CAFE PACIS

ユルゲンが「カフェで政治が行なわれているんだ」って言う。じゃあ、カフェで平和やるか。

「カトリーナ」で囚人はどこへ?

2005-09-14 23:39:11 | ニュース@海外
ハリケーンの被害を受け、ニューオーリンズでは、ダウンタウンにあるグレイハウンド・バス〔長距離バス会社〕と列車の駅に仮刑務所が設置された。

Democracy Now! 2005年9月13日

 近くにあったオーリンズ務所は「カトリーナ」で冠水したからである。この刑務所はじめニューオーリンズ各地の刑務所にいた囚人たちはどうなったのか。ルイジアナ州は昨日、囚人の現状確認のため人身保護令状を発行した。

 設置された仮刑務所では、アンゴラ刑務所の刑務所長バール・ケイン氏とニューヨークからニューオーリンズ入りしている護衛官が管理に当たっている。

エイミー・グッドマン:「ハリケーン上陸以来、一人の女性が精力的に動いています。ルイジアナ州アレクサンドリアの弁護士フィリス・マンさん。マン弁護士は昨日、ハリケーン後推定500名の女性囚人が男性用刑務所に収容されているアンゴラ刑務所を訪問しました。フィリスさん、アンゴラ刑務所で何が起こったのですか?」

フィリス・マン:「私を入れて3人の女性弁護士で、現在、アンゴラにあるルイジアナ州刑務所内の男性用重警備刑務所に仮収容されている499人の女性のうち199人から話を聞きました。この刑務所に女性が収容されたことは過去ないことです。

 この女性たちは、オーリンズ郡の刑務所にいたのですが冠水したためここに連れてこられた人たちです。一人ジャマイカ出身の49歳の方がいましたが、ビザが切れ超過滞在のため8月16日に逮捕されていた人です。強制送還される前にハリケーンが来たので、もうこれで1ヶ月ほど刑務所にいます。彼女は、進んでジャマイカに帰ると言っていました。今日聞いたところでは、喜んで帰るだけでなく、こんな体験は二度とごめんでアメリカに戻ってくる気はないとも言っていました。逮捕後はコンセッタと呼ばれている、オーリンズ郡の女性刑務所に収容されていて、そこが浸水しはじめたそうです。

 他の女性たちといっしょに最初は上の階に移動させられ、そこの階も冠水したので避難させられ、ボートで移動しました。多くの人が胸まで来ている水のなかを何時間も歩いたそうです。その中から何人かはボートに乗せられ、コーズウェイ橋まで連れて行かれ、そこでバスを待ち、そこからアンゴラに来ましたが、いまそこの寮に女性が100人収容されています。

 この人たちは、オーリンズで数日水も食べ物もなしで過ごし、最後には刑務所で水が止まってからはゴミ箱に洪水の水を入れて利用しました。飲むなと言われたそうですが、汚染されていたかもしれません。この女性たちは先ほど話したジャマイカの女性と似たり寄ったりの境遇の人、私やあなたもそうなっていたかもしれない人たちです。

 罰則金不払いのためそこにいた女性とも話しました。不払いで8月16日に逮捕され、いま重警備刑務所に入れられています。いつ彼女たちを出してあげられる見当はついていません。フェリーの横で寝ていたため逮捕された女性もいました。保釈金は600ドルで、8月3日以来拘束されています。ですが、オーリンズ郡で逮捕された人たちの記録がオーリンズ郡保安官〔裁判令状執行権、警察権を持つ〕が管理しているため、この記録が復元されるまでは、出してあげることができません。」

グッドマン:「オーリンズ刑務所にいた男性の囚人たちはどうなりました?」

マン:「先週、オーリンズ郡からラピード郡の刑務所に移された200人に話を聞きました。具体的に言うと、そのうち2人からほとんど信じがたい事を聞きいたのですが、彼らは連邦政府に抑留されている人たち、つまり連邦法上起訴されて、地方の刑務所に拘束されている人たちです。最初はオーリンズ郡にある「旧郡刑務所(Old Parish Prison)」に入れられていました。

 増水してきたので上の階へ移動させられ、最後には看守に体育館に連れていかれ、カギをかけられました。その後看守は戻ってこなかった。刑務所には、移動させられず独房に入ったままだった人もいました。どんどん水があがってきたのに一日半食べ物も水もなしにジムに入れられたままで、看守もいない状態。

 水が胸まで来たとき、体育館の窓を割って、文字通り泳いで刑務所を脱出しましたが、独房にいた人たちは逃げられませんでした。話を聞いた人たちは、その人たちは確実に溺れ死んだと言っていました。

 脱出した人たちは看守を一人見つけて出頭しました。オーリンズからハント矯正施設にバスで移され、そこで毛布を与えられ、要するにもう一日、二日丘の上で寝た。そこからまたバスでラピード郡に連れてこられました。

 繰り返しますが、問題のひとつは、オーリンズ郡保安官局の記録が復元されるまで、解決の見通しがないということです。それまで、オーリンズ郡の各刑務所に誰が収容されていたかさえ分からない。何人が脱出できなかったのかも分かりません。

グッドマン:「インタビューした人たちは、何の罪で起訴されていたのですか?」

マン:「先ほどの男性2人は、連邦法違反と言っていました。薬物法です。ですが、オーリンズ郡刑務所で上階へ移動させられた人全員が重罪で起訴されていたわけではありません。多くの人たちが、今日話をした女性同様、ほんの軽い容疑で逮捕された人たちです。公共での酒気帯び、マリファナ入れぐらいにしか大したものじゃない麻薬道具の所持などでの逮捕です。不法侵入で起訴された人もいましたし、保釈金支払いを待っている人や、法廷出頭をしないためだった人、薬物使用での裁判に出なかったためだったり、単に注目を得るか何かのために7日刑務所にいたという人もいました。こうなった今、否が応でも注目されていますよ。

グッドマン:「彼らはこれからどうなりますか?」

マン:「最終的には、何とか解決します。州全体に犯罪被告人弁護士がいるので、各施設に足を運びます。分かっている限りではルイジアナ州には35施設があって、オーリンズ郡の刑務所からは全部で8500人余が避難しました。私たちは、文字通りそこに行って一人一人彼らと会って、逮捕された日、容疑、起訴の有無、裁判の予定、軽犯罪か重犯罪かなどき聞きださなくてはなりません。

 オーリンズ郡保安官刑法部門のコンピューターは、金曜にオーリンズ郡から回収されており、情報管理スタッフが最大限のデータ回復に努めています。そのあとは復元されたデータと、私たちの聞き取り情報を一つひとつ照らし合わせて、今後しかるべき対応をとります。半数はそもそも刑務所にいるべき人たちではありません。判決にしたがったので釈放されるべきだった人たちです。しかしそれが分かるまでは刑務所生活です。

