A.麻生氏の発言
1.麻生氏は、日本の憲法改正の問題をドイツ・ナチスに絡めて、重大な発言をされました。元総理大臣
の言葉として、その発言は、憲法(あるいは憲法解釈)が変更される時のその方法に対する危機意識に根
ざすものなのか、― よく読むとそのように思うのですが ー 、日本の憲法改正論議を、ヒトラーが採った
方法を例に出して語られるのは適切ではありません。誤解を生みます。
2.大阪市長の橋下氏が、今日(8月1日)、麻生氏を擁護される発言をされたことを、Webニュース
は伝えています。麻生氏の発言には、誤解を生む要素を含んでおり、また、麻生氏の発言は、日本の元総
理大臣の言葉となり、ヒトラーに言及される場合は、御自分の政治スタンス・信条をはっきりと明らかに
された上で、述べられなければならず、この配慮を欠いたものでした。事実、アメリカのユダヤ人人権団
体の7月30日に声明を出し批判しています。政治家に関る発言は、慎重になされるべきものです。
3.以下に麻生発言(7月29日)を記します。(出典:朝日デジタル)
α)「僕は今、(憲法改正案の発議要件の衆参)3分の2(議席)という話がよく出ていますが、ドイツ
はヒトラーは、民主主義によって、きちんとした議会で多数を握って、ヒトラー出てきたんですよ。
ヒトラーはいかにも軍事力で(政権を)とったように思われる。全然違いますよ。ヒトラーは、選挙で選
ばれたんだから。ドイツ国民はヒトラーを選んだんですよ。間違わないでください。
そして、彼はワイマール憲法という、当時ヨーロッパでもっとも進んだ憲法下にあって、ヒトラーが出て
きた。常に、憲法はよくても、そういうことはありうるということですよ。ここはよくよく頭に入れてお
かないといけないところであって、私どもは、憲法はきちんと改正すべきだとずっと言い続けています
が、その上で、どう運営していくかは、かかって皆さん方が投票する議員の行動であったり、その人たち
がもっている見識であったり、矜持(きょうじ)であったり、そうしたものが最終的に決めていく」。
β)「(靖国参拝について) 昔は静かに行っておられました。各総理も行っておられた。いつから騒ぎ
にした。マスコミですよ。いつのときからか、騒ぎになった。騒がれたら、中国も騒がざるをえない。
韓国も騒ぎますよ。だから、静かにやろうやと。憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わっ
て、ナチス憲法に変わっていたんですよ。だれも気づかないで変わった。あの手口学んだらどうかね。
わーわー騒がないで。本当に、みんないい憲法と、みんな納得して、あの憲法変わっているからね。ぜ
ひ、そういった意味で、僕は民主主義を否定するつもりはまったくありませんが、しかし、私どもは重ね
て言いますが、喧噪(けんそう)のなかで決めてほしくない」。
4.現代の日本に、ナチスから学ぶ手口はありません。それは否定の対象であり、闘いの対象です。
発言は、慎重にして頂きますようお願い申し上げます。
B.橋下氏の政治手法について
1.氏は、慰安婦発言の場合も、今回の場合も、センセーショナルな話題の渦中へ自分を登場させて、自
分への注目度を集めるという手法を取る人だということが分かります。ポピュリストとも異なるのでこう
書きます。これが政治手法に使用されると、国民にとって危ういものになります。
2.「危うい」とは、言葉に予測も含んでいますので、「そんなことは分からないではないか」と言われ
そうです。そこで、慰安婦発言と今回の場合に限って言いますと、両発言とも、「日本はそんな国なのか
」という評価を国際社会に与えましたし、与えます。これが、「危うい」という意味です。
3.慰安婦発言の主旨は、「公娼制度は日本に限らず、戦争を行った世界のどこの軍隊も持っていた。各
国にその責任はあり、戦争と公娼制度を問題にして、未来に繋げなければならない」ということになると
思います。
4.これを中・韓・北朝鮮の人々、のみならずアメリカの人々でさえ、その字義通りには受け取らず、
「日本は責任をわきまえず、その責任を転換している」と取られてしまいました。サンフランシスコ市
議会は、氏に対して謝罪要求を行っています。
5.そして今回です。世界は、氏の麻生氏擁護を、「ナチスドイツを正当化したものではない」とはおそ
らく受け取らないと思います。そうではなくて、「日本人はナチズムに対してシンパシー(共感)を持っ
ているのではないか!」という、警戒心が先だって受けとられると思います。
6.氏が、このブログで書かれていることを、誤解だと思われるなら、その釈明をされなければなりませ
ん。
C.ブラック企業について
1.今回の参議院選で、いわゆるブラック企業と言われている企業のオーナーが、自由民主党の比例代表
で当選されました。
2.氏は、伝えられています自死された女性とそのご家族に、心を尽くして慰労と補償を行われなければ
なりません。そして、正規・非正規を含めて従業員の待遇は改善されなければなりません。
後記:この記事のタイトルを「麻生氏の発言」に改めました。(2019.11.3)
ひまわり
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