晴れときどき化学、ところにより雑想

もしかしたら何かの役に立つかもしれない化学のお話(と、よしなしごと)

ベンゼン

2012年05月30日 06時56分39秒 | 化合物のお話
ベンゼン(C66)は、ファラデーが発見し、ケクレによってその構造が提案された化合物で、

6個の炭素原子が平面上に正六角形を構成するように配置されています(いわゆるベンゼン環です)。


ナフサから得られる改質ガソリンや、分解ガソリン中に存在し、分留や抽出によって得られます。

特有のにおいのある揮発性の化合物(常温では液体)であり、蒸気を吸入すると有毒です。


ベンゼンは化学的には比較的安定な化合物ですが、強力な反応剤によって、置換反応や付加反応を受けます。

そしてそれを利用することにより、各種化学製品の合成原料(出発物質)として使用されています。

いくつか例を挙げてみると、

・エチレンとの反応によりエチルベンゼンを生成 → スチレン(合成ゴムや樹脂の原料)。

・水素添加してシクロヘキサンを生成 → アジピン酸、ヘキサメチレンジアミン、ε-カプロラクタム(ナイロンの原料)。

・プロピレンとの反応によりイソプロピルベンゼンを生成 → フェノール(医薬品や樹脂の原料)とアセトン(溶剤や中間原料)。

などがあります。


普段の生活でベンゼンそのものを見たり感じたりする機会はほとんどないと思いますが、

ベンゼンをその構造の一部に持つ、いろいろな化合物を利用していることになります。




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