晴れときどき化学、ところにより雑想

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アスパルテーム

2012年05月10日 23時36分07秒 | 化合物のお話
アスパルテーム(L-アスパルチル-L-フェニルアラニンメチルエステル)は、

L-アスパラギン酸とL-フェニルアラニンのメチルエステルが結合したジペプチドの人工甘味料(合成甘味料)です。

白色の結晶性の物質で、1965年にその甘味が偶然発見されました。


アスパルテームは、ショ糖(砂糖)の約200倍の甘味を持ち、低カロリーでサッカリンのような苦味もありません。

またショ糖によく似た甘味で、食塩やクエン酸が一緒に存在すると甘味が増強されるという特徴があります。

ただし加熱には弱く、強酸条件下およびアルカリ条件下では分解して甘味を失うので、主に加熱しない食品に使用されています。

※ショ糖によく似た甘味ということで食品用の香料とよく調和しますが、ある種の香料とは相互作用を生じるので、その場合には成分の調整や変更が必要となります。


アスパルテームの構成要素であるL-アスパラギン酸は特徴のある味ではなく、またL-フェニルアラニンは苦い味でしかないのですが、

この2つのアミノ酸をアスパラギン酸-フェニルアラニンの順に結合させて、フェニルアラニン側のカルボキシル基をメチルエステルとすることで、予想できない甘味が発現することになります。


なお、アスパルテームは体内で消化されてその構成要素(L-アスパラギン酸、L-フェニルアラニン、メタノール)に分解され、通常の経路で代謝されます。




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