CAFE PACIS

ユルゲンが「カフェで政治が行なわれているんだ」って言う。じゃあ、カフェで平和やるか。

ハリケーン「カタリーナ」:他国援助は拒否。イラクにある装備も投入せず。

2005-09-12 23:51:14 | ニュース@海外
 政治的、経済的立場の違いを超え、ハリケーン「カトリーナ」被害者への支援申し入れが諸外国から殺到している。


Democracy Now!
2005年9月8日報道

 ドイツとイタリアからは食糧、カナダとシンガポールからは航空機とヘリコプターが提供された。ギリシャからは家屋からの避難作業用に巡航船が二隻届いた。

アフガニスタンとアルメニアはそれぞれ10万ドルの提供を申し入れた。アメリカの援助受入国であるスリランカは2万5千ドルの現金提供を申し入れている。日曜には国連が、アメリカが国連の援助申し入れを受け入れたと発表。しかし、すべての援助が歓迎されているわけではない。ベネズエラからの申し入れにたいする対応は遅かった。駐米ベネズエラ大使は、積載量最大でガソリンをアメリカに輸送していると語った。このガソリンは寄付ではなく、間もなく市場で出回る予定である。

先週火曜にはキューバが医師1100名を送ると申し入れた。この医師たちは先週水曜には米国入りできる準備があったとキューバは述べた。が、キューバ政府は、米国務省が援助申し入れを拒否したと発表。さらにアメリカは、2000万バレルの石油を輸送するという昨日のイランの申し入れも拒否。申し入れは、アメリカの対イラン経済制裁撤回を条件にしたものであった。国務省事務局長のハリー・トーマスによると、アメリカはこれまで95カ国から、総額10億ドル近い援助を受け入れると表明している。

フィリス・ベニス(Institute for Foreign Studies特別研究員):「キューバは、過去にもやっていますが、直接かつ大変集中的な緊急援助を申し入れています。カストロ大統領は、まず100名の医師派遣を具体的に申し入れ、その後500名、さらに600名の追加派遣を申し入れました。全員がハリケーン救援医療用の24キロリュックで装備した医師です。ハリケーンの季節になると当然キューバは危険地域に位置していますから、世界有数の対策システムを創り上げています。国連が屈指の対策体制、避難体制と認めているものです。ですからキューバの医師はハリケーン被害者への対応をよく心得ています。

 キューバはまずハバナにある米利益代表部(US Interests Section)とワシントンの国務省の両方で、内々で申し入れをしました。返事はありませんでした。昨日、国務省はだれの援助も拒否していないと主張しました。国務省の報道官は明確に、キューバからの公式申し入れはない、カストロが医師たちがいるところでテレビカメラの前に立っていたからといってそれが公式申し入れを意味するわけではない、と言って、キューバ側が特に事を政治沙汰にしたくないと思っていたときにおこなった最初の内々の申し入れも否定しました。キューバは、必要になると分かっているものを援助したかったのですが。

 キューバの申し入れは、援助を申し入れている諸国のリストにすら入っていません。異常なのは、真っ先に受け入れられた援助物資が、米軍が世界中で提供しているものであることです。たとえば、シンガポールとカナダからは輸送機援助、スペインからは装備完備の貨物機を受け入れています。ドイツとイタリアからは軍用携行食――ペンタゴンが世界中に配っているインスタント食品です。こうしたものが受け取っている援助の中身です。

 つまり世間に対し、自分たちがイラクで戦争をしている間、津波で大きな被害を受けたスリランカの2万5千ドルとか世界最貧国のひとつバングラデシュからの100万ドルなどを含む他国の寄付に依存しなくてはならない、と言っているということです。こうした申し入れを受け入れているのは、国をより安全にするためと言われているイラク戦争のあいだ、アメリカがこの種の基本的な援助すら国民に提供することが出来なくなっているからです。」

エイミー・グッドマン:「キューバの医科大が設立されたのは、ハリケーン対策のためでしたか?」

ベニス:「1994年に中米を大型ハリケーンが襲ったとき、キューバは並みならぬ対策をとって医師4千人を中米に派遣しました。医師たちは、災害のひどさもさることながら、自分たちが見聞きしてきたことに衝撃を受けました。現地では貧困層や地方の村の人たちが医者など見たこともない生活をしていたからです。そこで彼らは帰国後、政府にこうした中米の貧困社会を援助するよう要求しました。

 この要請を基に、キューバは2年前に閉鎖されていた元海軍基地に医科大を作りました。そこを訪問したことがあるのですが、ハバナの北にある、何にも使われていなかったとても美しい海岸地域にあります。スペイン王室の資金援助を受けた最先端の医科大で、はじめは中米の医師を養成していましたが、いまはラテンアメリカ全土から学生が来ています。ちょうど一ヶ月間に、6年間の訓練を受けた第一期生が卒業しています。