グッドマン:「判決を下されてさえいない人もいるということですか?」

マン:「彼らの多くがそうです。起訴すらされていません。アメリカ全国民がそうですが、彼らは逮捕されても有罪が立証されるまで推定無罪の人たちで、裁判を受け機会すら得ていない人たちです。」

グッドマン:「彼らが家族と連絡を取る方法はありますか?」

マン:「ハント矯正施設を通したホットラインがあるのでそこから連絡をとれます。225-342-5935または342-3998にかけてください。ハリケーン被害をうけたセント・バーナード、オーリンズ、ジェファソン、プラックマン郡の刑務所にいた家族がいる人はここに電話して、自分たちの場所と連絡先のメッセージを残してください。ハント矯正施設から、家族がどこに収容されているか確認もできます。やっと避難先のリストが完成したので、仮収容先が分かるはずです。」

グッドマン:「ありがとうございます。ルイジアナ州アレクサンドリア弁護士のフィリス・マンさんでした。現在、8000人ほどとみられている囚人の居場所、避難させられたのか、生存しているのかといった状況を把握するための人身保護令状が出されています。」

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過剰殺戮:ニューオーリンズにブラックウォーター社の傭兵

2005-09-13 12:11:38 | ニュース@海外
【ニューオーリンズ】イラクでの任務で悪名高い民間警備会社「ブラックウォーター」の完全武装傭兵集団がニューオーリンズで公然と仕事をしている。

ジェレミー・スケイヒル、ダニエラ・クレプソ
Democracy Now!

 何人かの同社傭兵によると、自分たちはルイジアナ州知事に「代理任命された」とのことで、確かに胸にはルイジアナ州法執行権限を示す金バッチと、ブラックウォーター社の顔写真入ID腕章もつけている。国家安全保障省と契約している、武器の使用権限もおりているそうだ。また、彼らはイラクで米占領のトップだったL・ポール・ブレマーや元駐イラク大使ジョン・ネグロポンテの護衛をしていたそうだ。

 「俺たちみたいなのが米本土に配備されるのはまったく初めて」。フレンチ・クウォーター地区のバーボン・ストリートにいた私たちに完全武装した同社傭兵が語った。「イラクの状況に対応するには俺たちの装備のほうがずっとましだよ」。

 同社の傭兵は世界でもっとも恐れられている殺人専門家集団のひとつで、法的影響を心配せずに仕事をすることに慣れている。ニューオーリンズに彼らがいることは、市内に残っている住民にとって重大な問題であり、なぜ政府がイラクやアフガニスタンのような場所で刑罰を受けることなく殺す訓練を受けている人間の活動を容認しているのか、ただならぬ問題を提起している。いまニューオーリンズにいる傭兵のなかには、つい2週間前イラクから戻ってきた人間もいる。

 ブラックウォーターは、イラクとアフガニスタン占領にあたり「警備」を提供する有数の民間会社である。米政府とも何件か契約を結んでおり、これまで米大使、外国の首脳、企業の警備をおこなってきた。同社が国際的注目を浴びたのは、2004年3月、社員4人がファルージャで殺され、うち2人の焼け焦げた死体が橋に吊るされた事件においてである。このあとアメリカはファルージャの一般人に大量報復攻撃をかけ、結果大量の死者と数万人の難民を出した。

 現在ニューオーリンズに残る住民が強制避難の脅しにさらされ、市当局が一般市民から正規登録済みの武器まで没収するなか、ブラックウォーターの傭兵が公然とM16ライフルなどをもって街を巡察している。「法執行権限をもつものだけが武器携帯できる」という警察のエディー・コンパス本部長の話と違っている。

 同社によると、表向きは、ニューオーリンズへの部隊配備は「ハリケーン救援作業に協力する」ためらしい。同社ウェブサイトで9月1日付け声明をみると、空輸・警備サービス、群衆整理にあたっている。報道によると、この間同社は、ホテル、事業、その他の地所を警備する契約も結んでいる。しかし世間に知られていないのは、2人の傭兵が語ったように、彼が「地域警備」と「犯罪者への対応」を含む法執行任務一般に従事していることである。

 これは一大問題である。ブラックウォーターは一体誰の権限下で仕事をしているのか。国家安全保障省のラス・ノック広報官はワシントンポスト紙に、連邦政府としてはブラックウォーターや民間セキュリティー会社を雇う計画はない、と語った。「政府として法執行をするにあたっては、治安維持に応えるための適切な組み合わせの人員が組織されていると思います」と。

 しかし、数人のブラックウォーター社傭兵と一時間ほど話したところでは、そうではない。彼らが言うには、自分たちは確かに国土安全保障省とルイジアナ知事室との契約で仕事をしており、同省がニューオーリンズとバートンルージュに設置したキャンプで寝泊りしている。うち一人はルイジアナ州法執行機関の金バッチをつけていたし、知事に「代理任命」されていると語っていた。しかも、逮捕権限だけでなく武器使用も許可されていると言う。閑散としたフレンチ・クオーターを歩くと同社の部隊と遭遇した。ここで2人のニューヨーク市警と話をしていた時、ナンバープレートがない車がスピードを出して走ってきて我々の隣に止まった。中にはカーキの制服に防弾チョッキをつけ自動操縦を持った男が3人いて、「ブラックウォーターの連中がどこにいるか知ってるか?」と聞いてきた。警官の一人が「あの辺にいるよ」といって道の向こうを差した。

 「ブラックウォーター?」、「あのイラクにいる連中?」と我々が聞くと、

警官は「そう」、「このあたり一体にいるよ」と答えた。
 
 それから少しあと、バーボン・ストリートを歩き続けていると、さっきの車に乗っていた男たちがいた。腕にブラックウォーター社のIDをつけている。

 一人が「ニューオーリンズでの仕事って聞いたとき、それってどこの国?って聞いたよ」と言う。見ると「Operation Iraqi Freedom(イラク解放作戦)」と印刷されたケースに入った社章IDを首から提げている。彼は、イラクで「国務省指定危険レベル5の状況下で、防弾仕様のBMW」を運転していると自慢したあと、自分は「正真正銘の戦闘下にある(イラク北部の)キルクークに戻るところだった」と言った。そのあと、彼の携帯会話を耳にしたが、ブラックウォーターは一日350プラス旅費日当しか払っていないとこぼしていた。イラクの危険地域での稼ぎよりずっと少ない。話をした二人は10月にイラクに戻るつもりだと言っていたが、一人は、会社からはニューオーリンズに6ヶ月近くいてもらうかもしれないと聞いていると言っていた。「時代の流れだよ」、「こういう状況になると、俺たちみたいな連中がもっとたくさん出てくるよ。」

