精霊の宿り

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糸電話の『信号』----自由よおまえは

2021年11月05日 11時18分38秒 | ちゅうたしげる詩集
                                        ”
自由よ
おまえは幼いのか
この糸電話は少々混乱しているようだから雑音が入る
それにわたしはおまえのようにうまくはしゃべれないから
伝えようにも伝わらない

おまえにもし出会ったのだとしても
このわたしに「喜び」などというものはない
それはおまえにもわかっていることだろう

おまえが闇に囚われたものだとしても
わたしは驚かない
わたしとおまえは出自が異なる

おまえにも在ったことだろう
意識をはじめて自在にあやつることをおぼえた
ほんの生まれたばかりのころに
薄暗い闇の中で(そこには若い父親と母親がいたかもしれないが)
豆電球に映る大人たちの背後に
世界のしきたりと成り立ちがたしかに読み取れる
その時だ
おまえはあちらに進み
わたしは反対にこうでしかなかった

世界の滅亡を望むおまえだから
はじめからおまえは黒を纏っていたのだろう

それに 自由よ
おまえは一度、いや二度
わたしを焼き滅ぼしたではないか

もはやおまえとわたしの間に「歓喜」などあろうはずもない
だが
おまえはまだ幼い(わたしと違って・・・)

滅ぶなら滅ぶための論理を
廃墟には廃墟に流れる”歌”を

その論理によって照らせ
すべてはそれによって検証される
と 彼の人は言う

いまわたしは心の底で冬を待つ準備をはじめた

「所有」という「所有」を
捨て去れ

もしおまえに目が見え 耳が聞こえるなら
そう
冬にはおまえにわたしの声を届けたいと思っている

若い日に歌った歌を届けたいと思っている







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1 コメント

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自由 (unknown)
2007-11-05 22:57:37
この詩が好きです。

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