米、大統領選挙を目前にして、ブッシュの無策・失策で愛するものを失った母親たちもがんばっています。
先日おくらばせながら「華氏911」を観て来ました。普通のメディアが伝えない映像が映し出したブッシュとその仲間たちの表情から、彼らの冷血さ、血塗られた本性が伝わってきました。
この母親からのブッシュへの手紙は、ブッシュの非人間性、ひいてはブッシュ政権の本質を伝えていると思います。
あい
Ybanet.com
OP-ED記事
9・11の母親から:ジョージ・W・ブッシュへの公開状
ドナ・マーシュ・オコナー(ニューヨーク州リバプール)、世界貿易センター第2タワー93階にいたバネッサ・ラング・ランガーの母親
2004年10月22日6時43分
ジョン・ケリー上院議員にコピーを送信
もっとも些細なことが集まって、すべてが腑に落ちるときがあります。本当に細部のことが。いま、私はあなたの時計を見ています。それはただのアクセサリーですが、あなたが身につけているのほかのものとちがい、大変深い意味を持っています。
今年のハロウィーンがくるころに、私の娘は33になっていたでしょう。娘の子どもが生まれていればもう3歳になっていたはずです。娘のバネッサは29の誕生日を迎える7週間前、妊娠4ヶ月のとき、崩れ落ちる世界貿易センタービルから脱出しようとしていました。でもだめでした。娘の体とおなかにいた小さな子どもは、9月24日瓦礫の中から引き出されました。第4タワーと第5タワーのあいだの通りから10フィートしか離れていない場所でした。最初の飛行機が第1タワーに突っ込んだ5分後、娘はオフィスから電話をかけ、第2タワーにいる自分も他の人たちは「安全」だ、と説明していました。これはあなたに知っていただきたいとても重要な点です。
あなたがその朝、実際に何をしていたか見てみましょう。夏の休暇中であった8月6日、あなたは大統領が毎日受けるブリーフィングで、バネッサ・ラング・ランガーおよび多くのアメリカ人が危険な状態に置かれているとはっきり述べた説明をうけました。最初の飛行機が第1タワーに突撃したとき、大統領ブリーフィングが述べていたあの事実が頭の中に残っていたなら、なにかピンときたでしょう。でもあなたは何の行動もとらず、テレビもつけず、ペンタゴンにも連絡しません。あなたは、子どもたちをおびえさせないようにと、そこに座っていました。あなたはバネッサの兄弟たちのことも、この事件で確実に直接的被害を受ける小さな子どもたちのことも気にかけていませんでした。バネッサの14歳の弟とは違い、立ち上がって電話をつかみ、必至で連絡をとったり、事態に備えたり、救出をしようとはしませんでした。ただそこに座っていただけでした。2004年大統領選挙を前にした、9・11の3周年にあと2週間という日、自分は米国民を守る、と発言なさいました。つまり、ご自身の発言によれば、あなたの最高司令官としての主要な責任は、テロリストに苦しめたり、攻撃させたりしないことで(手振りを加えておっしゃっていましたが)、引用しますが、「自分が見守るなかで」だと発言なさいました。何の皮肉も込めずに。まったく何も。その言葉が、あなたが哀れにも守れなかった人たちにはどう聞こえるかを感じさせるニュアンスも皆無でした。あなたは、航空会社にも、パイロット訓練校にも、国内最長のビルに住んでいる人、働いている人たちに、一切なんの通告もしておられなかったのです。あなが見守るなかでのこと、見守る時計をつけてのことでした。
あなたの時計に注意を払いすぎでいるからなのか、私には分からないのです。5分。ブッシュ殿、5分です。あの5分間で、私の息子たちは、親友を失い、愛する姉とその家族がそこにいたはずであった将来を奪われました。娘は、人生で本当に望んでいた唯一のものを失いました。9月13日、あなたは娘の骨が埋まっているあの瓦礫の上にたって、戦争への動きを開始しました。政権に就いたときから計画していた戦争にむけた行動を開始したです。惨事中の惨事をもたらす最もおぞましい人種差別を実行するためにあなたは娘の死を利用し、それを文字通り、娘の骨の上に立っておこなったのです。
