「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.134 ★ 「習近平は田舎者」と罵詈雑言も…!大型連休中に飛び交った「習近平への怒りのメッセージ」、そのヤバすぎる中身

2024年03月01日 | 日記

現代ビジネス (藤 和彦:経済産業研究所コンサルティングフェロー)

2024年2月29日

Z世代の不穏な怒りの正体

photo by gettyimages

 中国の若者がいま、自信を喪失し習近平への怒りを増幅させているという。  前編『中国の若者たちの「習近平への怒り」が爆発寸前…! 海外投資家の「中国離れ」も加速する「深刻な実態」』でも論じたように、1995年~2005年の生まれで高度成長を謳歌し、いまは一転して大就職難に苦しめられているZ世代の怒りは大きいものがある。

  思い返せば、中国の2012年の経済規模は米国の約半分だった。その翌年の2013年、国家主席に就任した習近平は、中国民族の復興という「中国の夢」というビジョンを掲げた。  

それから7年後の2020年末、英国のシンクタンクは「中国は2028年に米国経済を追い抜く」と予測し、実際、2021年には中国のGDPは米国の76%にまで急接近した。  

しかし、このときが中国経済のピークだった。 その後は2年連続で米中格差は再び広がり、昨年の中国経済の規模は米国の64%にまで縮小した。米国を抜いて中華帝国の過去の名声を取り戻す前に、チャイナドリームは悪夢と化してしまうという危機に直面している。  

このことに最もショックを受けているのが、Z世代だ。彼らはいま、途方もない長期停滞への恐怖に苛まれている。

Z世代の怒りと習近平の「あだ名」の関係

習近平には546もの「あだ名」が付けられている Photo/gettyimages

 中国のZ世代は2億6000万人に上ると言われている。  日に日に豊かになり、世界で中国の存在感が高まった「黄金時代」を経験してきた彼らは自信にあふれ、希望に満ちていた。しかし、現在の彼らは将来に希望が持てず、「生まれた時代を間違った」とまで嘆いているという。  

「チャイニーズ・ドリーム」を喪失してしまった彼らは、連日のように抗議デモを起こすとともに、興味深い動きにも出ている。2月21日付の「ニューズウイーク日本版」が、興味深い「あだ名」のエピソードを伝えている。

それによれば、中国人は「あだ名」を付けるのが大好きだという。ただし、「恐れ多い」という考えからだろうか、国の最高権力者を「あだ名」で呼ぶことは珍しいそうだ。  例えば、毛沢東のあだ名は敵対関係にあった国民党が支持者がつけたという「毛賊」だけで、2代前の最高権力者である江沢民は「ガマガエル」となかなか辛辣だが、このひとつだけだった。  ところが、習氏のあだ名の数は桁違いに多いというのである。

習近平を「田舎者」と吐き捨てる若者たち

 2022年半ばの時点で既に546ものあだ名があり、すべてが不名誉な呼称だという。 例をあげれば、田舎者というニュアンスが込められた「包子(パオズ)」、習氏を肉まんと呼んでいるわけだ。

また、王朝時代の最高レベルの学者への尊称だった太学博士にかけた「小学博士」などこき下ろしたものばかりで、中にはナチスドイツの独裁者、ヒトラーをかけたものや、習氏に呪いをかけるようなものもあるという。ここではなかなか紹介しずらいほどに酷い言われようなのだ。

この記事を執筆した練乙錚(YIZHENG LIAN)氏は、香港生まれで1998年に香港特別行政区政府の政策顧問も務めたが、香港の民主化運動の指示を理由に解雇され2010年から日本に住んでいるとのこと。  彼は、不名誉なあだ名の多さは「習と中国の行く末を示唆しているのかもしれない」と書いている。筆者も同感だ。

繰り返す中国王朝の崩壊パターン

 最高権力者が国民から侮辱されると、国を統治することが難しくなる。権威を持たせようと強引な手法に出れば、国民の間で怒りと侮蔑の感情がますます高まるという悪循環に陥る。最高権力者の権威が失墜すれば、国民と直に接している地方政府の統治も困難になるだろう。

 中国の歴代王朝はおしなべてこのような過程を経て衰退に向かったとされている。最初は小規模な反乱が起こり、その後、国全体がカオスに覆い尽くされるというパターンだった。

「習近平降ろし」の予兆

 春節では職場の同僚や親しい人たちの間で挨拶が交わされるのが通例だが、中国メディアによれば、今年は「習近平を排除するのは楽しい」とする、これまでにはなかったメッセージが飛び交ったという。  

「習近平降ろし」が直ちに起きると断言するつもりはないが、Z世代を中心に政権への不満が募る中国の今後の動向について、これまで以上に警戒する必要があるのではないだろうか。  

さらに連載記事『いま中国で急速に広がる「習近平への憎悪」』では、春節大移動のウラで起きていた「異変」や、中国のシリコンバレーであふれている「失業者の群れ」を紹介するなど、経済低迷が鮮明となる中国国民の本音を詳しくお伝えする。

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