DREAM

幽白蔵馬受とかアイマスとか他ゲームとかたまに猫な妄想ブログです

突発SS あふたーぱーてぃー

2016-11-06 07:48:02 | 妄想黄泉×蔵馬SS
*注 この話はハッピーハロウィンの続きです。

飲みに呑んで騒いだ阿呆共の始末をやっと終えた
黄泉が大統領府にある自分達専用の宿舎に戻ったのは
もう時計の針が深夜を回った頃だった。

寝ているだろう二人を起こさぬ様に鍵を開けようとして
気付く。
 -鍵が掛かっていない。
心持ち急ぎ足で目当ての妖気の元へ急ぐ。
「・・・蔵馬。」
「おかえり黄泉。遅かったな。」
常より低い位置から高い声で彼を迎えたのは。
数時間前大統領府で行われた“ハロウィンパーティー”で
大いに場を盛り上げた張本人。
「・・・おまえ。」
「ん?何?」
不思議そうに問い返す声が可愛い。
しかし。

「いつの間に身体変化が可能になったんだ?」
そうだ。
そこまで妖化が進んだのなら教えて欲しかった。
あんな衆目の多い場でなく、二人きりの時などに。
あの会場に居た比較的知能の高い連中達でさえ
子供に化けた蔵馬に可成な興味を示していたのだ。
きっと外部スタッフあたりから情報は漏れるだろう。
明日の昼くらいには魔界いや霊界でも噂になる。
 蔵馬の容姿の良さは『妖孤』の希少価値と合わさって
非常に高価い。その上身体変化も出来るとなれば
価値は鰻登りだ。
是非に譲って欲しいとこっそり黄泉に金額を示して来た
コレクターは幾人いただろうか。

「あ、まだだから。」
「は?」
「身体変化なんかまだ出来ないよ自力じゃ。」
「じゃあなんでだ?
幻術か?」
んーとね、と可愛く呟くと蔵馬は座っていたソファから
おりてぱたぱたと足音をさせ黄泉に近付いた。
「これ。
覚えてない?」
はい、と差し出された瓶を手に取る。
軽く振ればからころと音がする。
「・・・玉か?」
「違うよ。」
鼻先に近づけて匂いを嗅ぐ。
甘ったるく鼻が通るような・・・
何処かで知ってる匂い。


『よみちん舐めてみろよ。』
『やだよ。ぬーちゃんなめなよ。』
『・・・よみがさきになめるべき。』
『くーちゃんも言ってんじゃん!よみちん!』
 
「あれか!」
遥かな過去。
いつだったかさえも朧気な子供時代。
どう知り合ったかも忘れた三人が(多分三人共奴隷商かなんかに
攫われて来たんだろう。)初めて盗んだ本に載っていた妖力を
一時的にアップさせる丸薬。
当時から頭の良かった蔵馬と。
的確な判断力の黒鵺と。
猪突猛進馬鹿な自分が協力して完成させた代物。
「懐かしいな・・・って軽く1100年前の物なめたのか?」
腹壊すなんてレベルじゃないだろ!?と慌てた黄泉を
呆れ顔で蔵馬は見た。
「なわけないだろ。
作ったんだよ。新しく。」
そうか。と黄泉が呟いた。
「修羅お菓子を貰えるって楽しみにしてたのに。」
「料理の内容まではチェック出来ないよ。
これでも忙しいんだ。」
「ふーん、お前が好きな日本酒とツマミはあるのに?」
ぐ、と言葉に詰まる。
「棗や氷女あたりが手配しているかと。」
「二人共酒豪だろ。
螢子ちゃんがいたらまた違ったろうけど。」
「ああ。あの浦飯の。」
「そう、幽助がフラレた。」
「・・・先見の明があるな。」
「オレとしては何とも言えないけど。」
「・・・で。」
「で?」
「お菓子をくれないからイタズラでお前が子供の姿に
なった。のは理解した。」
「うん。」
「なんで元に戻ってないんだ?」
はー、と蔵馬が溜息をついた。
「身体変化。」
「ああ。」
「二十年振りくらいにやったんだ。」
「随分久しぶりだな。」
「骨格まで変えたのは七十年振り。」
「おお。」
「そしたらさ。」
「ああ。」
「戻り方解らなくなっちゃって。」
「はあ?!」
「あ、でも薬の効力切れたら戻ると思うし!」
今度は黄泉が溜息をつく番だった。
「えーと。」
迷惑かけてごめんな?と謝る蔵馬に手を伸ばす。
脇の下に手を入れひょいと抱き上げる。
「軽いな。」
「うん、実際五歳くらいの時は"痩せすぎ",認定で
母さん困ってたし。」
「食事は?」
「妖孤の時は食べなくても良かったから"食事"の概念が
なくて小さい頃は大変だったみたい。」
「そうだったか。
まあ、オレが聞いたのは今だが。」
「今?」
「腹は減ってないのか?
食事から随分時間がたってるし。」
ぱちくりと大きな目を瞬いて蔵馬は黄泉をまじまじと見る。
「・・・ちょっと減ってる。」
「何か持ってこさせよう。
コールドミートなら余っていたからそれとパンを。」
「修羅と作ったクッキーあるよ。
紅茶入れて食べよう。」
「あるなら先に食べれば良かったのに。」
「ガスコンロに手が届かない。」
ああ、それでと思いながら黄泉は蔵馬を片手で
抱いたままキッチンに入る。
テーブルの上には大量のクッキーがラップに
包まれて鎮座していた。
「作りすぎじゃないか。」
「修羅がなんかスイッチ入ったみたいで。」
カチリと、ガスのスイッチを押す。
「あのな、黄泉。」
「どうした。」
「クッキー食べたら風呂入ろう。」
「はあ??!!
どうしたんだ急に?!
お前オレとは一緒に入りたくないって散々!」
「お前と入ると絶対やらしいことするからだろ!」
「裸のお前と居て手を出さないやつなんていないだろう!」
「飛影はしないよ!」
「アレはお前に対しての感情のジャンルが違う。」


