「天狗の中国四方山話」

~中国に関する耳寄りな話~

No.589 ★ 20日間も“消息不明”だった習近平主席、一部で「戒厳令説」も飛び交う中、中国政権中枢で何が起きていたのか   東アジア「深層取材ノート」(第245回)

2024年08月23日 | 日記

JBpress (近藤 大介)

2024年8月22日

8月19日、北京を訪れたベトナムのトー・ラム国家主席と会談した習近平国家主席(写真:新華社/アフロ)

 8月19日午前、習近平中国国家主席の動向が、20日ぶりに報じられた。北京の人民大会堂で、ベトナムの新たな指導者、蘇林(トー・ラム)共産党書記長・国家主席を出迎え、首脳会談を行ったのである。

 いくら夏休みの時節とはいえ、主要国の国家元首の動向が、20日間も伝えられないというのは異常事態だった。

7月30日を最後に…

 それまで習近平主席の動向が最後に伝えられたのは、7月30日に行われた二つのイベントである。一つは、毎年この時期恒例となっている中国共産党中央委員会の政治局会議だ。これには党中央政治局委員の24人が全員参加した。

 中国共産党は7月15日から18日まで、「3中全会」(中国共産党中央委員会第3回全体会議)という、中国経済の今後の方針を決める重要会議を開いたばかりだ。それでも、この時の主要テーマも経済だった。

 中国の報道によれば、下半期の経済活動の手配と、「庶民の負担を減らすための形式主義是正の若干の規定」を審議した。習主席は、「下半期に経済のよい状態をさらに引き上げ、今年の経済社会の発展目標任務(GDP成長率5.0%前後)を必ず達成させるのだ」と発破をかけた。現在の中国経済が「よい状態」かは大いに疑問だが、習主席は昨年12月以来、「中国経済光明論」(中国経済が明るく光り輝いていると宣伝するようにとの指令)を説いている。

 7月30日午後に開いたもう一つの会議は、第16回集団学習会だった。これは、その時々に必要と思われるテーマについて、専門家を中南海(最高幹部の職住地)に呼んでミニ講演をさせ、その後に習主席が重要講話を述べる。党中央政治局会議に付随した、習主席肝煎りの行事だ。

 この日のテーマは、「海上と上空での防衛態勢の推進」。尖閣諸島問題も絡んだ日本が気になるものだった。

 ともあれ、この日を境にして、習近平主席の消息は、プツリと途絶えてしまったのだ。

「北戴河会議」が開かれたのか

 考えられるのは、8月上旬に開かれた「北戴河(ほくたいが)会議」という中国共産党の非公式、非公開の重要会議だ。

 これは、河北省北戴河の海岸沿いの避暑地で、年に一度、現役幹部と引退した長老たちが一堂に会して開く。期間は通常、3日間である。

 20世紀の前半、北京から東に約300km行った海岸に、イギリス人たちが別荘群を建てた。それを、1949年に建国したいまの共産党政権が接収。水泳が趣味だった毛沢東主席は、毎年夏になると、そこへ泳ぎに来た。

 すると、幹部たちもつらつらと付いてくるようになった。そしていつしか、真夏に非公式の重要会議が開かれるようになったのだ。北戴河会議はその後、何度かの断続があったが、いまも毎年8月上旬に開かれている。

 第一線を退いた長老(元幹部)たちへの「ガス抜きの場」が必要だということだ。年に一度、長老たちを宥(なだ)めておかないと、時間が余るほどある彼らが、あらぬ権力闘争を始めかねない。

 今年の北戴河会議の最大のテーマが、やはり悪化に歯止めがかからない中国経済の復興にあったことは、想像にかたくない。かつ、長老たちは習主席に対し、苦言を呈したことだろう。江沢民時代と胡錦濤時代は、西側諸国との蜜月関係によって、経済成長を謳歌していたからだ。

8月3日、蔡奇共産党中央政治局常務委員・中央書記処書記(前列中央)は習近平総書記の委託を受け、河北省北戴河で夏季休暇中の自然科学やエンジニアリング、社会科学、文化芸術など各分野の専門家らにねぎらいの言葉をかけたという。この前後に非公式の「北戴河会議」が開かれたのだろうか(写真:新華社/共同通信イメージズ)

戒厳令説も

 この頃から、「習近平重病説」「北京戒厳令説」など、明らかにフェイクニュースと思われる「怪しげな情報」が、続々と流れ始めた。誰が何の目的で流したのかは不明だが、いまの習近平体制に不満を抱いている中国国内、もしくは海外の勢力が、関係している可能性がある。