率直に申し上げましょう。私は、あなたの過失はあの日の失策に始まったことではないと見ています。それを証明するのは難しいので、いまそう言うことは賢明ではないかもしれません。しかし、いくつかの基本的原則にそって犯罪解明をおこなうプラグマティストの一人として、言わせていただきます。犯罪がおこなわれたとき、私たちは、その動機を探ること、誰が犯罪で最も利益を得るかを調べることで容疑者を見つけようとします。こん回のケースでは、誰がそれに当たるでしょう。あなたです。あなた、あなたのハリバートンのお友達、そしてあなたのサウジアラビアのお友達です。あなたはこの疑問に何ら答えていません。この間おこったすべてのことを見るなら、自分が現在そして将来にわたり得ることになった、金・権力の両方における利益について説明する状況があまりにも整いすぎていると思われませんか。
9月11日私はカナダにいました。知らせを聞いたときは街にいて、人生でもっとも美しい時期となる最後の瞬間を楽しんでいました。そのとき携帯電話がなって、そのあとは、一秒ごとにパニックと恐怖と冷静さが混ざった心境でいました。なぜなら、こんなことは起こりえない、いますぐ娘をこの目で見て抱きしめたい気持ちで狂いそうだったからです。あなたならどうなさいましたか。あなたの本能はどう働いたでしょう。ひとりの親として。こう訊くのは、2回目の大統領候補者討論のとき、ケリー上院議員があなたのことを「良い父親だ」と言ったからです。そうでしょうか。ご自身の娘さんをふくめ米国民はより安全でしょうか。あの朝、私がどうしたかったかお教えしましょう。私はニューヨークへ飛び、人力のなしうる限り一秒でも早く母国の地へ足をつけたかったのです。空港へ行き、帰りたかったのです。しかし、そのような選択肢は私にはございませんでした。私と夫にとって、閉鎖前になんとか国境を超え米国にもどるのが精一杯でした。あの朝、どの米国民も領空飛行を禁止され、あの朝、そして次の日々も、飛行禁止状態に置かれました。しかし、ビン・ラディン一族は例外でした。彼らは、サウジアラビアへと飛びました。FBI、CIAの手が届く前に。最悪なのは、その本当の理由についてあなたが一切説明しなかったことです。悲しいことに、私は永久に理解できないでしょう。絶対にできません。それでも、当事そしていまもあなたには説明する責任があります。あなたの時計が大統領選挙にむかってまだ動いているあいだにです。
いま、全米で票の操作がなされているとのウワサがひろまっています。はっきりいうと、この操作で利益を得ているのは共和党だ、というウワサです。国民の安全についてあれこれ並べ立てる代わりに、この不正行為をやめさせることで、すこしは指導力を発揮してみてはどうでしょう。この国で、選挙権が守られることを要求しなさい。なぜなら選挙権なくして、私たちの安全は守られないからです。この点では意見が一致しませんか。
2000年の選挙の後、フロリダ州での投票をめぐり広範に及ぶ問題が浮上しました。アフリカ系アメリカ人選挙区の投票についてもあなたは何も手を打たれませんでした。対応ゼロです。あなたの弟がフロリダ州をブッシュ勝利州としてプレゼントしたというウワサを否定することさえしませんでした。(それがたとえウワサであったにせよ)アフリカ系アメリカ人の怒りに応える行為は一切しませんでした。この悲痛で、歴然たる人種差別は、一般市民が日常においてなす行為の規範ではなく、米国と世界のすべての国民をまもらなくてはならない政府の構造そのものの規範によりもたらされたのです。なぜあなたはフロリダへおもむき、こうした国民の権利を守ろうとなさらなかったのですか。少なくとも、もう二度とこのようなことは起こさせないと謝罪し、保証しなかったのですか。あなたにとってアメリカとは何なのでしょう。