 イラクにおけるブラックウォーターの評判と経歴を見るなら、同社が提供するこの種の「サービス」が何を意味するのかが見えてくる。ニューオーリンズの人たちは十分警戒すべきである。

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ハリケーン「カタリーナ」:他国援助は拒否。イラクにある装備も投入せず。

2005-09-12 23:51:14 | ニュース@海外
 政治的、経済的立場の違いを超え、ハリケーン「カトリーナ」被害者への支援申し入れが諸外国から殺到している。


Democracy Now!
2005年9月8日報道

 ドイツとイタリアからは食糧、カナダとシンガポールからは航空機とヘリコプターが提供された。ギリシャからは家屋からの避難作業用に巡航船が二隻届いた。

アフガニスタンとアルメニアはそれぞれ10万ドルの提供を申し入れた。アメリカの援助受入国であるスリランカは2万5千ドルの現金提供を申し入れている。日曜には国連が、アメリカが国連の援助申し入れを受け入れたと発表。しかし、すべての援助が歓迎されているわけではない。ベネズエラからの申し入れにたいする対応は遅かった。駐米ベネズエラ大使は、積載量最大でガソリンをアメリカに輸送していると語った。このガソリンは寄付ではなく、間もなく市場で出回る予定である。

先週火曜にはキューバが医師1100名を送ると申し入れた。この医師たちは先週水曜には米国入りできる準備があったとキューバは述べた。が、キューバ政府は、米国務省が援助申し入れを拒否したと発表。さらにアメリカは、2000万バレルの石油を輸送するという昨日のイランの申し入れも拒否。申し入れは、アメリカの対イラン経済制裁撤回を条件にしたものであった。国務省事務局長のハリー・トーマスによると、アメリカはこれまで95カ国から、総額10億ドル近い援助を受け入れると表明している。

フィリス・ベニス(Institute for Foreign Studies特別研究員):「キューバは、過去にもやっていますが、直接かつ大変集中的な緊急援助を申し入れています。カストロ大統領は、まず100名の医師派遣を具体的に申し入れ、その後500名、さらに600名の追加派遣を申し入れました。全員がハリケーン救援医療用の24キロリュックで装備した医師です。ハリケーンの季節になると当然キューバは危険地域に位置していますから、世界有数の対策システムを創り上げています。国連が屈指の対策体制、避難体制と認めているものです。ですからキューバの医師はハリケーン被害者への対応をよく心得ています。

 キューバはまずハバナにある米利益代表部(US Interests Section)とワシントンの国務省の両方で、内々で申し入れをしました。返事はありませんでした。昨日、国務省はだれの援助も拒否していないと主張しました。国務省の報道官は明確に、キューバからの公式申し入れはない、カストロが医師たちがいるところでテレビカメラの前に立っていたからといってそれが公式申し入れを意味するわけではない、と言って、キューバ側が特に事を政治沙汰にしたくないと思っていたときにおこなった最初の内々の申し入れも否定しました。キューバは、必要になると分かっているものを援助したかったのですが。

 キューバの申し入れは、援助を申し入れている諸国のリストにすら入っていません。異常なのは、真っ先に受け入れられた援助物資が、米軍が世界中で提供しているものであることです。たとえば、シンガポールとカナダからは輸送機援助、スペインからは装備完備の貨物機を受け入れています。ドイツとイタリアからは軍用携行食――ペンタゴンが世界中に配っているインスタント食品です。こうしたものが受け取っている援助の中身です。

 つまり世間に対し、自分たちがイラクで戦争をしている間、津波で大きな被害を受けたスリランカの2万5千ドルとか世界最貧国のひとつバングラデシュからの100万ドルなどを含む他国の寄付に依存しなくてはならない、と言っているということです。こうした申し入れを受け入れているのは、国をより安全にするためと言われているイラク戦争のあいだ、アメリカがこの種の基本的な援助すら国民に提供することが出来なくなっているからです。」

エイミー・グッドマン:「キューバの医科大が設立されたのは、ハリケーン対策のためでしたか?」

ベニス:「1994年に中米を大型ハリケーンが襲ったとき、キューバは並みならぬ対策をとって医師4千人を中米に派遣しました。医師たちは、災害のひどさもさることながら、自分たちが見聞きしてきたことに衝撃を受けました。現地では貧困層や地方の村の人たちが医者など見たこともない生活をしていたからです。そこで彼らは帰国後、政府にこうした中米の貧困社会を援助するよう要求しました。

 この要請を基に、キューバは2年前に閉鎖されていた元海軍基地に医科大を作りました。そこを訪問したことがあるのですが、ハバナの北にある、何にも使われていなかったとても美しい海岸地域にあります。スペイン王室の資金援助を受けた最先端の医科大で、はじめは中米の医師を養成していましたが、いまはラテンアメリカ全土から学生が来ています。ちょうど一ヶ月間に、6年間の訓練を受けた第一期生が卒業しています。

 学費は全額無料で、教材、寮、制服、衣服、休暇に故郷にもどる旅費なども全額援助されています。卒業して自国に戻ったとき貧困地域で最低3年間医療活動をおこなうことが唯一援助の条件で、医師として仕事を始めるに必要なものも全部提供されますし、ラテンアメリカの国ならどこでも開業できる免許も得て国に戻ります。キューバがハリケーン対策をどれだけ優先させているかを示す例ですが、必要なところに救援の手を送るだけでなく、将来における計画にあたっての対外援助でもあります。明らかに、アメリカにはこの種の政策はありません。」

グッドマン:「ベネズエラなどの国や、諸国連合体の国連はどうですか?」

ベニス:「国連の申し入れは受け入れていますが、実際に援助活動許可を出すかどうかはまだ分かりません。人道支援の非常に優れた専門チームである国連人道問題調整事務所(OCHA)は、体制設置・管理の専門家や浄水専門家など、決定的に必要であることが明白なのに、米政府が被害地に派遣できないか、派遣する気がない種類の人たちを送ると言っています。やっと国連のこの申し入れを受け入れ、他にも寄付や援助申し入れも理論上は受け入れていますが、ほとんどは拒否しています。

 今日のワシントンポスト紙にとんでもない記事が載っていました。スウェーデンが大量の浄水器と即時使用可能な携帯電話システムとそのシステム設置エンジニアを食糧・水も持参して送ると申し入れていました。ドイツ経由で同時に5000件の通話を可能にするものです。ドイツの会社と共同しての援助ですが、連邦緊急事態管理局(FEMA)が、受け入れに必要な手続きなど考えてから返事をするのに5日もかかった、というのです。今日にでも物資、資金、緊急事態専門の部隊、機材を送るといっている国に返事をするのに巨大な官僚の障害物が立ちふさがっているのが現状です。FEMAの官僚的やりかたで全部止まっています。尋常でない問題です。

