アトリエ ここるぴあ

和紙作家 佐治直子のブログです。キンカチョウのことりたちと、工房『アトリエここるぴあ』での出来事を綴ります。

『いつかわかること』でわかったこと

2014年11月17日 | 作品について


これは、現在開催中の展覧会で展示している新作の本『いつかわかること』の
トビラの部分。

私の作品の感想でよくいただく言葉は「優しい、柔らかい、温かい」など。
たぶん、このトビラの写真のようなイメージなのかな。でも、この本を作って
自分自身わかったことは、もっと強くてかたいもの。

この本は、発表した初めてのフィクション。もちろん、経験に基づくエピソードが
散りばめられてはいるけれど、作り話です。主人公の女の子が、普段の生活や
家族との関係で、たくさんのわからないことの中で、自分なりに答えを見つけて
いくお話。全3,256文字。

私はこの本を作りながら、自分にしかできない仕事ってなんだろう?って
ずーっと考えていた。そうでないものは作る意味がないとも思った。
そういうことを考え出すと、なにかのはずみでふっと力が抜けて動けなく
なってしまうけど、そんな時に「何を作っている時が一番楽しい?」って
訪ねてくれた友人のりかさんの言葉にヒントをもらった。

 やっぱり、本を作っている時が一番楽しい。

製本ということだけでなく、文章を書いて、レイアウトを考えて、紙を漉きながら
表紙のデザインや綴じ方を考えたり、そういうことすべて。特に子供のころから
言葉に関することを考えるのことが大好きだったので、文章を書くのが楽しい。
そして、できたときの達成感。できた本は愛しくてたまらない。

全部、自分で作ったもの。伝えたかったこともちゃんと文章に含まれている。
それが、うまく伝わるかどうかは絶対の保証はできないけれど、論文のように
文字数やページ数の決まりも制限もない自由な中で、本を作ることができる
というのは本当に楽しい。

先日、ヨガインストラクターで友人の鶴田暁子さんが、会場で読んだ感想を
聞かせてくれた。とても良くて感動したって。文章が好きって言ってくれた。
とても嬉しかった。そして、ホッとした

今は、間違いなく、自分にしかできない仕事って思える。
今回、この本『いつかわかること』を作って、それがわかりました。

少し意外な内容かもしれませんが、ぜひ手に取って読んでみてください。
コメント (2)
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