突発SS 好敵手出現？ 1

おかしい・・・・
汚い字で書かれたノート。を見ながら幽助は唸る。
先月の売り上げは自分がラーメン屋台を始めてからの
2月の中で一番低かった。
確かに2月は売り上げは減る。
野菜も冬場は高騰するが蔵馬に頼んで安く作って貰っている。
チャーシューは豚バラでじっくり煮込みその煮汁で煮卵も作る。
体力には自信があるので少しでも安く美味い素材はチャリで
買い出しに行くし無駄は極力省く。
屋台の隣に四人がけのテーブルを一つ出し満席で8人。
酒やツマミも出すから客単価平均千円は行く。
大体一日に20人前後。売り上げは二万から三万。
月に平均二十日前後屋台をあけるからもろもろ差っ引いても
幽助が最近借りたアパートの家賃や生活費を賄うには
余裕だった。
「んだよなあ・・・・？」
ペラリと1月の売り上げを見る。
去年の1月より落ちている。
12月の売り上げ。
一昨年より少ない。
ー飲食店は何が原因で客が減るかは客次第だ。あと味の流行。
とは言え幽助の屋台は昔ながらのシンプルなラーメンだ。
味の種類は醤油味噌塩。メンカタカラメアブラマシマシとか
呪文みたいな符丁が飛び交う玄人店ではない。
手元のスマホで皿屋敷　ラーメンで検索をかけてみる。
屋台を始めて二年目あたりから『美味い』ラーメンとして
三番手位には名が上りだしたのだ。
(螢子が嬉しそうに教えて来たのを思い出す。)
「・・・あれ出てんじゃん。」
自分の屋台は常連達が勝手に『幽ちゃんラーメン』やら
『ラーメン幽ちゃん』やら呼ばれている。
で。
美味いラーメンランキングにしっかり幽ちゃんラーメンは
輝かしく第二位にランクインしていた。
「じゃなんで客こねーわけ？」
煙草を吸いながら幽助は悩む。
ふーと煙を吹き出しスマホの画面を覗く。
『・・・チャーシューは神成屋のが上。』
「ん？」
『神成屋が開いてないから入ったが
結構美味い。足元のヒーターも有効。』
『さっぱり系ならこの店。
ガッツリ系なら神成屋。』
『神成屋は店員のお姉さんが美人。』
『神成屋の店長イケメン過ぎる。』
・・・神成屋？
コメントを見るならこの店は三ヶ月ほど前に
開店したらしい。
塩豚骨のラーメンが主でサイドメニューは
餃子のみ。味で勝負な頑固親父系の店かと思いきや
意外と気さくな店長と昼間の店員は全員ハゲで。
「あ？」
夜の営業はハゲのかわりに美人姉妹が日替わりで
シフトに入っているらしい。
姉と覚しき方は平日。
妹と覚しき方は金土日。
『俺は妹派。』
『お姉さんのキャベツの千切りマジ神。』
『妹ちゃん守ってあげたいよな。』
『お姉さんに癒やされたい。』
『オレは店長派。』
『出た。（笑）』
『お前店長はヤバいぞ。ノンケのオレでも惚れそう。』
『店出る時のオレに「また来いよ」っつーの止めて欲しい。
毎日通いたくなる。』
『店長カリスマ性ヤバい。』
途中から2ちゃんのスレッドに移行し
幽助は神成屋について考える。
カリスマ性のある店長。
昼間のハゲ店員。
夜の美人姉妹の店員。

そう言えば最近桑原が雪菜ちゃんが週三でバイトを
始めたと言っていた。
この前魔界に行ったら珍しく北神が留守だった。
蔵馬に夕方ラインしたら返事が夜中だった。

全部を繋げる。
神成屋の住所を検索。
幽助の屋台からあまり離れていない、つーか、
結構近所だ。
ぱん！と膝を叩く。
洗面所に向かい久しぶりにリーゼントに決める。
特服でも着たい気分だがそこは自制して。
ジーンズの尻ポケットに財布を捩じ込んで
革ジャンを着込みスマホをポケットにIN。
ー敵情視察。
今幽助がすべきはそれだ。
あと。
何かムカつくから一人くらい巻き込んでやれと
幽助は登録してある番号に電話をかけた。



〜ラーメンです。
嘘予告でバレバレな内容ですが良いのです（笑）