 一方でアメリカは驚くべき容認発言もしました。一貫して国連を時代遅れと描き出そうとし、国連がしようとすることをかたっばしから邪魔してきたこの政権、とくに新しい国連大使のジョン・ボルトンがそうですが、このアメリカが国連の援助が必要だと認めたのです。ボルトン曰く、アメリカの無骨な個人主義だけでは不十分なこともあるかもしれない、からだそうです。アメリカ国民が主張してきたようにイラク戦争で国は安全になどなっていないという、アメリカの単独行動主義の破綻を認めた一大譲歩ですよ。

 イラク戦争で、必要な資源がとられています。ルイジアナ州の州兵三分の一がいなかったのはイラクに配備されているからです。水陸両用車などルイジアナの州兵の装備のほとんど半分がイラクにあるので使えなかった。アメリカで水陸両用ボートを持っているのはルイジアナ州兵だけです。このボートが要るのはこの州ぐらいですから。でも肝心な時にない。ルイジアナ州兵の救助ヘリで現地にあったのは2機だけで、ほかは全部イラクにある。ですから、イラク戦争、この単独行動戦争はこういった緊急事態に政府が対応する上での能力に劇的に影響しています。元国際アラビア馬協会の審査員長をしていたマイケル・ブラウン率いるFEMA自体が無能であるという問題もあります。この危機的事態への対応の無能ぶりをさらけだしましたから。

 ということで、世界最強で、最も富める国アメリカが、この危機的瞬間に、ルイジアナとミシシッピの貧困層・圧倒的に黒人が多い地域の自国民を助けられないことを国際的に認めたということは、この国で私たちが犠牲にしていることの実態を強く物語っています。とくに、イラク戦争のため、アメリカは他国を必要しないと世界に証明しようとするがために、とりわけ貧困層と有色人層が払っている犠牲がよく分かります。こんな主張がウソであることが証明されています。」

グッドマン:「最後に、世界最貧国のひとつバングラデシュが援助申し入れをしていますし、ベネズエラのチャべス大統領は、ベネズエラのガソリンスタンド「シッゴー(Citgo)」がこの国にありますから、そこからの援助を申し入れていますね。」

ベニス:「ベネズエラは安価でガソリンと、ハリケーン被害者には燃料も提供すると言っています。被災地域に即時入れる医師と人道支援要員の派遣も申し入れています。ベネズエラは近いですから数時間で米国入りできる。なのにアメリカは受け入れると言っていません。現金を受け取っているのは、アメリカ赤十字を経由しているからです。恐ろしいのは、指摘されたとおり、去年のクリスマスの時期に起きた津波の被害からまだ復興しきっていないスリランカが出す2万5千ドルや、世界最貧国のバングラデシュの100万ドルは受け取っていることです。」

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ハリケーンと狂信ヤクザ集団ブッシュ政権の手。それとシェルのもうけ。

2005-09-12 12:38:51 | ニュース@海外
「カタリーナ」に対するのFEMAの恐るべきお粗末な対応は、ブッシュ政権はの報酬的人事の行く先を示した氷山の一角。またこの政権に多大な影響力を及ぼすキリスト教右派にも、当然不当な待遇が与えられています。同時に、惨事を好機にと、稼ぎを上げる産業の構造は不変です。この記事にはありませんが、イラク「復興」で稼ぎまくっているハリバートン社もニューオーリンズ復興事業ですでに契約をとっています。

惨事を政治的報酬に利用
ホアン・ゴンザレス
2005年9月6日
ニューヨーク・デイリーニュース
http://www.nydailynews.com/front/story/343813p-293471c.html

 またしても緊急事態管理局(FEMA)。

 ハリケーン「カトリーナ」へのお粗末な対応で非難の嵐を受けているというのに、今度は緊急事態管理局、なんと異議申し立てを受けるまで、ハリケーン被害救援募金を政治的報酬に利用していた。

 先週FEMA官僚らは、同局のウェブサイトに募金送金先としてオペレーション・ブレシング(Operation Blessing、神の恵み作戦)を優先してリストアップした。これは、あの右翼伝道者で「キリスト者連合(Christian Coalition)」創設者パット・ロバートソンが運営するバージニア州の慈善団体である。

 現金での寄付先としてFEMAは、赤十字、オペレーション・ブレシング、全米食糧銀行の連合体であるセカンド・ハーベスト(America’s Second Harvest)の三団体を挙げた。

 この最初のリストに続いて2番目のリストがあるのだが、ここには宗教および非キリスト教系慈善団体が数十ほど挙げられていて、これは現金以外の寄付も受け付ける。

 選挙の場合も大体そうなのだが、リストの最初にある団体のほうがずっと目に付きやすいし、選ばれやすい。

 さらに、このFEMAリストは州・地方政府を通じて全米に配られた。たとえば、先週ニューヨークではパタキ州知事とブルームバーグ・ニューヨーク市長の両方が、このFEMAリストトップ3団体をそのまま自分たちのハリケーン「カトリーナ」プレスリリースとウェブサイトに載せた。

 しかし、ロバートソンと彼の慈善事業を知る者にはあぜんとする事態であった。

 年間1億9000万ドルの予算を持つオペレーション・ブレシングは、ロバートソン帝国に不可欠な団体で、ここではロバートソン自身が議長を務めるだけでなく、最新の財政報告によれば彼の妻が副会長、息子の一人が理事の椅子に座っている。

 1994年、ルワンダであのジェノサイドが進行していたとき、ロバートソンは自身がホストを務める毎日放映のCATV番組「700クラブ」を使って、人道救援物資空輸のための募金を国民に呼びかけた。(旧)ザイール経由でルワンダ難民を援助しよう、というのである。

 が、オペレーション・ブレシングが購入した飛行機が運んだのは救援物資だけではなかった。

 この救援を調査したバージニア州検事当局は1999年、これらの飛行機が運んだ大半が、「アフリカ開発会社(African Development Corp.)」と呼ばれる営利会社が運営するダイヤモンド事業用の採掘機材であった、との結論したのである。

 さて、この採鉱会社のトップで唯一の株所有者が誰だったかお分かりだろうか。

 もちろん、パット・ロバートソン自身である。

 ロバートソンは、当時のザイール独裁者であり長年の友人であるモブツ・セセ・セイコから採掘権を得ていたのである。

 検察は、オペレーション・ブレシングは「人を惑わす言い方で、国民から故意に募金を引き出した」と結論した。

 この調査の後、ロバートソンは、受け取った募金40万ドルを個人的に返金し、経理の厳格化に合意することで、州当局を懐柔した。

 最新の会計報告によれば、慈善事業として最大の政府補助金を受けたのが、ロバートソンの「クリスチャン放送ネットワーク」で、2004年(3月締)年度で88万5千ドルを受けとっている。

