DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SS 映画に行こう!3

2016-11-20 10:25:22 | オールキャラ 黄泉×蔵前提
あれから三時間。
待つにも限界がある。
修羅と幽助はとうに飽きて格闘ゲームに夢中だ。
飛影はまだ蔵馬のファッションショーをちらちらと見ているが。
ボーイッシュな躯コーディネートも似合う。
とことんガーリーな雪菜ちゃんスタイルも似合う。
ーセクシーなボディラインの出る孤光スタイルは今の蔵馬には
無理だったが。
意外な所でちょっとお嬢様っぽい棗セレクトもイケてた。
つまりは。

「なんでお前何でも似合うんだよ?!」
似合うならとことんだ!と暴走した女子共の狼藉の結果
全身黒のゴスロリで決められた蔵馬は
「オレのせいじゃないもん。」
とむくれてー無理矢理持たされたー熊の縫いぐるみを
ギュッと抱きしめた。
思わず魔界組、画面の向こうの人間界組共に息を飲む。

可愛い。
子供を産むなんて面倒くさいがこれだけ可愛い娘が
出来るなら産んでやってもいいかな。と思うくらい可愛い。
「ねーまだぁ?」
ゲームにも飽きたのかぽてぽてと修羅が近寄ってくる。
「かわいーけどなんかちがう〜。」
『違うって何がだい?』
画面の向こうのぼたんが問う。
ぼたんの手にはレースとフリルがふんだんにあしらわれた
甘ロリなワンピースがある。次にこれを着せたいのだろう。
「だってさあ。
ふわふわしすぎじゃん。
映画見に行くのに。座れないじゃん。」
「だよなー。かわいーけどよ。
もっとこうすっきりしたカッコのが良くねぇ?」
そう思わねぇかと幽助は飛影に水を向けた。
「・・・着物。」
雪菜の私物であろう小花の散った淡い水色の着物。
あれを着た蔵馬はまるで雪菜の妹ーと言うことは飛影の
妹でもあるはずだがそこには本人気付いてない。ーの様で
本当に心から可愛いかった。
「きめぇなマザコン。」
冷たい躯の声に我に帰る。
「・・・なに?」
「ちっちゃいママにうかれてんじゃねーよ。」
ハッと軽く笑った躯を睨む。
浮かれてなどいないが。
いつもは見上げる顔を見下ろすのは楽しいのは
認める。上目遣いの蔵馬など❨悲しいが飛影は❩見たことが
なかったのだし。
「違いますよ躯さん。」
「何がだ雪菜。」
「飛影さんはマザコンじゃありませんよ。」
そうだ。
マザコンなんかじゃない。
もっとこの兄を弁護しろ!と飛影は雪菜に念を送る。
「ちっちゃい蔵馬さんが好きなんですから
ロリコンです。」
うふふと笑顔で。
兄に致命傷を負わせる妹に躯達は少し戦慄した。

「ろ、ロリコンて言えばさ。
ほら黄泉!アンタの意見は?」
ロリコンで何故連想されたかは解らないが
黄泉は部屋の隅から何だと声を出した。
「今までのどれが一番可愛い?」
着物?
50年代風のクラシカルなワンピース?
シンプルにカットソーとスカート?
大き目ニットにレギンス?
チャイナっぽいツーピース?
意表をついてジャージ?
螢子の幼稚園の時の制服?
幽助一押し体操着とショーパン?
などと捲し立てる輩に。
何も考えず本当に一番可愛いと思う蔵馬を
黄泉はポツリと披露した。
「・・・裸?」


「・・・パパって・・・馬鹿だね。」
予備動作無しに繰り出された蔵馬の回し蹴りを
(渾身の妖力を込めたものである。)叩きこまれた黄泉は
平然とはしている様に見えるが実は狼狽えていた。
いくら渾身の妖力を込めたとは言っても
その身体は幼稚園児だ。
同じくらいの体格の修羅は純魔界産の生粋の妖怪幼児だけれど
蔵馬は違う。
妖化はしているとは言えその身体は元は人間。
妖力による身体強化はなされてはいるし
この身体でも(幼稚園児状態でも)A級並の耐久力はあるが
蹴りを放った相手が黄泉だ。
耐久力、妖力ともS級上位。

今蔵馬は膝を抱えて蹲っていた。
「大丈夫かーキツネ?」
あんまり心配してなさそうな声音で躯。
「怪我なさっているなら治しますよ?」
優しく雪菜が言う。
孤光と棗は人間界組女子共とひそひそと聞こえよがしに
DV・・・やら虐待・・・やら囁いている。
痛かったか?と面倒見良さげに蔵馬の背中を
擦っている幽助は心なしか楽しそうだ。

皆から少し離れていた飛影はちょっとの逡巡のあと
蔵馬に近付き声をかけた。
「だ・大丈夫か。」
ゆっくり顔を上げた蔵馬は。
大きな瞳に涙を溜めて。
高い可愛い半泣き声で。
「・・・いたい〜・・・」
と小さく呟いた。

瞬間。
自分でも驚いたが。
飛影は蔵馬を軽々と抱え上げた。
「・・・ひえい?」
驚いたのか目を瞬かせて蔵馬が問う。
「躯。」
「・・・お、おう。」
「帰るぞ。」
蔵馬を抱えたまま飛影は躯に帰宅を促した。
「あ、いや待てよ。飛影。
蔵馬は?」
「あ、ああ。
キツネは置いてくんだろ?」
何を言ってるんだ貴様ら馬鹿か。と飛影はワザとらしく
息を吐いた。
「連れて帰る。
こんな所に置いておけん。」



後に躯は語る。
これがあの邪眼師飛影に父性が芽生えた瞬間(笑)だったと。