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憧れのハワイ航路

2016年06月30日 | 曲目解説
梅雨らしいお天気が続きます・・・。洗濯物が乾きませんね。

先日「憧れのハワイ航路」について調べものをしましたので、梅雨空をふきとばす明るいこの歌をちょっとご紹介します。

シルバー世代がとてもお好きなこの歌は、終戦後間もない1948年に作られました。作詞は昭和の歌謡曲王石本美由紀(美空ひばりに多くの楽曲を提供しています)、作曲は江口夜詩(えぐちよし)で、歌唱は岡晴夫です。

「晴れたそら そよぐ風 港出船の ドラの音愉し・・・」というこの曲、冒頭から圧倒的な明るさを備えています。終戦後3年という時期に、この歌詞を書いた石本さんも、それにぴったりな曲を書いた江口さんも、プロというのはすごいですね。
石本さんは前述の通り昭和の大作詞王ですが、江口さんはもともとクラシック畑の方で、東京音楽学校(現東京芸大)でチェロを学ばれたそうです。とはいえ、芸大にお入りになる前は海軍軍楽隊専属の作曲家で、その才能を見込まれて海軍から芸大に派遣されたとのこと。ご本名は江口源吾さんで、作品が吹奏楽大序曲『挙国の歓喜』(昭和天皇御大典の曲)というのですから、すごく堅そうです。歌謡曲に転じられたのは退官後だそうです(あたりまえ!)。

憧れのハワイ航路 石本美由起 作詞 江口夜詩 作曲

晴れた空 そよぐ風 港出船の ドラの音愉し
別れテープを 笑顔で切れば 
望みはてない 遥かな潮路
ああ あこがれの ハワイ航路

波の背を バラ色に 染めて真赤な 夕陽が沈む
一人デッキで ウクレレ弾けば 
歌もなつかし あのアロハオエ
ああ あこがれの ハワイ航路

常夏の 黄金月 夜のキャビンの 小窓を照らす
夢も通うよ あのホノルルの
椰子の並木路 ホワイトホテル
ああ あこがれの ハワイ航路


1948年ですから、もちろん自由旅行でハワイに行くことはできませんでした。作詞の石本さんは、したがって写真を見ながらイメージを膨らませてこの詞を書いたそうです。心に浮かんだのは別府航路と伊豆七島航路だったとのことで、別府航路の方は外海ではなくて瀬戸内海ですので、ちょっと太平洋とは雰囲気が違うかもしれませんね。伊豆の方は太平洋ですからOKでしょうか! 
1番が出航(日本、横浜)、2番が太平洋上、3番がホノルル、という具合に、時間の経過に従って素直に歌詞が進みます。

そして、誰もが疑問に思う、「ホワイトホテル」。これは実在のホテルなんでしょうか。
一説によると、現モアナサーフライダウェスティンではないかと言われています。




こちらは、モアナサーフライダの英語HP、historyの頁の写真です。1901年竣工の歴史あるホテルで、「貴婦人」の愛称があるそうです。なんとなく、もう少しカジュアルなホテルなんだろうとイメージしておりましたが、ずいぶん立派で、入るのに気後れしそうです・・・。

石本さんは、作詞するときに写真を手掛かりにしたとのことで、白いホテルならこれかと言われているそうですが、いずれにしても白黒写真ですから、どのホテルも白く写ったんじゃないか、という反論もあり、真相はわかりません。ただ、石本さん自身がハワイを訪れたのが50歳を過ぎてからだそうで、到着した時に「ハワイというのはこんなところだったのか」とおっしゃったそうなので、全部が空想の産物であることは間違いないですね。あらためてプロはすごいです。

では皆さま、梅雨時にめげず、明るくお過ごしくださいませ!
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