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光がある

2021年11月05日 11時24分34秒 | ちゅうたしげる詩集
                                        ”
光がある
ラジオからポップスが聞こえてくる
風はなく
静かな川の流れに緑葉が映り
今年の夏も終わりを予感させる
行楽に疲れた人よ
心を休めるためにわたしの故郷で時の移り行きを感じなさい
わたしの友は皆旅立ち
音沙汰もなく
夏の終わりの一日を歩き通した人々
夏の休暇は寂しい別れを用意して
変わらないのはわたしの故郷の景色だけ
世の中の憂さを晴らすことは永久にできないが
一時の幸福と慰めを
夏の一日の終わりに見つけることはできる
労働の終わりの慰めを
村人たちと分かつ時
明日の平安を望む心が
一羽の白い鳥に託されて
村の西の空へ駆けて行く
子どもたちはまだ遊びに夢中で
静かな静かな夕暮れを待つ
あまりに現代的な家々
三十年後にこの景色があるかどうか
誰にもわからない
確かに見出すのは
一時の心の安らぎ
老人たちよ
十七才の少女よ
二十歳の青年よ
地球は丸く
緑色の野は続く

もはや光はない
手探りする人々の心と
切り放されたわたしの友の荷物が
重くわたしの心にかかる
少年の日を呼び戻して
わたしの目の前に再現することは不可能だが
あの希望の日々を追い求め旅立つことはできる
光よまた明日輝け





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