 ロバートソンは、明らかにキリスト教の精神に反する目的のために、このクリスチャン・ネットワークを使っている。

 数年前、彼はチャールズ・テイラー氏を繰り返し擁護した。元リベリアの残虐な独裁者であり、現在国連法廷で戦犯起訴されている人物である。

 コンゴ(旧ザイール)でモブツと組んだ時と同様、ここでも個人的利害が絡んでいたのである。報道によれば、ロバートソンはテイラーの便宜により、リベリアの金鉱に数百万ドルの投資をしていたのだ。

 ついこの間、ロバートソンはベネズエラのウーゴ・チャベス大統領の暗殺を呼びかけた。FEMAがロバートソンの団体を募金受付先に指定したことで、経歴を知る人たちからごうごうたる非難が起き、日曜FEMAは突如、サイトの募金団体を一新した。

 結果、オペレーション・ブレシングはリストから消え、代わりに50の全国救援組織がアルファベット順で並んでいる。

連邦緊急事態管理局――正常に事を進めるにはだいぶ手間取る組織である。


シェル:ガソリンスタンドのゲームで大勝
ホアン・ゴンザレス
2005年9月8日
New York Daily News
http://www.nydailynews.com/news/col/jgonzalez/

 ハリケーン「カトリーナ」が湾岸に上陸する3日前の9月1日、シェル・オイル社のテキサス本部で幹部らが会合、ガソリンの不当な値上げに反対を表明した。

 シェルはプレスリリースで「シェルの卸売業者、販売者には、・・・この間自制をしていただきたい」と発表。

 同社は、国民に対し「ガススタンドが通常市場価格を超える値段で売っていると思ったら」地方政府と連絡を取ることすら求めた。

 それと同じ日、シェルの製油子会社であるモティバ・エンタープライズLCCは、(ニューヨーク市)ブロンクス一体でシェルのガソリン卸価格をガロン当たり20セントも引き上げた(Daily News入手のシェル社記録による)。記録を見ると、ハリケーンの惨事以来、ブロンクス地区の業者に対しシェルが6回にわたり値上げをしてきている、ことが分かる。

 8月31日、シェルはまず午後3時、次に午後6時と一日のうちに2度値上げを行った。同社のやり方をブロンクスのあるシェル・ガソリン販売者は「石油会社は制御不能」とぶちまけた。

 匿名を希望したこのディーラーは、「問題は供給ではない」と言う。

 「シェルは、俺たちが値上げをせざるを得ないところに追い込んでいる。いまあるガソリンは一ヶ月前に精製されたものだから、値上げの必要なんてないんだ。欲だよ、欲。」

 シェルのガソリン価格はとなりのスタンドの価格にも左右される。たとえば、ブロンクスの北、東223ストリートにあるシェルのスタンドは昨日の時点で、プレミアムをガロン当たり3ドル51セントで売っていた。コーオプ市のバートン・アベニューにあるスタンドはそれより38セント高い3.89であった。

 223ストリートスタンドのアドナン・マズニフによると、「この3日間値上げはなかった」。

 しかし、ブルックナー・ブルバードとキャスルヒル・アベニューにあるシェルのスタンドでは、昨日のプレミアム価格が3ドル59セントだったのに、火曜、卸売り業者がシェルからEメールで卸価格値上げの知らせを受け取ったというのだ。メールは、昨日午後8時をもってガロン当たり20セント値上げをする、と通告していた。

石油会社が、おなじ地区のスタンドにばらばらの値を請求することなど一体できるのであろうか。

ニューヨーク州議員のリチャード・ブロドスキーによると、現実は、こうしたやり方は我々が気づいているより頻繁に行われているという。

「これは地域別値付けといって、石油会社はある地域のスタンドに高値を押し付ける。需要供給に無関係の人為的値上げです。」

つまり、便乗値上げである。

同議員は、オルバニー市で地域別値付けを違法化する法案を提出している。

しかし、パタキ知事政権も、ニューヨーク市も、ハリケーン以降のこの不当な値上げにはたいした関心を払っていないように見える。この問題で発言しているのは、チャック・シューマー上院議員(民主・ニューヨーク州選出)ぐらいである。

ウォール街の悪党の征伐しては新聞の一面を飾って喜んでいる検事総長エリオット・スピッツアーも、ことが石油会社がドライバーから日々数百億ドルを掠め取っていることになると、任務放棄をしている。

どうやら、石油会社はカタリーナを利用して、数年前カリフォルニア州の電力不足のときエンロン社やガス会社がした以上の稼ぎを上げているようである。

昨日シェル本社に、需要供給の現状と、ハリケーンが石油価格に及ぼしている影響について問い合わせたところ、広報担当者からEメールで、シェル社のウェブサイトを見るように、との返事が返ってきた。

サイトを見て、メキシコ湾岸地域に数千の従業員と3つの精製工場を持つ同社が、ハリケーン救援に急遽300万ドルの寄付を発表していることが分かった。

2005年第2四半期でロイヤルダッチシェルが上げた利益は52億ドル。2004年の同時期から34%の上昇である。

つまり、シェルはこの時期あげた利益の約1時間分を、湾岸で家を失った数十万の人たちに寄付している、ということだ。

この間、ニューヨーク市の最貧地区であるブロンクスでは、ガソリン価格が10日間で6回も上昇している。

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ニューオーリンズからその3:タイムス・ピキューン紙の伝言板が伝える災害の恐怖

2005-09-03 00:32:43 | ニュース@海外
mediachannel.org--the global network for democratic mediaより

mediachannel Greg Michell編集(gmitchell@editorandpublisher.com)
2005年9月1日午後1:51掲示
 
 ニューオーリンズでの何千人もを巻き込む大災害が世界中で報道されているが、その間個々人の助けを求める声は聞こえてこない。この間、現地のタイムス・ピキューン紙は、救援を求める読者に向けブログ、討論欄、速報板を運営してきた。今朝、ここでの助けを求める声は身も凍るような状況を伝えるものになった。この三時間に寄せられた一部を伝えたい。

 「助けてください。
  いま伝え聞いたのですが、友人たちがロイヤル・ストリートの2716にある倉庫に閉じ込められています。外では銃撃が聞こえているそうです。」

 「いま、キャンプ・ストリートとセントマリー・ストリートの間に避難していた近所の人から話を聞きました。ジャクソン・ストリート沿いは銃殺死体でいっぱいだったそうです。12~15歳ぐらいの女の子が二人死んでいたのを見たとき、脱出しなければ身が危ないと感じたと言っていました。州兵はどこにいるんですか。救助してください。」

