クランク交換の原因となった、クランクジャーナルのメッキのはがれは、前回に書いたとおり、スラストジャーナルにも及んでいたが、スラストメタルにその原因の証拠があった。
左上の1枚を除いて、他の3枚は、裏側のベースの鉄板のほうに、クランクの擦れた痕がついていた。 そう、3枚は逆さまに組んでいた証拠だ。
裏の硬いベースと、クランクのスラストジャーナルが擦れ合って、クランク側のメッキがはげたのだ。
以前の2回のO/Hのどちらかのメカニックによって、一番高価で大切なクランクシャフトは壊されていたのだ。
メカニックなら、この3枚の写真を見ただけで、どれほど大ばか者の未熟者が組んだものかがわかる。 116系は、トランスアクスルで、クラッチがエンジン側に無いために、本来ならスラスト方向の力は、ほとんどかからないのだが、先の、プロペラシャフトの無理やりの組みつけによる、前後振動の影響で、エンジンに、スラストの力が加わり、この裏返しに組んだメタルでは吸収できずに、クランクのスラスト部のメッキのはがれに及んだのだ。
もうひとつ、バラシ途中で、気がついたのが、ロアーチェーンのスプロケットの片減りだ。
うんと古いエンジンならよくある傷だが、この116エンジンで、こんなにきつい傷がついているのは珍しい。
この傷は、クランク側のスプロケットと、アイドラースプロケットのチェーンラインが出ていないことによるもので、真面目に気をつけてエンジンを組んでいるメカニックなら必ず発見できるものだ。
いい加減なメカニックはこういうところを見過ごすものだ。
フロントカバー内で、アイドラースプロケットは、前後を砲金ブッシュで保持されているのだが、こういう内部の寸法まで、きっちりと確認することもしていない、えせメカニックが、チェーンを新品に交換しお金儲けだけはしている事実。
フロントカバーを、組み付けた状態で、この前後のクリアランスが適正でなければならない。
こんな簡単なことも点検しないで、O/Hだの、チューニングだのよく言えたものだ。
最低限の点検さえする技量も無いのに。
技量があるって? なら、真面目に点検するという人間性が無いんだ。