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幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SS 超法規的措置

2017-09-03 10:26:50 | 神成屋繁盛記
じりじりと陽射しが照りつける夏の繁華街。
開店まであと30分に迫った人気ラーメン店の前には
大変ご苦労なことに10人ほど並んで待つ客がいる。
その中に。
すらっとしたシャープな雰囲気のショートカットの美人がいた。
何やら真剣な表情でラーメン店の看板を睨んでいる。
後ろに並ぶポニーテールの娘は傍目からも解る位様子が
おかしい。
「・・・おい。」
「ぅえっ!?
な、なんどすか?!」
「どすって、何だよ・・・。
飛影がバイトしてる店ってのはココで合ってんだな?」
「え〜っと多分。」
「キツネんとこでも浦飯んとこでもねえんなら雪菜関係じゃないかっつったの
お前だろ。」
「だけどさ〜飛影怒るんじゃないかい?」
ポニーテールーぼたんーの言葉にショートカットー躯ーは笑った。
「心配すんな。
アイツは今日キツネの家だ。」
「何で知ってんだい?」
「雪菜とガキが嬉しそうに連行してったからな。」
「何で?」
「パパがおっきいプール買ってくれたから一緒に入りたいってよ。」
あたしもそっち行きたい〜!とぼたんは身悶えた。
くっそ暑い真夏日に何が楽しくて(あんまり)親しくない人と二人
ラーメン屋に並ばねばならないのか。
アンタだって仲良しな相手いるだろ!
棗とか孤光さんとか螢子ちゃんとか!
何であたしを誘うのさー!?と頭の中で叫んで見る。
「飛影の野郎。
副業するんならちゃんとオレに言えってんだ。」
ちっと舌打ちしながら躯は呟く。
それを聞いてぼたんは冷や汗を流した。

飛影はここ数ヶ月ほど週に3回このラーメン屋でバイトしている。
『あの飛影がバイト!?』とぼたんも驚いたが蓋を開けて見れば
なんてことは無い。ぼたんの上司である霊界の王コエンマが人間界で
開店したラーメン屋(出資のみ)で人手が足りない為に手伝いをしている
だけだったからだ。
とは言え。
働く仲間が皆妖怪なのはアレだが。
平日は北神達ハゲ集団。
どうしても忙しい時に蔵馬にヘルプの電話が入る。
土日祝は雪菜。夏は長時間働けない為たまにぼたんも
店に立つ。接客業は新鮮で楽しかったりする。
コミュ力が不安な飛影だが担当は皿洗いと野菜の仕込み
な上店長が異様に彼の扱いが上手いので何の問題も発生せず
和やかな雰囲気の明るい職場だ。
が。
店長にはちょっとどころでない問題がある。
神成屋の何故か男客に非常に人気のある店長は。

あの、『闘神雷禅』なのだ。

何でだ。死んだろ、オイ!と息子さんが喚いていたが
雷禅がまだ次の段階に進んでいないのには理由がある。
なんだか難しい御託を色々並べられた書類をぼたんなりに
翻訳し納得した。簡単に言えば。
『この人悪い事も良い事も一杯しててどうしていいか解かんない。』
から、全部調べ終るまで霊界に留まらせるしかないと。
何せ本人も自分が何年生きているのか解らないらしく
千年前くらいまでなら資料もまだ読めるがそこから先となると
紙もボロボロ、インクは滲むし資料自体が行方不明。
更に都合の悪い事に霊界でも把握していない希少種族の生態や歴史にも
詳しく学者達は大喜び。関係ないが意外と気さくなワイルドイケメンに
女子職員も大喜び。息子の友人と言う事で世話係に任命された
(とは言え手はかからずもっぱら茶飲み仲間)ぼたんも楽しかったり。
愚痴も聞いて貰えるし〜とポロっとぼたんが言った一言が
運命の歯車を回した(少し大袈裟だけど)。


(あたしが、あの時幽助のチャーシューの話しなければ・・・!)
今更悔やんでも遅いがぼたんはそう後悔する。
幽助のチャーシュー美味しいけどバラ肉だから太る〜と漏らした一言。
それに何故か食いついた雷禅がこんな感じのが良いのか?と
作ったチャーシュー。
えらい絶品だった。今でも涎が湧くくらい。
感動してあやめやひなげし等同僚だけでなく
特に接点のない特防隊女子にもお裾分けし最後に
断腸の思いでコエンマに献上した所。
皿屋敷駅西口商店街の外れに神成屋がオープンした。
あまりの急展開にぼたんはついていけなかった。
あれよあれよと言う間に店は人気店になった。
始めは週に3日夜のみ営業だったはずが何時の間にか
週5昼3時間夜4時間営業に変わっていたり。
店員も雷禅と北神と雪菜のみだったはずが
ハゲ3人が増え、冬に蔵馬と飛影が加わっていて。
(本当についてけないよ・・・)
溜め息を吐きながらぼたんは前に立つ躯を見上げる。
バレてはいないはず。
雪菜も飛影も自分みたいなうっかりさんではない。
蔵馬は安心だし、一番危ないのは偶然事情を知った幽助だが
まさか躯達に話すなんて事はない。
『雷禅が生きていて人間界で人気ラーメン店の店長やってる』
なんて馬鹿で阿呆な事を人前で話すなんてないと思う。
厳密には生きているわけでなくぼたん達がこちらに来る時に使う
人形に入っているわけだけれど。
ぶんぶんと頭を振る。

『神成屋のことは魔界人には内緒。』
と可愛くウィンクしたコエンマをぶん殴りたい。
ついでに賄いで貰ったチャーシューの入ったタッパーを
迂闊にも躯に奪われた飛影も。
躯からの飛影のバイト先に付き合えとの連絡を良く考えずに
OKした寝起きの自分も。
あと。
コエンマにこの株は絶対買いだから〜!ね〜だからぁ
買って〜?儲かったらドバイ旅行しよ〜とか吹きこんで
下さった上大損したことが解った途端バックレてくれた
キャバ嬢も。(それに乗ったコエンマが悪いが)
「楽しみだなーチャーシュー。」
ウキウキと浮かれる躯の後で。
滝汗を流しながらぼたんは祈った。
『誰か・・・誰か助けとくれよ〜!!』


〜カテゴリ増やしてみました。ラーメン屋関係は
これから『神成屋繁盛記』です。
先週蔵馬さんちに躯が集まらなかった理由がこれです。
そんなに美味いのか雷禅さんのチャーシュー。
コエンマの資産が減った理由が・・・(笑)







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