 学費は全額無料で、教材、寮、制服、衣服、休暇に故郷にもどる旅費なども全額援助されています。卒業して自国に戻ったとき貧困地域で最低3年間医療活動をおこなうことが唯一援助の条件で、医師として仕事を始めるに必要なものも全部提供されますし、ラテンアメリカの国ならどこでも開業できる免許も得て国に戻ります。キューバがハリケーン対策をどれだけ優先させているかを示す例ですが、必要なところに救援の手を送るだけでなく、将来における計画にあたっての対外援助でもあります。明らかに、アメリカにはこの種の政策はありません。」

グッドマン:「ベネズエラなどの国や、諸国連合体の国連はどうですか?」

ベニス:「国連の申し入れは受け入れていますが、実際に援助活動許可を出すかどうかはまだ分かりません。人道支援の非常に優れた専門チームである国連人道問題調整事務所(OCHA)は、体制設置・管理の専門家や浄水専門家など、決定的に必要であることが明白なのに、米政府が被害地に派遣できないか、派遣する気がない種類の人たちを送ると言っています。やっと国連のこの申し入れを受け入れ、他にも寄付や援助申し入れも理論上は受け入れていますが、ほとんどは拒否しています。

 今日のワシントンポスト紙にとんでもない記事が載っていました。スウェーデンが大量の浄水器と即時使用可能な携帯電話システムとそのシステム設置エンジニアを食糧・水も持参して送ると申し入れていました。ドイツ経由で同時に5000件の通話を可能にするものです。ドイツの会社と共同しての援助ですが、連邦緊急事態管理局(FEMA)が、受け入れに必要な手続きなど考えてから返事をするのに5日もかかった、というのです。今日にでも物資、資金、緊急事態専門の部隊、機材を送るといっている国に返事をするのに巨大な官僚の障害物が立ちふさがっているのが現状です。FEMAの官僚的やりかたで全部止まっています。尋常でない問題です。

 一方でアメリカは驚くべき容認発言もしました。一貫して国連を時代遅れと描き出そうとし、国連がしようとすることをかたっばしから邪魔してきたこの政権、とくに新しい国連大使のジョン・ボルトンがそうですが、このアメリカが国連の援助が必要だと認めたのです。ボルトン曰く、アメリカの無骨な個人主義だけでは不十分なこともあるかもしれない、からだそうです。アメリカ国民が主張してきたようにイラク戦争で国は安全になどなっていないという、アメリカの単独行動主義の破綻を認めた一大譲歩ですよ。

 イラク戦争で、必要な資源がとられています。ルイジアナ州の州兵三分の一がいなかったのはイラクに配備されているからです。水陸両用車などルイジアナの州兵の装備のほとんど半分がイラクにあるので使えなかった。アメリカで水陸両用ボートを持っているのはルイジアナ州兵だけです。このボートが要るのはこの州ぐらいですから。でも肝心な時にない。ルイジアナ州兵の救助ヘリで現地にあったのは2機だけで、ほかは全部イラクにある。ですから、イラク戦争、この単独行動戦争はこういった緊急事態に政府が対応する上での能力に劇的に影響しています。元国際アラビア馬協会の審査員長をしていたマイケル・ブラウン率いるFEMA自体が無能であるという問題もあります。この危機的事態への対応の無能ぶりをさらけだしましたから。

 ということで、世界最強で、最も富める国アメリカが、この危機的瞬間に、ルイジアナとミシシッピの貧困層・圧倒的に黒人が多い地域の自国民を助けられないことを国際的に認めたということは、この国で私たちが犠牲にしていることの実態を強く物語っています。とくに、イラク戦争のため、アメリカは他国を必要しないと世界に証明しようとするがために、とりわけ貧困層と有色人層が払っている犠牲がよく分かります。こんな主張がウソであることが証明されています。」

グッドマン:「最後に、世界最貧国のひとつバングラデシュが援助申し入れをしていますし、ベネズエラのチャべス大統領は、ベネズエラのガソリンスタンド「シッゴー(Citgo)」がこの国にありますから、そこからの援助を申し入れていますね。」

ベニス:「ベネズエラは安価でガソリンと、ハリケーン被害者には燃料も提供すると言っています。被災地域に即時入れる医師と人道支援要員の派遣も申し入れています。ベネズエラは近いですから数時間で米国入りできる。なのにアメリカは受け入れると言っていません。現金を受け取っているのは、アメリカ赤十字を経由しているからです。恐ろしいのは、指摘されたとおり、去年のクリスマスの時期に起きた津波の被害からまだ復興しきっていないスリランカが出す2万5千ドルや、世界最貧国のバングラデシュの100万ドルは受け取っていることです。」

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