煉獄の霊魂の出現、男子修道士

『他界からの火花　-　煉獄の霊魂の出現』企画:デルコル神父、文：江藤きみえ

◆2-2、煉獄の霊魂の出現、男子修道士

　聖ゲルトルードが書きのこした「示現」の中に煉獄の霊魂についてもいろいろ記している。この示現の第5編の中から次のようなものを紹介しよう。

　ある日聖女は、次のような出現をみた。同じ修道院に働いていた男子修道士が亡くなってから間もなくのことである。聖女はかの修道士がイエズスの食卓にあずかっている幻をみた。かの修道士は、せっかく主の食卓に坐っていても悲しげな様子をしていた。それは、主の食卓にいても主の美しいお顔を見ることができなかったからである。でも、地上の人々がかれのために祈りをささげるときその修道士は、少しずつ慰めをうけていた。

　聖母もこの修道士のために祈っておられた、それは、かれが聖母に対して熱心な信心をもっていたからである。いろいろな聖人たちに対してもかれは祈りをささげていたが.今は、聖母のとりっぎと聖人たちのとりっぎによって、その魂はますますはれやかになっていた。しかしまだ神を仰ぎみることはできなかった。

　聖女は、かれのために祈りながら、かれにきいた、

「今いちばん苦しんでいるのは、どんな罪のためですか？」。

　かれは答えていった、「わたしはよいことをしていた時、他人のすすめに従わないで、自分が望むままにして、自分の意見に強く執着していました。このためにわたしの魂は、たいへんな苦しみをうけているのです」。

　聖女は、「あなたを助けるため}こ、どうすればよいのですか」ときいた。

「わたしが犯したこの罪を犯さないように注意する人は、わたしに大きな慰めを与えるでしょう。今わたしを慰めるのは、生存中忠実を守ったことです。それと兄弟たちが、わたしのためにささげてくれる祈りです」と答えた。


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