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東日本大震災:宮城県内少年院の少年少女がボランティア

2011年08月05日 | 刑務所伝道
東日本大震災:宮城県内少年院の少年少女がボランティア

被災した知的障害者施設で草刈り作業に当たる少年たち=宮城県七ケ浜町で(東北少年院提供)
 宮城県内の少年院に入る少年少女が、東日本大震災で被災した福祉施設でボランティア活動を始めた。彼らの多くは「外」の世界で起きた被害に当初実感がわかなかったが、全国の少年院から激励のメッセージを寄せられたのをきっかけに「こんな閉じられた所にいる場合じゃない」と訴えるようになったという。法務教官の指導を受けながら、奉仕活動を通して他人を思いやる心を育もうとしている。

 7月15日。仙台市若林区の特別養護老人ホームを、同区の女子少年院「青葉女子学園」の少女2人が訪れた。ホームは津波にのまれ、建物は残ったものの1階には今も泥が残る。2人は床にたまった泥を取り除き、壁や窓ガラスをみがいた。

 津波は学園の3キロ手前まで迫った。電気と水道が1週間、ガスは1カ月間止まり、少女たちは缶詰やレトルト食品だけで約20日間過ごした。テレビで初めて惨状を目にしたのは震災から1週間たった後だった。

 そのころから、全国の少年院から激励の千羽鶴や寄せ書き、歌などでのメッセージが相次いで届いた。少女たちは初めて被災地に身を置いていることを強く意識するようになった。「自分たちが食事できているのに避難所には食糧もない。罪を犯した自分たちが恵まれていていいの?」。涙声でそんな話が交わされるようになったという。「罪のない人たちが苦しんでいるのに私たちは学園に守られ助かっている。被災者にも何もできなくてつらい」。少女の一人はこう訴えた。

 学園の法務教官らは「子供たちに現場を見て何かを感じてもらいたい」と奔走し、ボランティアの受け入れ先を見つけた。小国万里子・首席専門官は「自分のことで精いっぱいだった子供たちが、悲惨な現場で奉仕活動をすることで感謝される喜びを覚えた。全員に経験させたい」と言う。

 学園に隣接する東北少年院でも、6月21日に塩釜市の身体障害者施設、7月8日に七ケ浜町の知的障害者就労支援施設を訪問し、被災した施設の周辺を清掃した。施設職員らから津波の被災体験も聞いた。同少年院の鷲野薫院長は「被災地での活動はショックもあり、心に響くはず。今後の立ち直りにきっと役立つと思う」と話している。【石川淳一】


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