Vanteyのアース線(もしくは枯れた資料帳)

怠け者のウィキメディアン・Vanteyの、脳内が帯電してきた時のはけ口。非百科事典的。過度な期待はしないでください。

謎の中華料理「牛バラ麺のウィキペディア風味」

2009-10-13 08:20:58 | 
ところでこのメニューを見てくれ。こいつをどう思う?



Beef Brisket in Wikipedia Flavor ……??

「ビーフ・ブリスケットのウィキペディア風味」。何だこりゃ?


隣に書かれている漢字の料理名は「花椒牛腩」(かしょうぎゅうなん、ホアジャオガウナム)とあります。
エンコードが日本語だと4字目が表示されないかもしれませんが、10進コードで 腩 、16進コードで 腩 の字で、月へんに南と書きます。

「牛腩」というのは、広東料理の「牛バラ麺」のことです。
本場香港の牛バラ麺はこんなの↓



zh:牛腩 は、ブリスケット(肩ばら肉)一般について解説した ja:ブリスケットen:Brisket に言語間リンクしていますが、 zh は特定の料理を指しており、違う概念だと思われ。
また、このメニューでは "Beef Brisket" と訳していますが、英訳は "beef brisket noodle soup" とするのが定訳であるようです。

一方、「花椒」というのは漢字からも想像がつく通り、山椒(厳密には同属別種の華北山椒)のことです。
日本語版のサンショウ#中国での「花椒」の利用に簡潔な解説があります。

つまり漢字に従ってこの料理を読み解けば「牛バラ麺の山椒風味」となります。


それがどうして「ウィキペディア風味」になってしまったのでしょう?

てか、それってどんな味よ。


このメニューは、米国マサチューセッツ州はボストン郊外のフラミングハム Framingham という町にある中華・日本料理店「緑華軒 GREEN TEA II」のものでして、同店の公式サイトにてPDFのメニュー(全4ページ、 1,854,557 bytes)が "全世界に向けて" 公開されているものです。
件の料理 (C14) は4ページ目の左側、「港式小菜 HONG KONG STYLE」のセクションに載っています。

The Consumerist というスラッシュドットの消費者問題版みたいなサイトにフラミングハム在住者からタレコミがあり、2009年10月7日に記事化されて世界に知られるようになりました。
英テレグラフ紙のサイトも翌8日に採り上げています

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Awesome: Chinese Restaurant Invites You To Try The "Beef Brisket In Wikipedia Flavor"
http://consumerist.com/5376659/chinese-restaurant-invites-you-to-try-the-beef-brisket-in-wikipedia-flavor
Wikipedia-flavoured beef on Chinese restaurant menu - Telegraph
http://www.telegraph.co.uk/foodanddrink/6271674/Wikipedia-flavoured-beef-on-Chinese-restaurant-menu.html
Green Tea II Chinese & Japanese Food, Framingham, MA
http://www.greenteaframingham.com/

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Summary of images:
Description = the menu of Green Tea II
Source of menu = http://www.greenteaframingham.com/greenteaFmenu.pdf
Source of image = http://consumerist.com/5376659/chinese-restaurant-invites-you-to-try-the-beef-brisket-in-wikipedia-flavor
Author = Green Tea Restaurants
Permission = Copyright (c) 2007 Green Tea Restaurants. / 日本国著作権法32条1項に基づく引用

Description = 牛バラ麺
Source = http://commons.wikimedia.org/wiki/File:HK_Food_Brisket_Noodle_1.JPG
Date = 2007-06-04
Author = SHOLYWOD
Permission = GFDL, CC-BY-SA-3.0,2.5,2.0,1.0
GNU Free Documentation LicenseCreative Commons License


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