chuo1976

心のたねを言の葉として

「満月の夜の猫の歌」  工藤 直子

2012-09-15 06:29:22 | 文学
「満月の夜の猫の歌」  工藤 直子



月が 花のようにひらいて満開になると
猫は 背のびして 弓にばける
ーー地平線で大男が 雲をこねているよ
   満月の祭りの 準備だよ
猫は仲間に会うために 矢になって飛びだす
ーー仲間を みつけたいときにぁ
   かんじんなのはカラッポってこと
   カラッポのコップのように響けば
   すずしい心が そそがれる


月が 花のようにひらいて満開になると
猫は あくびして ひげを光らせる
ーー大男がたちあがり 空で雲の旗をふるよ
   満月の祭りの合図だよ
猫は仲間と遊ぶため 光になって走る
ーー仲間を みつけたいときにゃ
   かんじんなのはカラッポってこと
   カラッポのコップのように響けば
   にぎやかな心が そそがれる
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