◆ 遵守制度の採択問題が決着
コンタクトグループで議論していた遵守制度の採択問題は、12月7日に最終合意が成立しました。これで、京都議定書の運用ルールはすべて採択され、遵守制度も含めて京都議定書は完全に始動することになります。
合意では、COP/MOP決定として、不遵守の措置(帰結)に法的拘束力のない遵守制度を採択し、サウジアラビアの提案していた不遵守の措置(帰結)に法的拘束力を与える改正については、COP/MOP3で改正することを目指して、検討を開始することになっています。
また、遵守委員会をこのCOP/MOP1で立ち上げ、2006年の早い時期にドイツのボンで第1回委員会を開催することになっています。
◆2013年以降の次期枠組みの交渉
残された問題は、2013年以降の次期枠組みの交渉です。既報のとおり、京都議定書3条9項は、2013年以降の先進国の削減目標の検討を、「第1約束期間が満了する少なくとも7年前に開始する」と規定しており、この規定に従って「議定書3条9項」というコンタクトグループでこの問題が討議されています。
この議定書3条9項の討議とは別に、12月6日に条約の締約国会合(COP)での「長期の共同行動の議論のためのプロセスについての決定」についての議長案が配布されました。
この議長案は、COPのガイダンスのもとで「長期の共同行動」の議論を始め、先進国と途上国から選ばれる2人の共同議長の下で、すべての締約国に開かれたワークショップを設置し、2007年12月のCOP13までに結論を出すとの提案になっています。また、各締約国は、「長期の共同行動」についての提案を2006年3月15日までに提出することを提案しています。
2013年以降の次期枠組みにつての交渉を、議定書の締約国会合であるMOPで議論するか、議定書を批准していないアメリカやオーストラリアも参加する条約のもと(COP)で議論するか、それとも両方で議論するかなどを巡って意見が分かれています。
また、議定書のもとでの議論についても、議定書3条9項に基づく先進国の次期約束期間の削減目標の議論を直ちに始め、2008年末までに合意することを求める途上国グループと、すべての締約国が「京都議定書の第1回目の検討を2006年のCOP/MOP2で行う」と規定する議定書9条にも言及することを求める先進国が対立しています。
すでに会議も残るところ2日を切り、2013年以降の次期枠組みについての決定をどのような内容、形式にするかは各国の閣僚の判断に委ねられることになります。