2001年8月、国連が人種差別に関する会議を開いたとき、あなたの国務長官コリン・パウエル氏は出席を希望しました。しかし、あなたはそれを許可しませんでした。その理由は、アメリカに人種差別は存在しない、というものでした。そろそろ問題の傾向が見えてきませんか。どのケースでも、この国の問題はあなたが起こし悪化させ、そのあとあなたはその問題を隠蔽しようとする、というパターンです。パウエルに会議出席を許可しないなど、どうしたらできるのですか。それが一人の人間に対する態度でしょうか。〔訳注:パウエルはアフリカ系アメリカ人〕
子どもは成長過程で反抗するものです。親をりっぱだと感じたかと思えば頑固に抵抗したりします。一人前の親なら、子どもの反抗的態度そのものにも愛情を感じとります。親は、その愛情を、まさに一番尊敬されている部分で対応することで示すものです。思春期のバネッサもそうでした。とくに最も愛情表現が深かったときがそうです。これが親子の関係というものなのでしょう。子どもが大人になれば、こうしたエピソードは家族団らん時の愉快な思い出話となり、子どもは、自分がしてもらったように、子どもに触れ、教え、学ぶことを知るのです。バネッサとこうした親子関係を全うすることはできませんでした。彼女が意識的に、自分が育ててもらったように次の世代を育てる日々はもうないからです。でも、それに近いところまでいたことも覚えています。ある日バネッサは、「お母さんはクリスマスのお祝いがすごく上手よね」といい、「それに、人種差別はいけないと教えてくれた。人種差別はそこらじゅうにあって、白人は気づいていないのよ。」といっていました。
これだけでは伝えられませんが、娘を失う前に彼女の口からこの言葉が聞けたことがどれだけ重要かお分かりでしょうか。さもなければ、私は、あまりにも若くして死んだ一人の女性の親として十分任務を果たしたのか、一生知ることはできなかったからです。バネッサや息子たちを育ててきた方法はまだいろいろありますが、あなたがとった行動の実例を挙げ、私の説明、反論をしたいと思います。
あなたは、ジェイムズ・バード氏の娘さんと直接会ったことがあります(ジェイムズ・バード氏は、3人の白人男性により、ほとんど首が千切れるほどの暴行を受けた人物です。トラックに縛り付けられ、テキサスの路上を引きずられました。もちろん覚えておいででしょう。)彼女が、泣きながらヘイト・クライム〔憎悪犯罪、人種的見地からおこる犯罪〕阻止法成立のために署名して欲しいと懇願したとき、あなたは拒否しました。モーリ・アイビンズによる報道によれば、鼻を拭くちり紙さえ差し出さなかったそうです。この点で、あなたは、政府がもつ非常に敵対的な機能を体現しました。有色人種や、他党側の人たちの選挙権が否定されても、かまわない、という態度です。
その一方で、あなたは自分のこうした性格、人種差別根絶を願う多数の国民の願いに背く態度を、オサマ・ビン・ラディンはサダム・フセインの化身だ、またはその反対だ、と見せかけることに使いました。別々の人間が実は同一人物だ、という主張です。つまり、二人ともアラブ人じゃないか、というわけです。あなたは地球を所有しておいでなのですか。アフガニスタンがどこにあるかご存知ですか。イラクは?守るはずだった人々に自分がしたことを調べるために、戦争が始まってからイラクに行きましたか?面白い話があります(おそらく神からの警告でしょう)。バネッサがはじめて就職したとき、地図つきの年間手帳をくれました。この地図は真ん中にアフガニスタンがあって、この小さな国の右にはこれより大きいイランがあり、その右には小さな国イラクが、アフガニスタンより小さく(地理上も、比喩上も)イラクが描いてありました。イラクの下には大きくサウジアラビアがありました。この国はご存知でしょう。なぜって、テロ根絶のために団結した9・11の遺族、サウジ家に対し裁判を起こしている遺族は、あなたの政権からなんの助けも受けていないからです。ゼロです。言っておきますが、フランス、スペイン、ドイツを含む有志連合というのがあって、9・11を、その真の犯罪者とつなげようと努力している9・11遺族に助けを申しでています。サウジ家とあのテロリストとのあいだには関係があります。あなたのおかげでいまやイラクはテロリストの楽園となり、その数も資金も増殖しています。あとどれだけの時間がおありですか。お時計は何時ですか?私、時間をとりすぎでしょうか。
