東京の臨海副都心で、「海上保安庁海洋情報部庁舎」と称する建物の建築が始まっています。
場所は、江東区青海のテレコムセンター裏。
現在は杭打ちが行われています。
海上保安庁海洋情報部は海図の作成頒布や関連する航海情報の提供、またそのための海洋測量・天測などを行う組織で、長年 "水路部" の名称で知られてきました。海上保安庁水路部から海上保安庁海洋情報部に改称されたのは2002年4月1日のことです。
戦前の水路部は海軍省の外局で(海軍とは別組織。因みに国土地理院の前身の陸地測量部は陸軍省の外局)、所在地は1871年(明治4年)の創設時からずっと東京・築地でした。
庁舎の増設・部分移転なのか完全移転なのかまだ私は確認できていませんが、いま10階建てもの大きさの新庁舎を建設しているということは、おそらくは完全移転、すなわち歴史ある築地の地から離れようとしているということかとも思われます。
平成20年度(*1)と21年度(*2)の国土交通省の予算配分概要では箇所名を「海上保安庁海洋情報部(倉庫等)」としていましたが、平成22年度の予算配分概要(*3)では「(倉庫等)」が取れています。東京都港湾局の進出事業者紹介では用途を「事務所等」と、また上掲の現地看板では用途を「事務所(庁舎)」としています。
現地(江東区青海2-38-5)の区画を、臨海副都心開発を所管する東京都港湾局臨海開発部では「青海C1区画」と呼称しています。
この区画への進出事業者が決定したと港湾局から発表されたのは2008年8月5日のことで(*4)、土地は財務省関東財務局への売却処分。土地売買契約は前月の2008年7月に締結されています(*5)。売却額は約51億4700万円とのこと。
国土交通省側の関係予算計上は平成20年度からみられ、20年度20億3100万円(*1)、21年度20億9100万円(*2)、22年度20億9100万円(*3)が計上されています。
民主党政権は2009年10月、大向う受けを狙ったパフォーマンスとバラマキ財源の確保のために一部の官庁営繕費の予算執行停止を行い、着工済みのいくつかの地方合同庁舎の建設工事が停止されましたが、本建設工事は中止対象にはなっておらず、22年度も事業継続となっています。
国土交通省の平成22年度予算における官庁営繕費の概算要求方針では、「現庁舎の半分以上が建築基準法の耐震性能基準に達していないものについて建て替えなどを行う」とする基準を設けた由(*6)。
ということは裏返すと、「築地の海洋情報部現庁舎は耐震性に問題があるため、建て替えが急がれている」ということになります。
因みに着工前の現地はこんな状況。
工期は建設業界系の情報によると2011年7月完成とも。
本庁海洋情報部直轄の測量船5隻の定係バースはいずれも港区台場にありますので、庁舎が青海に来れば、船との連絡や資機材の搬出入などは従前より便利になると思われます。
職員の通勤は不便になるでしょうが……
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(*1) = 平成20年度 官庁営繕関係予算配分概要 (PDF) p.5、国土交通省、2008年4月1日
(*2) = 平成21年度 官庁営繕関係予算配分概要 (PDF) p.6、国土交通省、2009年3月31日
(*3) = 平成22年度 官庁営繕関係予算配分概要 (PDF) p.5、国土交通省、2010年3月26日
(*4) = 臨海副都心進出事業者の決定について - 東京都港湾局、2008年8月5日
(*5) = 主要事業の進行状況報告書 臨海副都心進出事業者の誘致 (PDF) p.2、東京都港湾局臨海開発部誘致促進課、2008年9月30日
(*6) = 予算要求見送り/サンポート合同庁舎南館 - 四国新聞社、2009年10月16日
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海上保安庁海洋情報部
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/
国土交通省関東地方整備局
http://www.ktr.mlit.go.jp/
東京都港湾局 臨海副都心のご紹介
http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/business/rinkai/
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Summary of images:
Description = 海上保安庁海洋情報部庁舎(仮称)建設地
Date = 2010-03-20 / 2009-05-20
Source/Author = Vantey
Permission = Copyright (c) 2010 Vantey. All rights reserved.