「頭洗って欲しいんだよ。
修羅の洗ったら疲れて自分の無理で。」
ぽそっと漏らした蔵馬の言葉に黄泉は笑って了承した。
「いいぞ。
ゆっくり肩まで浸かろうか。」
ちょっとだけ不思議そうに黄泉を見たあと
それはそれは可愛いらしく蔵馬はくすくすと笑う。
「どうしたんだ?」
「お前良いお父さんだよね。」
「そうか?」
父親と言うモノをあまり知らないので世間一般で言う所の 
"良い父親"が黄泉には分からないのだった。
ふふ、と笑って蔵馬は黄泉の首にきゅ、と抱き着く。
「く、蔵馬?」
「ごめん、ちょっとオレ酔ってるかも。
香り付けにラム酒少し貰ったから。」
「あ、ああそうか。」
(落ち着け。
この子供は蔵馬だが身体年齢は5歳だ。
キスくらいしか出来ないし。
そこから先は駄目だ。
ペドだ。
ロリだ。
ショタだ。 
何かしてみろ。
犯罪だし、可哀想だ。
耐えろ黄泉。
せめて薬の効力が切れたらにしろ。
3日くらい抱き続けても許されるだろう。
修羅の具合が悪いとか言えば義母が
あのもさいオヤジに上手く話をつけてくれるはずだ。
だから耐えろ黄泉。
楽園はすぐそこにある。
目先の欲で未来を潰すな!)
などと黄泉が阿呆な考えに煩悶しているとは露知らず蔵馬は
可愛い声で可愛いことを更に言った。

「オレ、"お父さん"のお前結構好きなんだよね。」

理性と言うものは。
吹っ飛ぶ時には簡単に吹っ飛ぶものじゃよ。
と七百歳の幼児が黄泉の耳元で囁いた。

小さな形の良い顎を掴む。
「え?」
「キス、だけだからな。」
なんか異様に鼻息の荒い黄泉の顔が小さな蔵馬の顔に
近付いてくる。
"絶対キスだけじゃない!"
蔵馬の顔が青ざめる。
背中に冷たいあせが伝う。
こういう黄泉に覚えがある。
まだ二人の力が拮抗していた子供時代、
ギラついた黄泉がこうして襲って来たことが
ままあった。(こんな幼稚園児みたいでな身体ではなかったが。) 
あの頃はこんな時は黒鵺が助けてくれたが
今はいない。
小さな手で必死に黄泉の胸を押しのけようとしても
ちっとも動かない。
パーティーで呑んだ酒が回ってきたのか黄泉の手が
着物の裾から入り込み太腿を撫で回す。
普段の身体なら"好い"と感じても今の身体では
"好い"わけなくむしろ気持ち悪い。
「黄泉!無理だから絶対!」
「為せば成ると言うし。」
「どうにもならないこともあるの!」
「やってやれないこともない!」
「嫌いになるからな!」
黄泉の手が止まる。
今がチャンスと蔵馬は畳み掛ける。
「今のお前が好きなんだから前みたいに戻るなよ。
・・・・・・それに。」
「それに?」
「この身体のままじゃ楽しくない。
するならちゃんと。」
(・・・言わなくて良いコトまで言ったような。)
「大丈夫だ。」
ふわりと身体が宙に浮いて。
テーブルの上に横たわらせられる。
「よみさん・・・?」
「ゆっくり時間をかければ良いだろう?」
だから。
物理的に無理なんだって。
「大人と幼児は無理!」 
「大丈夫だ。可能性を信じて!」
「その無駄なポジティブシンキングなに?!」
ぎゃあぎゃあと騒ぐ二人は周りにちっとも 
気を配っていなかった。
うるさいなあ、と起きて来た修羅が。
パパが小さな蔵馬をキッチンのテーブルに
押したおしてるのを見つけて。
誰か止めてー!
パパが蔵馬に変なことしてるー!
と煙鬼と孤光の部屋に駆け込んだのが三十秒前。
魔界において珍しくモラルの高い大統領が
どすどすと足音あらく部屋に駆け込むまであと十秒。
面白そうだとスルメ噛みながら躯と幽助が
キッチンにいる二人を見つけるまであと五秒。
蔵馬の悲鳴に飛影と凍矢が駆け込んで来るまで。
あと。
二秒。




~プリキュア見に行くのは来週にしました。
今週まほプリないんで。
盗賊三人組は幼馴染だったら可愛いかなって。
設定は三ツ星カ⭕ーズっぽく。