明日の歩みのために
1.年の終わりに、日本の希望と一緒に、希望の一文を書きます。
2.今年の12月1日にヤフージャパンが配信した1本のニュースがあります。御存じ
の方も多いと思います。内容は、「東北大学グループは、現在の状況が続くと1000
年後の日本は国家ではなくなっているかもしれないと予測した」というものです。この
配信元を、ヤフージャパンでは、“XINHUA.JP”としており、記事では“BWCHIN
ESE 中文網”としています。つまり、中国の人たちが、東北大学の論文に対してコメ
ントをしてくれたということです。元記事と東北大学の論文をWeb上で捜(さが)し
ましが、現在のところ、両方とも見つけられないでいます。しかし、“BWCHINE
SE中文網”に記事を書いた記者の意図は別にして、この論文の筆者と、中文網で記事
を見つけてヤフー上に配信して頂いた担当者に感謝致します。何故なら、この問題は、
私達日本人が真剣に考え、取り組まなければいけない、現在のあるがままの日本の姿に
対する警鐘(けいしょう)であり、課題であるからです。
3.正(まさ)しく、現在の日本は真(まこと)に危ういものがあります。しかし、
「1000年後の日本は国家ではなくなっているかもしれない」という問い掛けに対し
ては、「日本は1000年後も国家であり続ける」と答えることができます。但し、1
000年後の国家は、現在と同じような国家ではありません。おそらく、1000年後
の国家は、どの国も、世界連邦のような制度のもとで、アジア州日本国、ヨーロッパ州
グレートブリテン及び北アイルランド連合王国というように変っていると思われます。
日本は、そういう国家としてしっかりと残り、1000年後もその存在を保ちます。私
達はそう言う意志を強く持ち続けることが大切です。
4.日本人が歴史の中で培ってきた精神文化は、仕事にしろ、研究にしろ、芸術にし
ろ、自分が向き合うものに対して志高(こころざしたか)くその道を究(きわ)めよう
とする文化です。求道の精神とも言います。そして、全てを美を以(もっ)て善しとす
る日本人の「美意識」はそう易々(やすやす)とこわれるものではありません。これら
のものは、時代は変わっても日本人の核として残ります。
5.日本が発展するためには、新しい文化を創り出すことが必要です。第一に、既存の
日本の文化を世界スタンダードにする方法があります。アニメ、スシ、柔道などは既に
世界スタンダードの地位を獲得しています。華道、茶道、舞踊、陶器、武士道、刀剣な
ど、考えれば世界に通用するものはたくさんありそうです。第二に、全く新しい文化を
作り出すことです。ips細胞を使用する医療技術は日本発信のものです。ロボットは
既に文化としてのステータスを獲得しています。ロケット、スパコンもそうです。宇宙
エレベーターもこれからの分野ですが、取り組む価値はあります。文化は、それが世界
で通用する地位を占められるものなら、どんなものでも文化にすることができます。こ
れは前にも書きましたが、原発事故も廃炉を含めてそれを克服すると、新しい安全基準
を具えた原発産業という新文化となります。そして、三浦雄一郎氏の冒険スピリットと
その実行は、スタンダードレベルを越えています。世界最高のレベルのものです。その
他には、安全、品質、基本的人権、生命の尊重、清潔、福祉、自然、環境、等々、私達
が思いつくものは何でもスタンダードにし得るのです。「おもてなし」はその例です。
オリンピック開催地決定時のプレゼンでアピールされたということもあり、日本では既
にスタンダードとして受け入れられています。そして、新しい文化は、その意志を持つ
者は誰でも世界に発信することができると私は考えています。そしてこれは私たちが今
日を生きる希望でもあります。
6.今日のテーマは大きく、書きたいことはたくさんあります。それらは区分けして、
今後、取り上げて行きます。そこで、今日のテーマに対して、私が、「日本は1000
年後も国家として命脈を保ち続ける」と主張するその根拠について少し触れさせておい
て頂きたいと思います。それは、広島、長崎の被曝です。これは人類史上に現出した二
度のホローコーストの内の一つです。一つはアウシュヴィッツです。一つが広島、長崎
です。これを神が、そして人類が許すわけがない。しかし、広島の人も、長崎の人も、
日本人は、それを胸にしまっています。そして、このような惨禍の二度と起こらないこ
とを願い、犠牲者の御魂(みたま)の安らかなことと、世界が平和であることを祈りま
す。そしてここには多くの人が、慈悲(じひ)と愛(いつく)しみを注そぎます。この
ような民族は、私の知る限り、ありません。このことを私は、私たち日本人は世界の行
く末に責任を負ったのだと考えています。日本人に与えられた使命だとも思います。こ
れは精神の置換=昇華作用に過ぎぬかも知れません。しかしこのように考える者がここ
に居るということは、同様の思考をされている方は多数存在するということを示しま
す。そのようなこの国は、必ず1000年後も、2000年後も、人類に貢献する国家
として在り続けます。これが私の申し上げたい根拠です。
7.日本の未来には無限の可能性が広がります。皆様も、どうぞ、御自分の可能性と日
本の可能性についてお考えください。そして共にささやかな一歩を記しましょう。その
総和が日本の発展の歩みとなります。
8.年の瀬となりました。善いお年をお迎えください。皆様の御活躍と御健勝を心から
お祈り申し上げます。
冬の木立