建築物の名称: 海上保安庁海洋情報部庁舎(仮称)
建築敷地の地名地番: 東京都江東区青海2-38-5
用途: 事務所(庁舎)
敷地面積: 5,500.04 m²
建築面積: 2,657.87 m²
延べ面積: 19,895.25 m²
構造: 鉄骨造
基礎工法: 場所打ちコンクリート杭
階数: 地上 10階 / 地下 0階
高さ: 44.4 m (最高 48.7 m)
着工予定: 平成21年9月1日
完了予定: 平成23年4月30日
建築主: 国土交通省関東地方整備局長
設計者: 安井建築設計事務所
施工者: 東亜建設工業株式会社 首都圏建築事業部
場所は、江東区青海のテレコムセンター裏。
現在は杭打ちが行われています。
海上保安庁海洋情報部は海図の作成頒布や関連する航海情報の提供、またそのための海洋測量・天測などを行う組織で、長年 "水路部" の名称で知られてきました。海上保安庁水路部から海上保安庁海洋情報部に改称されたのは2002年4月1日のことです。
戦前の水路部は海軍省の外局で(海軍とは別組織。因みに国土地理院の前身の陸地測量部は陸軍省の外局)、所在地は1871年(明治4年)の創設時からずっと東京・築地でした。
庁舎の増設・部分移転なのか完全移転なのかまだ私は確認できていませんが、いま10階建てもの大きさの新庁舎を建設しているということは、おそらくは完全移転、すなわち歴史ある築地の地から離れようとしているということかとも思われます。
平成20年度(*1)と21年度(*2)の国土交通省の予算配分概要では箇所名を「海上保安庁海洋情報部(倉庫等)」としていましたが、平成22年度の予算配分概要(*3)では「(倉庫等)」が取れています。東京都港湾局の進出事業者紹介では用途を「事務所等」と、また上掲の現地看板では用途を「事務所(庁舎)」としています。
現地(江東区青海2-38-5)の区画を、臨海副都心開発を所管する東京都港湾局臨海開発部では「青海C1区画」と呼称しています。
この区画への進出事業者が決定したと港湾局から発表されたのは2008年8月5日のことで(*4)、土地は財務省関東財務局への売却処分。土地売買契約は前月の2008年7月に締結されています(*5)。売却額は約51億4700万円とのこと。
国土交通省側の関係予算計上は平成20年度からみられ、20年度20億3100万円(*1)、21年度20億9100万円(*2)、22年度20億9100万円(*3)が計上されています。
民主党政権は2009年10月、大向う受けを狙ったパフォーマンスとバラマキ財源の確保のために一部の官庁営繕費の予算執行停止を行い、着工済みのいくつかの地方合同庁舎の建設工事が停止されましたが、本建設工事は中止対象にはなっておらず、22年度も事業継続となっています。
国土交通省の平成22年度予算における官庁営繕費の概算要求方針では、「現庁舎の半分以上が建築基準法の耐震性能基準に達していないものについて建て替えなどを行う」とする基準を設けた由(*6)。
ということは裏返すと、「築地の海洋情報部現庁舎は耐震性に問題があるため、建て替えが急がれている」ということになります。
因みに着工前の現地はこんな状況。
工期は建設業界系の情報によると2011年7月完成とも。
本庁海洋情報部直轄の測量船5隻の定係バースはいずれも港区台場にありますので、庁舎が青海に来れば、船との連絡や資機材の搬出入などは従前より便利になると思われます。
職員の通勤は不便になるでしょうが……
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(*1) = 平成20年度 官庁営繕関係予算配分概要 (PDF) p.5、国土交通省、2008年4月1日
(*2) = 平成21年度 官庁営繕関係予算配分概要 (PDF) p.6、国土交通省、2009年3月31日
(*3) = 平成22年度 官庁営繕関係予算配分概要 (PDF) p.5、国土交通省、2010年3月26日
(*4) = 臨海副都心進出事業者の決定について - 東京都港湾局、2008年8月5日
(*5) = 主要事業の進行状況報告書 臨海副都心進出事業者の誘致 (PDF) p.2、東京都港湾局臨海開発部誘致促進課、2008年9月30日
(*6) = 予算要求見送り/サンポート合同庁舎南館 - 四国新聞社、2009年10月16日
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海上保安庁海洋情報部
http://www1.kaiho.mlit.go.jp/
国土交通省関東地方整備局
http://www.ktr.mlit.go.jp/
東京都港湾局 臨海副都心のご紹介
http://www.kouwan.metro.tokyo.jp/business/rinkai/
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Summary of images:
Description = 海上保安庁海洋情報部庁舎(仮称)建設地
Date = 2010-03-20 / 2009-05-20
Source/Author = Vantey
Permission = Copyright (c) 2010 Vantey. All rights reserved.
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