今年のバネッサの誕生日には、あなたは何をお召しになっているのでしょう。軍最高司令官の衣装、それともバンダール皇太子それともディック・チェイニーの歩兵の格好?それとも、三角帽つきの白いシーツをかぶっておいでになるか。シャツの袖をまくり上げた、心のうちを率直にかたるテキサスのカウボーイの振りをし、時計を指しながら、アメリカを守るのだと笑顔で宣言するのでしょうか。それとも、信仰深いクリスチャンの格好でしょうか。共和党員の格好でしょうか。自分でもわかっておられると思いますが、あなたは共和党員ではありません。あなたは共和党員の恥です。確かなのは、私は、その日あなたが軍最高司令官の格好などしていることのないよう最善を尽くす、ということです。ここで書いた以上に、その服装はあなたには似合いません。私はアメリカ人であることを誇りに思っており、ご自身を愛国的に描こうと務めているあなたに嫌悪感を覚えております。アメリカがこれほどまで慈しんでいた良識のすべてをあなたは踏みにじっています。
本当に神を信じておいでですか?本当に?心から?そう訊くのは、至らない親として、人間として、国民として、私は神に助けをもとめ、不義の許しを乞うているからです。そして、私が神からいただいた言葉はこうです。
あの男に私の名をかたらせてはならない。それを許せば、子どもたちの成長を見届けられない責任はあなた負うのだ。あなた自身だ。
原文:http://www.yubanet.com/artman/publish/article_14579.shtml
先日おくらばせながら「華氏911」を観て来ました。普通のメディアが伝えない映像が映し出したブッシュとその仲間たちの表情から、彼らの冷血さ、血塗られた本性が伝わってきました。
この母親からのブッシュへの手紙は、ブッシュの非人間性、ひいてはブッシュ政権の本質を伝えていると思います。
あい
Ybanet.com
OP-ED記事
9・11の母親から:ジョージ・W・ブッシュへの公開状
ドナ・マーシュ・オコナー(ニューヨーク州リバプール)、世界貿易センター第2タワー93階にいたバネッサ・ラング・ランガーの母親
2004年10月22日6時43分
ジョン・ケリー上院議員にコピーを送信
もっとも些細なことが集まって、すべてが腑に落ちるときがあります。本当に細部のことが。いま、私はあなたの時計を見ています。それはただのアクセサリーですが、あなたが身につけているのほかのものとちがい、大変深い意味を持っています。
今年のハロウィーンがくるころに、私の娘は33になっていたでしょう。娘の子どもが生まれていればもう3歳になっていたはずです。娘のバネッサは29の誕生日を迎える7週間前、妊娠4ヶ月のとき、崩れ落ちる世界貿易センタービルから脱出しようとしていました。でもだめでした。娘の体とおなかにいた小さな子どもは、9月24日瓦礫の中から引き出されました。第4タワーと第5タワーのあいだの通りから10フィートしか離れていない場所でした。最初の飛行機が第1タワーに突っ込んだ5分後、娘はオフィスから電話をかけ、第2タワーにいる自分も他の人たちは「安全」だ、と説明していました。これはあなたに知っていただきたいとても重要な点です。
