真似屋南面堂はね~述而不作

まねやなんめんどう。創業(屋号命名)1993年頃。開店2008年。長年のサラリーマン生活に区切り。述べて作らず

二人のジーン・タカハシ~D.ハルバースタム最後の雑誌寄稿のひとつ 

2009-12-01 | 読書-歴史
ところで、日本人のマッカーサーの評価は、解放者?総監督?総督?皇帝?
いずれにしても、長年抑圧されてきた日々から転換した象徴でもあり、どちらかというとポジティブな評価が優勢ではないかね。

でもね、朝鮮戦争に従軍した兵士・将校らにとっては、呪詛の対象でしかないわけね。
19世紀的な人物。

先日の「JFK・・・」でも思い出してしまったもので(12/2予定)、『ザ・フィフティーズ』や、『ベスト&ブライテスト』も再読(再々読?)してみるかな。

原著の書評: amazon/The Coldest Winter: America and the Korean War
Amazon.com Review
Up until now, the Korean War has been the black hole of modern American history. The Coldest Winter changes that. Halberstam gives us a masterful narrative of the political decisions and miscalculations on both sides.
★A Timeline of the Korean War付き・・・ちょっと便利。

NYT-Sunday Book Review
Rehearsal for Defeat

By MAX FRANKEL
Published: September 23, 2007

著者のインタビューに応じた多くの元兵士・将校らのなかで、興味を引かれた人物をひとり、追ってみる。
当時まだ黒人兵ばかり集めた部隊があった由で、そういう部隊をを率いて奮戦した日系二世将校ジーン・タカハシの話がすごい。
第29章 中国軍の攻撃が始まる に登場。

1945年に17歳で入隊、ジャップ扱いするような上官の露骨なイジメもあった中、数々の試練を課されながらも部下の信頼篤かったTAKことタカハシ中尉は、45名からなる小隊を預かる。
半島北部深くの地で中国軍の大攻勢に圧倒され、部隊は壊滅。

国連軍を包囲した中国兵は、韓国軍兵士に偽装して叫びながら国連軍陣地に乱入、パニックを起こさせようと図る。
(連鎖パニックを狙う)

じつは、当時の韓国軍兵士は日本統治時代に日本語教育を受けていた人たちなので、(ホンモノであれば)皆日本語がわかる筈。
そこでタカハシは、彼らに日本語で話しかけてみて、理解していないことを知り、偽装を見破る(中国兵だ!)。タカハシの小隊には、そんな小細工は通用しないのだ。
などというエピソードも。

結局、一旦捕虜になるが脱出して、ごくわずかの生還者としてからくも帰還・・・。
(一緒に逃げた部下は、再度捕捉されてしまい、収容所で死亡したと後年分かる)

Westport, ConnecticutのWestportNow.com掲載の訃報記事(なんと、ハルバースタムの翌月に逝去されていた):
Gene Takahashi, IBM Exec and Korean War Vet, Dies at 79
Wednesday, May 16, 2007

~タカハシへのインタビューについて記したハルバースタムのForbes誌への寄稿などへのリンクもあり:
The American Dream, The Two Gene Takahashis
David Halberstam
**Editor's note: David Halberstam died on April 23, 2007. This is one of his last published works. **
ということで、今日の表題はこの寄稿を指すもの也。
ハルバースタムがタカハシの人生に深い感銘を受けたことが分かる。

おや、こんなところにも。
The Library of Congress >> American Folklife Center
Gene J. Takahashi: Veterans History Project

そういえば、若き日本人人類学者も、戦死者の個体識別に起用されたんだっけ。
(結果として)大御所の若き日の教材になった兵士の遺骨の発生過程の一端が、本書に記述された、からくも生き残った戦友らの証言から理解することができる。
名著⇒骨はヒトを語る 死体鑑定の科学的最終手段 著者: 埴原和郎

38度線の北、北朝鮮にずっと入り込んだ地域で中国軍に席巻された部隊の犠牲者は、MIAということで遺体の一部も未回収であるケースも多いのだろうな。
U.S. MILITARY KOREAN WAR STATISTICS
The Personnel Missing - Korea (PMKOR)Database: DPMO

<<以下、大脱線>>
ところで、このヒトの父方のお祖父さんは朝鮮戦争で戦死された米軍人であった由だが、回収できたのだろうか。

さらに連想:福岡県うきは市の会社が“乗用雑草刈機『草刈機まさお』”、“歩行型発電機搭載クローラ運搬車『伝導よしみ』”をはじめとするユニークなネーミングの機械を作っているらしい。
http://www.canycom.jp/naming.html
主役の芝耕作です

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