スベらない話もいよいよ3話めに
なりました。
なかなかの反響ですのでついつい
また話したくなりました。
この手の話はネタがわんさか
ございます。
前回登場した母方の従姉妹の
父親(叔父)の話です。
いつぞやの身内の披露宴の時、
季節は確か冬だったと思います。
普段はなかなか会う機会のない
親族が、久々に再会を喜んでいると、
叔父が皆のところに近付いて来て、
A子とB子の前に着席したその時・・・
叔父が突然A子の洋服の袖を掴み、
「ほぉ~っ!アンタの服は
本ビロードじゃね。」
そして、つかさず隣に居たB子の洋服
の袖を同じように掴むと、
「アンタの服はベッチンじゃね。」
と言いました。
それからたて続けに、
「見てみんさい!この人の
着ちょる本ビロードの生地はね
布団針も通らんような厚手の
えぇ生地なんよぉ!それに比べて
こっちの人の生地は、ベッチン
言うてね、本ビロードと全然ちごうて
薄手でベロベロしとるけん、価値が
ないんよ。」
(゜o゜)(゜o゜)
その場に居合わせた者たちは
一瞬フリーズしてしまいました。
そして、ベッチンを羽織った従姉妹は
なんとも言えない表情で(-_-;)
更に今度はロレックスの腕時計をした
従兄弟に近付き、左腕をグイッと
掴むと、時計を真横から覗き込み、
「アンタ、このロレックスはニセモン
じゃね!韓国でこうたんじゃろ?!
見てみんさい、こうやって横から
見たら、厚みがのうて薄っすい薄っすい
んよ。ホンモノはもっと分厚いけんね。」
(ー_ー)!!
辺りはしーんと静まりかえり・・・
披露宴は始まりました。
披露宴で出された料理についても
「おうっ!この寿司桶見てみんさい!
ネタがにぎり寿司ばっかりじゃろ?!
これはけっこう値がええぶんなんよ。
安いんはね、海苔巻が必ず入っとる
んよ。」
「それからの、イカやサーモンや
卵焼きなんかのにぎり寿司の
多いんのも安いんよ。」
(~_~;)
そんな叔父の発言を耳にしても、
誰一人一切口を開きませんでした。
抗議する者などおりません。
嫌味なことを言われた本人ですら
気分は害しただろうけれど、一言も
叔父に逆らうことはありませんでした。
かなりの毒舌ではありましたが、
叔父の言う事は真実だったから。
それにしても、その叔父のモノを見る目
だけは本当に大したものでした。
叔父は退職後、日々暇を持て余し、
散歩がてら、連日百貨店に足を運んでは、
ウインドウショッピングを一人楽しみ、
あらゆる商品をじっくりと見て回って
いるうちに、商品の値ぶみが完璧に
できるようになったのです。
毒舌で正直者の叔父ではありましたが、
そんな叔父でも素晴らしい長所が
ございます。
親族の冠婚葬祭の場では、誰よりも
お祝儀や香典を弾み、お世話になった
人には心のこもったお礼の品をきっちり
と贈る義理堅い人でした。
親族が訪ねて行っても、嫌な顔ひとつ
せず、大盤振る舞いの手厚い接待を
してくれたものです。
だから、久々に会った叔父に嫌味の
ひとつを言われたとしても、みんな
叔父に大変よくしてもらっていたから、
文句のつけようもなかったのだと
思います。
どんなに毒舌でも、決して人から
恨まれたり、憎まれたりすることは
ありませんでした。
叔父はまさしく、
9つの短所を1つの長所でカバーする
人だったのです(~o~)
ーおしまいー
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