 「武装強盗集団がチューレーン大学医療センター(または病院)を包囲しているようです。屋根で身動きが取れなくなった医師がひとり父親(ニュージャージー州法律事務所の依頼人)に電話して警告しています。
彼らは屋根にいます。ヘリコプターで救助してください。」

 「リバーベンドの状況は絶望的です。
  今朝(木曜)、キャロルトンとセント・チャールズの付近にいるリバーベンドのおじと話しました。おじと何人かの(年配の)居住者が閉じ込められていて、治安は絶望的です。暑さは極限に達し、銃を持った略奪ギャングたちがうろついているそうです。彼らは切削機も持っていて家屋をぶち壊して押し入っています。おじたちにはいっさい避難情報がきていません。リーク・アベニューとリバー・ロードは水が引いていますが、外に出れば、撃たれたり、車ごと襲撃されるのを恐れて出られない状態です。少なくともダウンタウンの人たちは必死で助けを求めています。誰でもいいから電話で連絡を取ろうとしていますが、当然電話は不通。当局の人はこれを見たら、救援を送ってください。」

 「沿岸警備隊に、ニューオーリンズ大学キャンパスの建物を捜索するよう知らせてください。パトリック・ジョリーほか何名かが冠水した建物に閉じ込められています。ジョリーとは二日前に連絡が途切れました。彼は糖尿病で、他に何人かが一緒です。彼が最後に娘さんと話をしたときは、堤防決壊で水が押し寄せ、近くにいる女の子が喘息の発作を起こしていたそうです。市の関係者にキャンパスの建物全部を探すようどうか伝えてください。」

 「私の母は、デロレース・ペイジ伍長で、ニューオーリンズの保安官部門で仕事をしています。1時間ほど前彼女と話をしましたが、保安官代理たちと、囚人と一緒に移動する途中、タイムス・ピキューン社近くのブロード・ブリッジで逃げ場を失い、そこで4日間飲まず食わずで過ごしています。囚人を保護しに当局関係者が来たそうですが、保安官たちはそこにとり残されました。母は糖尿病持ちだし、すべてを失ったそうで、ものすごく心配です。お願いです、どうか、どうか母たちを助けてください。そこらじゅうで人が死んでいっているとも言っていました。救援を送ってください。」

 「孫息子を探しています。名前はブランドン・チャイルズで身長は120センチぐらい。6歳で金髪、目の色は茶色です。どこにいるか知っている人がいたら、billychilds@***charter.com.に連絡を下さい。」

 「いま義理の姉ビッキーから電話がありました。彼女は3,4人の大人と一緒で、一人が重度の喘息持ちで薬を持ち合わせていないそうです。昨日ボートで脱出を試みましたが、略奪者に銃撃されました。彼女は誰か救助できそうな人がいないかあちこち電話しており、だれか救援につながりそうな連絡先や提案を寄せて欲しいと願っています。どうか、現役・退役問わず州兵や軍関係者の知人がおられる方にこのメールを転送してください。サウス・カリボーンとウィローの間にある家のテラスで赤旗を振っています。
お時間・ご検討ありがとうございます。」

 「妹はビロクシで嵐を乗り切りました。彼女の18歳の娘はトラウマを抱えた病人で(アリシア・テイラー。飲酒運転者に轢かれた)、薬、チューブ摂取用栄養剤が今にも切れそうです。近所の人たちが草刈機の燃料を集めて彼らを避難させようとしましたがダメでした。通信手段がなく一切援助がきていない他の多くの人たち同様、彼らもいますぐ救援が要ります。軍にいる甥がジョージアを発って、チヌーク・ヘリでノラに救助に向かいましたが、自分の叔母といとこの助けにいけないなんて。状況は嵐の後の方がずっと悪く、救助の手は届いていませんし、ガソリンなしでは誰も脱出できません。」

 「この間ずっと掲示板の連絡を追っていましたが、まだ誰もザビエル大学の学生たちのことは書いていません。学生寮に、水も食料もないまま、少なくとも400人が閉じ込められています。私が把握している限りでは、警察はキャンパスに人が残っているか確認しませんでした。彼らがいますぐ救助が必要だと知らせるために書いています。女性たちは5階で男性は6階にいます。悲惨な状況で出来るだけ早い助けが必要です。」

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ニューオーリンズの病院からの報告その2 「水がない。病気。誰かに助けを求めてくれ」

2005-09-02 14:36:25 | ニュース@海外
ニューオーリンズのテナント記念病院で、入院患者などと共に逃げ場を失い、救援活動にあたっているビル・クイグリー教授からの報告の続きです。

その前に。

あるMLで「あえて厳しい言い方をするならば、米国民に対しては同情はするけれども全てはあなた方が選んだ政権のしてきたことのツケであると言わざるを得ません。実際は不正選挙で政権を強奪したのだとしても。」という意見がありました。「厳しい」言い方?憤慨しています。不正選挙がまかり通るようなアメリカだからこそ国民が苦悩しているという理解の完全なる欠如。

もうひとつ。日経の9月1日夕刊の「ウォール街ラウンドアップ」の記事。

「大型ハリケーン『カトリーナ』をめぐるメリルリンチのリポートが話題をさらった。結論は『ハリケーンの実質国内総生産への影響は差し引きプラス』。経済的な被害は大きいが、いずれ復興需要をうみだすからだという。事実、この日は復興関連銘柄への買いが相場を押し上げた。キャタピラーが3%高、住宅建設大手KBホームが5%高といった具合で売上高も膨らんだ。」

確かにGDP的に見ればそうかもしれません、が、この大惨事を目の前に、なお関心は投機である人たちが大勢いる現実は本当に悲しい。

一方、今日の「しんぶん赤旗」(9月2日)は、自公政権が5つの測候所廃止を計画していると報道。アメリカであろうが日本であろうがイラクであろうがアフリカであろうが国民の命をまもる政治を目指したいものです。

(なお、前回の「国家警備隊」は「州兵」と訳す、との指摘がありました。ありがとうございます。)

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Democracy Now! 2005年9月1日報道

「・・・Democracy Now!では、水曜一日中クイグリー教授と連絡を取ろうと試みましたがだめでした。教授と水曜夕方文書連絡をした彼の同僚が私たちに伝えたところ、教授からのメッセージには「水がない、病気、熱源なし、誰かに助けを求めてくれ」とありました。この同僚の女性が赤十字に援助の電話をかけたところ、赤十字は自分たちは救助できない、沿岸警備隊に連絡を取るように、と言ったそうです。彼女は沿岸警備隊に数時間連絡を試みましたがつながりませんでした。」

