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緑のそよ風

2017年04月04日 | 曲目解説
緑のそよ風
いい日だね

で始まる、思わず「ほんとだね!」と言いたくなるこの歌、作詞は清水かつらさん、作曲は草川信さんです。

清水さんは東京・深川のお生まれです。士族出身の父は、注射器のシリンダーをつくる工場の経営に携わり多忙でした。対する母は、士族の妻であるという矜持を捨てきれずに新しい時代にフィットできません。父母の関係は悪化し、清水さん4歳のときに離婚してしまいます。生母を失った清水さんは、寂しい幼年時代を送りました。

そして、小学6年のときに父が再婚。清水さんにとっては異母弟がつぎつぎに生まれます。相変わらず父は多忙でしたが、年の離れた6人の弟とともに、清水さんは継母の里、和光市を度々訪れるようになります。

清水さんは父の勧めで商業学校に入学したものの英語の学校に入り直し、のちに丸善と合併することになる中西書店に就職します。そして、中西書店が少年少女向けの雑誌を編集するために興した「小学新報社」に異動、ここで子ども向けの詩作に出会うのです。

そんな中、父が急死。そして関東地方を「関東大震災」が襲います。被災した一家は継母の里和光市に避難します。まだ20代半ばであった清水さんは、継母と6人の弟たちを養う大黒柱になってしまいました。


↑ ↑ 清水さんが継母・異母弟と過ごした和光市のHP

しばらくは和光市⇔東京を行き来していた清水さんですが、やがてほぼ東京で起居し、休みに和光市に戻るという生活をされたようです。また一時は学校の先生もされたとのことです。

皆さんもよくご存じの「すずめの学校」(チーチーパッパ、チーパッパ)、「靴が鳴る」(おててつないで)、「叱られて」も、清水さんの作品です。
「緑のそよ風」は、和光市を流れる白子川を主題に作られたとのことで、情景が実感できるようないい歌ですね。
実は長らく清水かつらさんのことを女性だと思っておりまして、この曲の3番に野球にまつわる歌詞が出てくるのを、「活発な女性だったのね」と無理やり納得していたのですが、弟が6人もいる頼れる兄貴であるならば、すごく自然な歌詞です。調べてよかった。

清水さんの弟さんの娘さんが監修し、在野の研究家がまとめたHPがありますので、どうぞご覧ください。とても愛情あふれるよい記事がたくさん掲載されています。

■ふるさとを愛した童謡詩人 清水かつら
http://www.sky.sannet.ne.jp/katura/

亡くなられたのが53歳。まだお若かったですね。ご葬儀では音羽ゆりかご会が「靴が鳴る」を斉唱、四家文子が「叱られて」を歌ったそうです。奥様の記録が見当たりませんので、妻帯されなかったのかもしれません。

では、次の記事で草川さんのことをお知らせします。しばらくお待ちください。

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