あなたがその朝、実際に何をしていたか見てみましょう。夏の休暇中であった8月6日、あなたは大統領が毎日受けるブリーフィングで、バネッサ・ラング・ランガーおよび多くのアメリカ人が危険な状態に置かれているとはっきり述べた説明をうけました。最初の飛行機が第1タワーに突撃したとき、大統領ブリーフィングが述べていたあの事実が頭の中に残っていたなら、なにかピンときたでしょう。でもあなたは何の行動もとらず、テレビもつけず、ペンタゴンにも連絡しません。あなたは、子どもたちをおびえさせないようにと、そこに座っていました。あなたはバネッサの兄弟たちのことも、この事件で確実に直接的被害を受ける小さな子どもたちのことも気にかけていませんでした。バネッサの14歳の弟とは違い、立ち上がって電話をつかみ、必至で連絡をとったり、事態に備えたり、救出をしようとはしませんでした。ただそこに座っていただけでした。2004年大統領選挙を前にした、9・11の3周年にあと2週間という日、自分は米国民を守る、と発言なさいました。つまり、ご自身の発言によれば、あなたの最高司令官としての主要な責任は、テロリストに苦しめたり、攻撃させたりしないことで(手振りを加えておっしゃっていましたが)、引用しますが、「自分が見守るなかで」だと発言なさいました。何の皮肉も込めずに。まったく何も。その言葉が、あなたが哀れにも守れなかった人たちにはどう聞こえるかを感じさせるニュアンスも皆無でした。あなたは、航空会社にも、パイロット訓練校にも、国内最長のビルに住んでいる人、働いている人たちに、一切なんの通告もしておられなかったのです。あなが見守るなかでのこと、見守る時計をつけてのことでした。
あなたの時計に注意を払いすぎでいるからなのか、私には分からないのです。5分。ブッシュ殿、5分です。あの5分間で、私の息子たちは、親友を失い、愛する姉とその家族がそこにいたはずであった将来を奪われました。娘は、人生で本当に望んでいた唯一のものを失いました。9月13日、あなたは娘の骨が埋まっているあの瓦礫の上にたって、戦争への動きを開始しました。政権に就いたときから計画していた戦争にむけた行動を開始したです。惨事中の惨事をもたらす最もおぞましい人種差別を実行するためにあなたは娘の死を利用し、それを文字通り、娘の骨の上に立っておこなったのです。
率直に申し上げましょう。私は、あなたの過失はあの日の失策に始まったことではないと見ています。それを証明するのは難しいので、いまそう言うことは賢明ではないかもしれません。しかし、いくつかの基本的原則にそって犯罪解明をおこなうプラグマティストの一人として、言わせていただきます。犯罪がおこなわれたとき、私たちは、その動機を探ること、誰が犯罪で最も利益を得るかを調べることで容疑者を見つけようとします。こん回のケースでは、誰がそれに当たるでしょう。あなたです。あなた、あなたのハリバートンのお友達、そしてあなたのサウジアラビアのお友達です。あなたはこの疑問に何ら答えていません。この間おこったすべてのことを見るなら、自分が現在そして将来にわたり得ることになった、金・権力の両方における利益について説明する状況があまりにも整いすぎていると思われませんか。
9月11日私はカナダにいました。知らせを聞いたときは街にいて、人生でもっとも美しい時期となる最後の瞬間を楽しんでいました。そのとき携帯電話がなって、そのあとは、一秒ごとにパニックと恐怖と冷静さが混ざった心境でいました。なぜなら、こんなことは起こりえない、いますぐ娘をこの目で見て抱きしめたい気持ちで狂いそうだったからです。あなたならどうなさいましたか。あなたの本能はどう働いたでしょう。ひとりの親として。こう訊くのは、2回目の大統領候補者討論のとき、ケリー上院議員があなたのことを「良い父親だ」と言ったからです。そうでしょうか。ご自身の娘さんをふくめ米国民はより安全でしょうか。あの朝、私がどうしたかったかお教えしましょう。私はニューヨークへ飛び、人力のなしうる限り一秒でも早く母国の地へ足をつけたかったのです。空港へ行き、帰りたかったのです。しかし、そのような選択肢は私にはございませんでした。私と夫にとって、閉鎖前になんとか国境を超え米国にもどるのが精一杯でした。あの朝、どの米国民も領空飛行を禁止され、あの朝、そして次の日々も、飛行禁止状態に置かれました。しかし、ビン・ラディン一族は例外でした。彼らは、サウジアラビアへと飛びました。FBI、CIAの手が届く前に。最悪なのは、その本当の理由についてあなたが一切説明しなかったことです。悲しいことに、私は永久に理解できないでしょう。絶対にできません。それでも、当事そしていまもあなたには説明する責任があります。あなたの時計が大統領選挙にむかってまだ動いているあいだにです。
