大晦日連作 おまけ

もう、寝る。

そう言って修羅がベッドに潜り込んだのは三十分前。

早朝から買い出し(最近の魔界では饗応の折は人間界の

食材を使うのが最上級のもてなしだと言う暗黙のルール

が出来ているためだが)に歩き回り珍しい物に興奮もすれば

無理もない。

だからと言って。

『何故、オレは蔵馬と風呂に入っているんだ・・・？』

バカに広い檜風呂の端と端で湯に浸かりながらも会話は無い。

先に風呂に入っていたのは黄泉で(蔵馬は長風呂だし)後から

当たり前の様に風呂に現れた蔵馬は黄泉の動揺も意に介さず

髪と身体を洗い湯船に入って来た。

『・・・誘っているのか？』

それは大いに歓迎だが明日は朝から秒刻みのスケジュールで

動かねばならず今誘われるがままに蔵馬を抱いてしまったら

明日に支障が出るのは明白で。

見えない目で必死に蔵馬を探るが解るのは

相手が非常にリラックスしている事くらいだ。

「黄泉。」

「っな、なんっなんだ？！」

慌てた声に呆れたのか蔵馬は小さく笑い出した。

そこまで笑わなくても、と自分の顔が赤くなるのが解った。

すい、と額にかかった髪を蔵馬がどかす。

「今年は有難う。」

「・・・・・・・・・？」

「来年も宜しく。」

額に何か柔らかいものが触れて。

「そろそろでないと逆上せるぞ。」

それだけ言うと蔵馬は風呂場から出た。

 

風呂場の中には。

まさに『キツネに摘まれた』鬼が一人。

 

 

〜癌陀羅ーズバージョンでした。

修羅寝てるけど。

築地で買った食材は魔界の宅急便がその日のうちに

癌陀羅に届けています。蔵馬さん達が買いに行く理由は

まだまだ魔界人は人間界のルールに慣れてないから。

あと黄泉様が金出すので自分で買いたい模様。

檜風呂いいなあ・・・。

黄泉様の家には檜風呂以外にもジャグジー、岩風呂

各自の部屋にユニットバスがついてます。

まあブルジョワジーですこと！