 例えば、台湾の有力紙『自由時報』(8月19日付)は、こう報じている。

<習近平が公開の場に姿を現さない間、インターネット上では多くのデマが現れた。昨日(18日)は、北京でクーデターが発生したという情報が出た。それによれば、17日の午後に、中南海で激しい銃撃戦が勃発し、(習近平)総書記とその家族を専門に警護する中央特勤局部隊が、投降を拒絶したため、人民解放軍38軍によって殲滅(せんめつ)させられた。

 また中南海西大門の外では、北京市民が激しい機銃掃射や迫撃砲の音を聞いた。北京全体を戒厳軍が封鎖し、飛行機や列車はすべてストップしている……>

 こうした噂を掻き消すかのように、8月19日、習近平主席が、20日ぶりに公の場に姿を見せた。冒頭述べたように、「社会主義の盟友」ベトナムの新たな指導者・蘇林(トー・ラム)国家主席兼ベトナム共産党書記長が、国賓として訪中。その歓迎式典と首脳会談を、人民大会堂で挙行したのだ。

 CCTV(中国中央広播電視総台)などの報道によれば、習近平主席は、次のように述べた。

「あなたは(ベトナム共産党の)書記長に就任して、一番先に中国を訪問した。そのことは、両党両国の関係を高度に重視していること、および中越関係がハイレベルであり戦略性を持っていることを十分に体現している。

 共同の理想信念は、中越両党が代々受け継いできた紅い遺伝子である。『越中の情や誼(よしみ)が深くて、同志は兄弟に加わる』という伝統的な友誼が凝結したものなのだ。

 世界の二つの共産党が執政する国として、中越両党は友好の初心を保持し、伝統的な友誼を継続させ、共同の使命を胸に刻むのだ。共産党の指導と社会主義制度を堅持し、具体的な戦略的意義を持った中越運命共同体の構築を継続、深化させ、世界の社会主義事業の発展を共同で促進していくのだ。

 私は蘇林(トー・ラム)同志と、良好な仕事関係と個人的な友誼を打ち立て、深く着実に中越運命共同体の構築を、ともにリードしていく所存だ……」

 習近平主席は健在だったではないか!

気になる習主席の「低姿勢」

 翌20日も、習主席は3つの行事をこなした。第一に、パリオリンピックに参加した中国選手全員を集めて、喜々として述べた。

8月20日、パリ五輪に参加した中国選手団と会見する習近平氏ら共産党と国家の指導者。習主席も満面の笑顔で選手と握手をしている(写真:新華社/共同通信イメージズ)

「国運が振興することは、すなわちスポーツが振興することだ。国家が強くなることは、スポーツが強くなることだ。中国は、道徳の金メダル、風格の金メダル、清廉な金メダルを世界に見せつけた……」

 中国が、アメリカと同数の40個の金メダルを獲得したことが嬉しいのである。

 第二は、訪中しているフィジーのシティベニ・ランブカ首相と首脳会談を行った。ランブカ首相は先月、第10回太平洋・島サミットで訪日したばかりだが、今回は北京だけでなく、雲南省、福建省、浙江省まで訪れた。

 第三は、やはり訪中している第6回発展途上国議員団と会見した。中国の全国人民代表大会が各国議会連盟に加入して、40周年を記念した行事だ。

 もっとも、この二日間の4つの行事での習近平主席の映像を見ていると、中国語で言うところの「低調」(ディーディアオ=低姿勢)が目立つ。この「低調」が何を意味するのかは不明だ。引き続き動向を注視していきたい。

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No.586-2 ★ アステラス社員起訴は「スパイ罪」=日本側に「教育・指導」 要求―中国

2024年08月23日 | 日記

時事通信

2024年8月22日

中国外務省の毛寧副報道局長=1月8日、北京(EPA時事)

【北京時事】中国外務省の毛寧副報道局長は22日の記者会見で、同国検察当局に起訴されたアステラス製薬の50代日本人男性社員について、「スパイ罪」に問われたことを明らかにした。「中国は法治国家であり、違法犯罪行為を法に基づき処罰する」と強調。日本側に対し「自国民が中国の法律法規を順守し、中国で違法犯罪行為に従事しないよう教育・指導することを望む」と述べた。