いま、全米で票の操作がなされているとのウワサがひろまっています。はっきりいうと、この操作で利益を得ているのは共和党だ、というウワサです。国民の安全についてあれこれ並べ立てる代わりに、この不正行為をやめさせることで、すこしは指導力を発揮してみてはどうでしょう。この国で、選挙権が守られることを要求しなさい。なぜなら選挙権なくして、私たちの安全は守られないからです。この点では意見が一致しませんか。
2000年の選挙の後、フロリダ州での投票をめぐり広範に及ぶ問題が浮上しました。アフリカ系アメリカ人選挙区の投票についてもあなたは何も手を打たれませんでした。対応ゼロです。あなたの弟がフロリダ州をブッシュ勝利州としてプレゼントしたというウワサを否定することさえしませんでした。(それがたとえウワサであったにせよ)アフリカ系アメリカ人の怒りに応える行為は一切しませんでした。この悲痛で、歴然たる人種差別は、一般市民が日常においてなす行為の規範ではなく、米国と世界のすべての国民をまもらなくてはならない政府の構造そのものの規範によりもたらされたのです。なぜあなたはフロリダへおもむき、こうした国民の権利を守ろうとなさらなかったのですか。少なくとも、もう二度とこのようなことは起こさせないと謝罪し、保証しなかったのですか。あなたにとってアメリカとは何なのでしょう。2001年8月、国連が人種差別に関する会議を開いたとき、あなたの国務長官コリン・パウエル氏は出席を希望しました。しかし、あなたはそれを許可しませんでした。その理由は、アメリカに人種差別は存在しない、というものでした。そろそろ問題の傾向が見えてきませんか。どのケースでも、この国の問題はあなたが起こし悪化させ、そのあとあなたはその問題を隠蔽しようとする、というパターンです。パウエルに会議出席を許可しないなど、どうしたらできるのですか。それが一人の人間に対する態度でしょうか。〔訳注:パウエルはアフリカ系アメリカ人〕
子どもは成長過程で反抗するものです。親をりっぱだと感じたかと思えば頑固に抵抗したりします。一人前の親なら、子どもの反抗的態度そのものにも愛情を感じとります。親は、その愛情を、まさに一番尊敬されている部分で対応することで示すものです。思春期のバネッサもそうでした。とくに最も愛情表現が深かったときがそうです。これが親子の関係というものなのでしょう。子どもが大人になれば、こうしたエピソードは家族団らん時の愉快な思い出話となり、子どもは、自分がしてもらったように、子どもに触れ、教え、学ぶことを知るのです。バネッサとこうした親子関係を全うすることはできませんでした。彼女が意識的に、自分が育ててもらったように次の世代を育てる日々はもうないからです。でも、それに近いところまでいたことも覚えています。ある日バネッサは、「お母さんはクリスマスのお祝いがすごく上手よね」といい、「それに、人種差別はいけないと教えてくれた。人種差別はそこらじゅうにあって、白人は気づいていないのよ。」といっていました。
これだけでは伝えられませんが、娘を失う前に彼女の口からこの言葉が聞けたことがどれだけ重要かお分かりでしょうか。さもなければ、私は、あまりにも若くして死んだ一人の女性の親として十分任務を果たしたのか、一生知ることはできなかったからです。バネッサや息子たちを育ててきた方法はまだいろいろありますが、あなたがとった行動の実例を挙げ、私の説明、反論をしたいと思います。