 以下、Democracy Now!が火曜日に連絡を取ったときの教授の報告の後半。

 「ビル・クイグリー:いま病院には1300人がいて、うち数百人が患者、数百が患者の家族、数百がスタッフです。スタッフの乳幼児も一緒です。ニューオーリンズがハリケーンに見舞われたとき、スタッフに働いてもらうには、家族も一緒に来てもらうしかありません。ですから子どもたち赤ん坊、親などをいれて全部で1300人ぐらいいます。

 この時点で、病院の外の水位は5フィート(約8ートル)で、病院のメインの階段吹き抜けの電力が切れました。病院全体で電力が下がっています。空調もなく建物が密閉されていて、風を入れるのに窓やドアを開けることが出来ないため非常に暑いです。上の階は水圧が下がっているので水洗便所などが使えません。電力が切れている部分と、水圧がない部分とがあります。水位は上昇していて、これ以上高くなると電力が全部切れるでしょうから、そうなると内部の通信機能を失います。

 病院には、私の妻が働いているガン病棟、骨髄病棟があります。私はボランティアで来ましたが、今日移植手術をした患者がいますし、さまざまな種類のガン患者、化学療法を受けている患者もいます。点滴、輸血といった医療は集中的に電気を使うものなので、みんなかなり神経質になっています。ハリケーンの暴風雨で病院の窓がいくつか吹き飛んだので、その部分を閉鎖したのですが、今朝は事態が好転するだろうとほんとに思っていたのに、今日になってみると水位が上がり始め、電気が切れ始め、一日以上病院のほとんどが予備の電源でしのいでいます。食糧も不足しています。水もあまりありません。が、いま現在一部の人を避難させています。この間10時間避難活動をしています。これまで100人ぐらい避難させました。ですからあと1200人残っています。

エイミー・グッドマン:今日生まれた早産児がいるといっていましたが、そのほかにも幼児がいますね。彼らはどうなっていますか?

クイグリー:幼児はいくつかのグループがいます。スタッフや患者の家族の一員のこども。非常に小さい病気の乳児がいましたがヘリコプターで非難しました。が、赤ん坊だけで母親や家族なしでの避難でした。

 ひとり早産児が産まれました。病院は赤ん坊を保育器に入れて、エレベーターが止まっているので8階の階段を屋上まで上り、ヘリコプターにのせました。何人かの赤ん坊も一緒でしたが、早産児の母親は残されました。母親たちを乗せる余裕がないのです。赤ん坊でいっぱいのヘリコプターがバートンルージュまで行って、そこからどこに向かったのか病院側は把握していません。これからどうするかちゃんとした計画がないのです。

 簡易ベッドに縛り付けられている患者もいます。どういうことかというと、エレベーターが動かないので、壁に穴を開けて、簡易ベッドの患者を穴から運び足して、小型トラックに載せています。ベッドに一度あたり二人を縛って、トラックの後ろに看護士を乗せて、屋上駐車場まで8階分移動させています。そこから2,3人づつヘリコプターに乗せています。それでもまだ重病人が残っています。ヒューストンのMDアンダーソン病院に移動させる必要がある患者が残っているのに、救助の人たちは、今の時点で、どうやれば移動させられるかまったくわからない、と言っています。」

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ニューオーリンズ:「残されているのは、病人、老人、貧困層、子どもたち」

2005-09-01 14:07:39 | ニュース@海外
2005年8月31日
Democracy Now! http://www.democracynow.org/article.pl?sid=05/08/31/143251

 ニューオーリンズとメキシコ湾岸地域は、ハリケーン「カトリーナ」により大災害に見舞われている。ニューオーリンズ市の少なくとも8割が冠水。電気はなく飲料水もほとんどない。市の関係者によると、ニューオーリンズは数週間にわたり居住不可能となる。火曜に2つの堤防が瓦解したことで、ハリケーンに持ちこたえていたように思われていた地域が灌水した。

 ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ州を合わせた死亡者数はまだ不明だが、当局は数百規模になることを懸念している。ミシシッピ州ハリソン郡当局によると、ビロクシおよびガルフ・ポートを中心に最低100名が死亡。ビロクシでは、通称「静かな水辺(Quiet Water Beach)」アパートの一棟だけで少なくとも30名が死亡。この地域では、海岸沿いにあるミシシッピ選出トレント・ロット上院議員の家も含め、数千の家が破壊されている。

 ルイジアナ州のキャサリン・ブランコ知事は、ニューオーリンズ市の全市民に避難命令を出した。

 火曜ニューオーリンズのレイ・ナギン市長は、増え続ける水量のため、市役所から緊急にヘリコプターで空から非難した。市関係者は現在、最低2万人が避難している体育館「スーパードーム」から全員を避難させる計画をしている。ドームは電気供給が切れているため、冷房は効かない状態。周りは水で溢れている。

 二つある市の空港も冠水。市の新聞「タイムス・ピキューン」のスタッフは火曜、灌水のため新聞社から避難し、電子版のみの報道を余儀なくされている。市最大の公立病院であるチューレーン大学病院はもはや機能しておらず、患者・スタッフも避難している。報道によると、軍は病院から1000名以上の避難を援助。

 医師らは、飲料水の汚染、食糧の腐敗、虫、蛇といった動物による刺傷・咬創による疾患の大発生も懸念している。

 連邦緊急事態管理局(FEMA)は現在、この地域で家屋が損害・破壊された最低百万人の世帯の居住施設を準備しているが、これは前例を見ないことである。FEMAのビル・ロッキーは今回のハリケーンを「米国を襲った最大の天災」と呼んだ。

 ペンタゴンは、救助作業の支援として、海軍艦船5隻と8つの海軍救援チームを湾岸地域に派遣するよう命じた。カリフォルニアからは快速船救助チームが空輸されている。

 国家警備隊も救助・法の執行にあたっているが、ルイジアナおよびミシシッピ州警備隊の約6千名は、7000マイル離れたイラクの地から地元の惨事を傍観せざるを得ない。現在、ミシシッピ州は40%、ルイジアナは35%の国家警備隊員がイラクにいる。この8ヶ月の間、ルイジアナはイラクで23名の警備隊を失っており、死亡者数はニューヨーク州に並んで高い。

 タイムス・ピキューン紙によると、すでに破滅的被害をもたらしている洪水は、ハリケーンによる降水が上流からポンチャトレーン湖に流入することで、今後数日さらに悪化すると予想されている。堤防が崩壊しているため、市全体への灌水は、湖およびミシシッピ川と同じ高さになるまで続くことになる。

 ブッシュ大統領は、夏休みを2日切り上げで今日ワシントンに戻ると発表。大統領は火曜サンディエゴで「今、優先事項は命を守ることであるが、まだ探索・救助作業の真っ最中である」と発言した。

