できました。スズカの土質の中にディスクの穴に嵌る丁度良い小石が有るようです。
次戦から 穴でなくスリットのRRディスクも用意しておきました。
私はレース場に行くと 特に専有テストはコース内からBIKEの動き(挙動)を観察してましたね。

4ST市販レーサー、NSF250Fが出来るまで

2019-09-30 13:27:39 | 開発したBIKE-HRC編
開発したBIKE-HRC編ー1

4ST市販レーサーNSF250Fが出来るまで

HONDAがエミッションの対応で2STの開発は中止すると公開しました。CRMに排気バルブ仕様が
ありましたが、ガソリンをクリーンに燃焼させないと対応できないんでしょうね。MXも2ST125ccクラスは
4ST250cc単気筒に、2ST250ccクラスは4ST450cc単気筒に移行しております。    RS125R
(2ST市販ロードレーサー)は当時もMssで生産されてますが。販売台数は下行しており、ロードレース界
の活性化には程遠い状況です。まあ、誰でも考えるには、NEXT・RS125Rは単気筒4ST250cc
のロードレーサーが期待される、当然でしょう。
でもね不思議な話しが出てくるんですよ。あるHRCの役員Nさんは、RS125Rが売れなくなるから
やらん、……意見する気にもならなかったです。又、FIMのHONDAの役員Tさんは、2ST125cc
クラスのNEXTは決まってないです、でした。レースは走る実験室(これは企業ニーズですけど)と言わ
れたレース界もエミッション問題を直視しHONDAから4STにすべき、又は4ST単気筒250ccを混走させ
てくれと提案すべきでしょう。なんのための役員なんでしょうね。ワークスばっかりに目をやってんじゃ
ねーよ、ロッシーだっていマルケスだってノービス(ライダーの底辺)の頃はRS125Rにのってステップアップして
きたのでは、ロードレース界を活性化するにはと考えるのはHRCではペーペーの私位なんですかね?
まあそんな事で、既成事実を作って、認めさせるしかないなと思い、その第一弾  GP-MONO
を国内で4ST250cc単気筒を走らせて、仮認知させる。MX用ENGが直押しでないので苦労ばか
りで、面白くないレースになってしまいそうですが、2ST-125と同走できると証明するためです。
これも、HRC営業の軍資金の元。BBの工場で改造(長期休暇中に床の上で作図)。ハルクの社長に
必ず、ちゃんとした市販レーサーを作りますから,その間に 一時しのぎですが このGP-MONO
で走ってくださいと お願い致しました。
第2弾の、NSF250Rは、私がHRCを退社する2~3年前、HGA(MSD)時代にHGAのお偉いさんに
お願いして(ちょっと脅かして)オレがいなくなったら、RS125RのNEXT-BIKEを作れるヤツはいなくな
るよ、オレにやるように開発指示を出して。LPLは若い奴にやらして、オレが補佐(鍛える)するから
オレはRS125Rを最大限流用するようフレーム設計の実務をやる。ENG屋は上記の直押しでない
MXのENGをムカムカしながら設計した若いヤツに、ブン回るENGを好きなように作れと指示するから。
企画の段階でもMXのENGを使えないかとか、えっえ、宗一郎さんがチャレンジしたレース界にマイナス
思考する輩がいるんだって再確認した。相当覚悟しないと、このプロジェクト推進できないと感じました
実作業はスゲー楽しい仕事でした。  排気系は211Vの最も短いエキゾースト諸元を流用、サイレンサーは
8耐のV4を流用とか極力省エネ(パクリ)手法で出力確認はシャシーでこんなもんで’OK”でした。
ENG屋もクラッチ、ミッション系(クランクケースの後方)はRS125Rを流用、出力系(クランクケースの前方)を4ST
単気筒250ccに、シリンダーは後傾にし前方吸気に、走行風をダイレクトに燃焼室に放り込むという
意欲的な設計でした。そして、十勝サーキットの実走行で目標タイムをクリアー、開発終了となりました。
しかしポシャリました。少量生産に耳を貸さない本社の資材や熊本ssが入ってくると。生産はいかに
作ろうかでなく、いかに作らないかの手法になってしまいます。NF4を製作した浜松SSは積極的
に作ってくれました、宗一郎さん出身 ポンポンの町、浜松の人の気質 BIKEが好きなんでしょうね。
 中本が、F-1からHRCに帰ってきて。平松さん私が作りますよ、熊本には知人がいるからやります
と、私の定年退職祝いに言ってくれました。彼は最高峰のレース現場から、底辺レースの重要性を
感じてくれていたんでしょうね・。彼とは新人研修(私は中途入社で32歳)がいっしょで、市販車
(RS125R/250R)を共に開発し、私が設計彼が業務を推進しまとめ(職務上、正しくは逆なんですが)
くれました。その業務推進パワーがF-1に抜擢されたんでしょうね。
レギュレーションはHONDAが4ST単気筒250ccの市販レーサーを供給しますとFIMに申告すればOKでし
よう。これも中本が通達したのかな。
MOTO-2のENGをHONDA-CBR600を供給しますと、FIMに通達したのも、中本でしたね。
 退職後、NSF250Rが市販される時、青山本社で発表されるとの情報を知らせてくれて、私と
いっしょに行きましょうと言ってくれたのはジャーナリストの方でした。HRCから発表を見に来てとの
情報は有りませんでした。まあいいっか