あなたは、ジェイムズ・バード氏の娘さんと直接会ったことがあります(ジェイムズ・バード氏は、3人の白人男性により、ほとんど首が千切れるほどの暴行を受けた人物です。トラックに縛り付けられ、テキサスの路上を引きずられました。もちろん覚えておいででしょう。)彼女が、泣きながらヘイト・クライム〔憎悪犯罪、人種的見地からおこる犯罪〕阻止法成立のために署名して欲しいと懇願したとき、あなたは拒否しました。モーリ・アイビンズによる報道によれば、鼻を拭くちり紙さえ差し出さなかったそうです。この点で、あなたは、政府がもつ非常に敵対的な機能を体現しました。有色人種や、他党側の人たちの選挙権が否定されても、かまわない、という態度です。
その一方で、あなたは自分のこうした性格、人種差別根絶を願う多数の国民の願いに背く態度を、オサマ・ビン・ラディンはサダム・フセインの化身だ、またはその反対だ、と見せかけることに使いました。別々の人間が実は同一人物だ、という主張です。つまり、二人ともアラブ人じゃないか、というわけです。あなたは地球を所有しておいでなのですか。アフガニスタンがどこにあるかご存知ですか。イラクは?守るはずだった人々に自分がしたことを調べるために、戦争が始まってからイラクに行きましたか?面白い話があります(おそらく神からの警告でしょう)。バネッサがはじめて就職したとき、地図つきの年間手帳をくれました。この地図は真ん中にアフガニスタンがあって、この小さな国の右にはこれより大きいイランがあり、その右には小さな国イラクが、アフガニスタンより小さく(地理上も、比喩上も)イラクが描いてありました。イラクの下には大きくサウジアラビアがありました。この国はご存知でしょう。なぜって、テロ根絶のために団結した9・11の遺族、サウジ家に対し裁判を起こしている遺族は、あなたの政権からなんの助けも受けていないからです。ゼロです。言っておきますが、フランス、スペイン、ドイツを含む有志連合というのがあって、9・11を、その真の犯罪者とつなげようと努力している9・11遺族に助けを申しでています。サウジ家とあのテロリストとのあいだには関係があります。あなたのおかげでいまやイラクはテロリストの楽園となり、その数も資金も増殖しています。あとどれだけの時間がおありですか。お時計は何時ですか?私、時間をとりすぎでしょうか。
今年のバネッサの誕生日には、あなたは何をお召しになっているのでしょう。軍最高司令官の衣装、それともバンダール皇太子それともディック・チェイニーの歩兵の格好?それとも、三角帽つきの白いシーツをかぶっておいでになるか。シャツの袖をまくり上げた、心のうちを率直にかたるテキサスのカウボーイの振りをし、時計を指しながら、アメリカを守るのだと笑顔で宣言するのでしょうか。それとも、信仰深いクリスチャンの格好でしょうか。共和党員の格好でしょうか。自分でもわかっておられると思いますが、あなたは共和党員ではありません。あなたは共和党員の恥です。確かなのは、私は、その日あなたが軍最高司令官の格好などしていることのないよう最善を尽くす、ということです。ここで書いた以上に、その服装はあなたには似合いません。私はアメリカ人であることを誇りに思っており、ご自身を愛国的に描こうと務めているあなたに嫌悪感を覚えております。アメリカがこれほどまで慈しんでいた良識のすべてをあなたは踏みにじっています。
本当に神を信じておいでですか?本当に?心から?そう訊くのは、至らない親として、人間として、国民として、私は神に助けをもとめ、不義の許しを乞うているからです。そして、私が神からいただいた言葉はこうです。
あの男に私の名をかたらせてはならない。それを許せば、子どもたちの成長を見届けられない責任はあなた負うのだ。あなた自身だ。
原文:http://www.yubanet.com/artman/publish/article_14579.shtml