 サンディエゴ訪問中、大統領はカントリー歌手のマーク・ウィリスと会い短時間ギターを弾く時間を割いた。大統領は金曜にルイジアナ州へ飛び、ハリケーン被害地区を回ると見られている。

 ニューオーリンズ市は現在戒厳令が敷かれている。市では、食糧・飲料水を求めた大勢の人が店に侵入するなど略奪が報告されている。そのほか電化製品・酒・銃も略奪されている。タイムス・ピキューンによると、略奪は、警察も参加するまで広範囲に及んでいる。警察服を着た警官が、ウォールマートの外で一人がDVD6つ、もうひとりが27インチテレビを抱えて歩く姿が撮影されている。

 「カトリーナ」の被害規模は、210億ドルの損害を出した「アンドルー」をしのぎ、最大になることが予想されている。

 今回のハリケーンはすでにアメリカ経済に影響を及ぼしている。メキシコ湾にある製油・ガス工場のほとんどが月曜以降閉鎖されており、多くが損害を受けている。通常この地域は、国内石油生産の3分の1を担い、天然ガスの5分の1を供給している。ガソリンの値段も、国内多くの地域で1ガロン3ドルほどまで上昇されると予測されている。アトランタを含む地域のガソリン不足も深刻である。アトランタにガソリンと航空機燃料を送る二つの主要パイプラインは止まっており、同地域のガソリン予備は2日分しかない。

 致命的洪水を防止するために、連邦政府はもっと対策を取れていたのではないか、との疑問もあがっている。1995年連邦議会は「南部ルイジアナ都市部洪水管理計画」を承認。この10年間で陸軍工兵隊による堤防強化および揚水施設建設に4億3千万ドルが使われてきたが、まだ2億5千万ドル分の作業が残っていた。報道によると、連邦財政のほとんどが2003年に凍結されている。タイムス・ピキューン紙はこの2年間少なくとも9回、ハリケーン・洪水対策の資金不足のひとつの理由としてイラク侵略に資源が割かれていることを指摘する記事を載せている。今年はじめブッシュ大統領は、洪水対策に当てる連邦資金を大幅に削減する提案をしている。大統領が提案した額は1千万ドル。地元の自治体関係者によれば、対策にはその6倍の額が必要であった。

エイミー・グッドマン:ニューオーリンズからの報告です。今朝ロヤラ大学のビル・クイグリー法律学部教授から話を聞きました。テナント記念病院から携帯電話での話しです。同病院で看護婦をする夫人を手伝いボランティアで救援活動をしています。教授によると、現在病院には1200名がいるということです。今の市の状況を説明してもらいました。

ビル・クイグリー:皆が心底恐れていた悪夢が現実となっていますが、ニューオーリンズの問題は、健康で、お金と車があった人たちは避難したということです。ですから、今現在おそらく10万人が取り残された状態で、スーパードームにはおそらく5、6万が電気・水洗便所・食糧・水もない状態で閉じ込められています。しかも彼らは、車がないため、そこまで徒歩かバスをつかってたどりつかなければならなかったのです。今、老人ホームや小規模の病院に取り残されたままの人たちがそこらじゅうにいます。

 さらに、夜窓から外を見ると、水で溢れ、真っ暗な街中を懐中電灯を照らして歩いている人がいます。ご指摘されたように、明日の夜になればこの懐中電灯の光も見えなります。水位が9から15フィートまで上がるからです(3~4.5メートル)。いまは懐中電灯で歩けている人たちも、明日にはいなくなります。

 市の病院は満員で、これ以上人を抱えれば入院している人たちのための食糧や水がなくなるため、来る人たちを追い返している状態です。今朝だったか午後この病院にもボートで、二人の小さい子どもを連れた父親と母親が来ましたが、病院は受け入れられないと断りました。これ以上人が入る場所がないからです。

 また20人ぐらいの人が駐車場のガレージまで歩いてきました。ホリデー・インに避難していたのですが、電気が切れたので、そこを離れて、街中をさまよって身を寄せる場所を探していたのです。しかし警備員が受け入れられないと断り、彼らはまた洪水の中へもどっていきました。すでにここにいる人たちの分の食糧・水さえも十分にないからです。

 ですから、いまニューオーリンズで取り残されているのは、数にして数万になりますが、もっとも病気が重く、高齢で、お金がなく、一番小さい子どもたち、障害者といった人たちです。市の計画は全員避難ということでしたが、現実は、入院患者は避難など出来ませんし、看護婦も患者をほおって避難などできないのです。患者もそうです。老人ホームにいる高齢者もそうです。車がなければ避難できません。こういう人たちの避難について市は何の計画もしていませんでした。

 ですから、おそらく10万前後の人たちがまだ市の中心部にいます。当局の提案は、ここのとなりの行政区に唯一残っているラジオ局から放送されているのですが、――テレビ局も機能しておらず、携帯はこちらからはかけられません――当局の提案といえば、となりの州への境界へボートで移動して、そこで救助する、といったことだけです。少し考えてみれば分かりますが、残っている人たちは、車も持っていなし、病身の母親を抱えてアパート暮らしをしているような人たちですよ。だから家を離れられないのです。車を持っていない人がボートをもっていますか。今まさに、人道的に危機的状況がおこっています。

エイミー・グッドマン:すこし変な質問かもしれませんが、法律学の教授として、いつもはハイチでの危機を取り上げており、現在ジャン・ジュースト牧師などが投獄されているハイチには何度も足を運ばれていますね。いま、ニューオーリンズで起こっていることは、ハイチと比べてどうでしょう。

ビル・クイグリー:ハイチがニューオーリンズのようになってくれればといつも願ってきましたが、最近はニューオーリンズのほうがハイチのようになってきています。電気もなく、交通機関も機能していません。この時点で、この病院の人たちには飲料水がありますが、水道からは飲まないようにと言われています。ですから、水も、交通機関も、医療もない状態で、人びとが市内をさまよっている状態です。多くの点で、いまニューオーリンズの百万の人口が、ハイチにいるような経験をしています。

グッドマン:そこに国家警備隊はいますか?

クイグリー:屋根の上で、ヘリコプター救助を支援している警備隊はいます。そのほか一、二箇所で見ました。これから数千人が来るといわれていますが、繰り返しますが、どうやってここにたどり着くのか分かりません。一日のほとんどの間、通信システムがほとんど使えないため、市長、警察署長、知事といった人たちが唯一稼動しているラジオ局と連絡をとることができません。ですから、ラジオ局まで歩いていって、そこのスタッフと話をして状況を把握している様です。まさに大惨事で、ニューオーリンズの外に出ている市民は、家に戻ろうと矢も盾もたまらない状態にいます。ですが、いま市内に残っている人は、正直に言いますが、死にかけており、本格的な救助が迅速にこなければ死傷者の数は増えかねません。

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