 毛氏は、どのような行為がスパイ罪に抵触したかなどの具体的内容には言及しなかった。

 日中関係筋は21日、中国側が今月中旬、男性を起訴したと日本政府に伝達したことを明らかにしていた。公判の手続きに入ることから、拘束の長期化が確実視されている。

 男性は昨年3月、中国駐在を終えて日本に帰任する直前に拘束された。日本政府が首脳会談などで早期解放を働き掛けてきたほか、経済界も司法の透明性確保を求めている。

 「国家安全」を最重要視する習近平政権は、2014年に反スパイ法を制定。翌15年以降に拘束された日本人は17人に上る。昨年にはスパイ摘発強化に向けた改正法を施行した。同法の規定はあいまいで、当局による恣意(しい)的な運用への懸念が広がっている。

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No.588 中国国債巡る当局警告、システミックリスク予防が目的=自主規制機関

2024年08月23日 | 日記

ロイター

2024年8月22日

 中国銀行間市場の自主規制機関、中国銀行間市場交易商協会(NAFMII)幹部のシュー・チョン氏は8月21日、長期国債投資への過剰な投資に対して人民銀行(中央銀行)が警鐘を鳴らしているのは、利回り低下の背後にあるかもしれないシステミックリスクの予防が目的だと説明した。2022年9月、北京で撮影(2024年 ロイター/Tingshu Wang)

[上海 21日 ロイター] - 中国銀行間市場の自主規制機関、中国銀行間市場交易商協会(NAFMII)幹部のシュー・チョン氏は21日、長期国債投資への過剰な投資に対して人民銀行(中央銀行)が警鐘を鳴らしているのは、利回り低下の背後にあるかもしれないシステミックリスクの予防が目的だと説明した。人民銀行系の金融時報のインタビューにおける発言。

中国では今年、景気減速や株価の不安定化を受け、安全な国債を買う動きが強まり、国債利回りが急低下(価格は急騰)した。こうした中で人民銀行や当局は、一方的な国債買いのリスクを再三にわたって警告。証券監督部門が幾つかの証券会社に自社の国債取引の点検を命じたほか、一部の証券会社は自主的に長期国債の取引を控えている。

シュー氏は、小規模な銀行の中には金利リスクにそれほど敏感にならず、預金を積極的に国債に振り向ける向きがあり、そうした戦略は自らのリスク管理能力を超えてしまっていると指摘した。

ただシュー氏は、人民銀行は国債利回りの目標レンジを設定しているわけではなく、中国のアプローチは利回りを一定水準に誘導する非伝統的金融政策の「イールドカーブ・コントロール」とは異なると付け加えた。

またシュー氏は、一部の金融機関が今度は一律的に国債取引を停止しているのは、人民銀行の意図を誤解しており、極端から極端に走るものだとの見方を示した。

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No.587 ★ 中国 休みの会社行事参加、社員過半が後ろ向き

2024年08月23日 | 日記

NNA ASIA

2024年8月22日

中国人材紹介大手の智聯招聘がまとめた中国企業の従業員を対象とした調査報告によると、企業が週末・祝日に旅行などの社内イベントを開くことに関して、従業員の過半が後ろ向きな感情を持っていた。「断りたいが勇気がない」「残業代を支払うべきだ」といった声が目立った。

21日に報告を発表した。回答数は不明。中国企業はチームワークの構築、社員間の親睦などを目的に、週末・祝日に社員を集めて旅行などの社内イベントを開くことがある。

「無料で旅行ができるなら参加するべきだ」という前向きと捉えられる意見は40.1%と比率は最多だった。特に1970年代生まれの世代で48.2%と高かった。

一方、その他の回答は全て参加に後ろ向き。「休みの時間が取られ、会社は残業代を支給すべきだ」との意見は30.8%となり、2番目に高い比率。「会社イベントという名の残業」と不満を表明したのは22.9%だった。

「断りたいが勇気がない」は19.8%で、中でも2000年以降生まれの層では22.6%となった。「イベントには参加しない」と回答したのは8.9%。

従業員に余暇の過ごし方を聞くと、「映画・ドラマ・バラエティー番組の鑑賞・視聴」が69.2%と最も高く、以下は「街歩き・ネットショッピング」(38.4%)、「グルメ探訪」(37.5%)、「読書」(33.2%)、「スポーツ・フィットネス」(27.1%)、「旅行」(22.1%)の順で続いた。釣りやキャンプなどを含む「アウトドア」は9.7%だった。

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