chuo1976

心のたねを言の葉として

「さくらの木」  金子みすず

2012-11-22 03:58:56 | 文学
 「さくらの木」  金子みすず



もしも、母さんが叱らなきゃ、
咲いたさくらのあの枝へ、
ちょいとのぼってみたいのよ。

一番目の枝までのぼったら、
町がかすみのなかにみえ、
お噺のくにのようでしょう。

三番目の枝に腰かけて、
お花のなかにつつまれりゃ、
私がお花の姫さまで、
ふしぎな灰でもふりまいて、
咲かせたような、氣がしましょう。

もしも誰かがみつけなきゃ、
ちょいとのぼつてみたいのよ。
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