新・台所太平記 ~桂木 嶺の すこやかな日々~

N響定期会員・桂木嶺の、家族の介護・闘病・就職・独立をめぐる奮戦記を描きます。パーヴォ・ヤルヴィさんへの愛も語ります。

評論家として、大成、再生を誓う~生活保護のグループホームを経験してみて~

2018-12-29 21:55:05 | くらしのくふう

今年は、オットと離れて暮らして、初めての年末年始となります。でも、両親のおかげで、3人で仲良く過ごすことができるようになったのは、本当にさまざまな方に感謝したいですし、両親にも感謝したいと思います。

今年は実にさまざまなことがあり、浮き沈みも激しく、激動の一年となりましたが、結果的には、家族が大事、仲間が大事というごく当たり前の事実を思い知ることとなりました。パーヴォはいま、ハワイかフロリダのリゾート地におられるようなのですけれども、パーヴォなりに、いろいろ私のことを気遣ってくださる様子に、感謝しています。彼との月日も、本当に忘れがたいものになりそうです。

しかし、やはり今後の私の人生での貴重な出会いとなったのは、生活保護の申請をして出会った、杉並区のグループホームの寮の女性たちです。

非常に過酷な状況を経験して、ホーム入りした彼女たちの話を聞くだけでも非常に貴重な体験でしたし、私が(家庭の事情や健康の問題をかかえていたとしても)全然大した悩みのある人間ではないことを思い知って、自分がいかに幸せで、まわりの人たちのご縁に恵まれているか、感謝をすることの大切さを痛感したのでした。

彼女たちのホーム入りした事情は実に複雑でした。路上生活を経験して、行く当てがなく、保護された女性もいました。つきあっていた男性に全財産を持ち逃げされ、就職活動をしながら、がんばっている女性もいました。病気になって家を兄弟たちに追い出され、行くところがなくてホーム入りした女性もいました。あるいは・・・そう、芝居や音楽を見たり聞いたりしているだけでは絶対に出会えない人たちとの出会いがあったのでした。

小説や新聞記事では読んだことがあっても、実際に会うとなるとその衝撃は非常に大きいものでした。なぜなら、彼女たちは、そんなに悲惨な目に遭いながらも、希望を失わず、人間としての尊厳を大切にし、規律正しく、明るく元気よく、まわりに気遣いを忘れることなく、日々の生活を送っていたからなのでした。

こんなにすばらしい人たちが、住む家もなく、年を越さなければならない、日本の社会の現実の一面をしりました。私は評論を志すものとして、だれのために、今後評論を書くべきか、しっかりと見定めることができたように思いました。

パソコンも持てず、スマホも持てず、新聞も読めず、雑誌も読めず、社会と隔絶されながらも、寮に一台だけあるテレビをみて、希望を失わずにがんばっている彼女たちのために、情報発信していき、がんばろうと決意したのでした。

いままでは、パーヴォのためでもあったけれど、「もっともちいさき、よわき人たちのために」私は自分の人生を全うしようと心にきめました。

彼女たちは、パソコンでブログを書いていたり、メールを書いていた私に、励ましの言葉をかけてくれました。

「かつらぎさん、あなたはここに長くいちゃいけないわ。あなたのような文筆家は、早く出て、社会に復帰し、がんばって再起してくださいね」

彼女たちの優しい言葉に、思わず落涙し、嗚咽する私でした。私は、いまは、金もなく、力もありませんし、知識もまだ未熟ですが、きっと内定先の企業でも一生懸命働き、評論家としても努力を重ねて勉強し、大成し、かならずや、彼女たちや、こうして家もないのに、希望を失わずに生きている人たちのために、私の文章や思いを届けて表現していこうと、堅く心に誓いました。

そして、彼女たちのために役立てるように、大成しようと心に決めたのでした。多少の人生の苦労があっても、彼女たちのためなら頑張れると思いますし、芝居や映画、音楽や小説などでは絶対にうかがい知ることのできない、人生の壮絶な修羅場を知ることができたことは、実は今年、神様がわたしに与えてくださった最大のプレゼントだと思いました。

もし、いまも彼女たちの人生を知らなかったら、私は本当に、ただの「セレブ気どりのイヤミな、思い上がった女」で終わっていたに違いありません。

神様は私が本当に、世の光として役に立つために、あえて今年は試練を与えてくださったのだと思ったのでした。

これからは、いっそう謙虚に、物事の修養につとめ、頑張っていきたいと思いますし、社会のため、地域のため、家庭のため、仲間たちのために、尽くしていける人間になりたいです。

さまざまな得難い体験を得た、今年の年の瀬でした。

みなさまも、どうぞ、彼女たちのために、祈ってやっていただきたいと思います。すばらしい日々が彼女たちの上にも訪れますように。



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