CAFE PACIS

ユルゲンが「カフェで政治が行なわれているんだ」って言う。じゃあ、カフェで平和やるか。

ニューオーリンズ:「残されているのは、病人、老人、貧困層、子どもたち」

2005-09-01 14:07:39 | ニュース@海外
2005年8月31日
Democracy Now! http://www.democracynow.org/article.pl?sid=05/08/31/143251

 ニューオーリンズとメキシコ湾岸地域は、ハリケーン「カトリーナ」により大災害に見舞われている。ニューオーリンズ市の少なくとも8割が冠水。電気はなく飲料水もほとんどない。市の関係者によると、ニューオーリンズは数週間にわたり居住不可能となる。火曜に2つの堤防が瓦解したことで、ハリケーンに持ちこたえていたように思われていた地域が灌水した。

 ルイジアナ、ミシシッピ、アラバマ州を合わせた死亡者数はまだ不明だが、当局は数百規模になることを懸念している。ミシシッピ州ハリソン郡当局によると、ビロクシおよびガルフ・ポートを中心に最低100名が死亡。ビロクシでは、通称「静かな水辺(Quiet Water Beach)」アパートの一棟だけで少なくとも30名が死亡。この地域では、海岸沿いにあるミシシッピ選出トレント・ロット上院議員の家も含め、数千の家が破壊されている。

 ルイジアナ州のキャサリン・ブランコ知事は、ニューオーリンズ市の全市民に避難命令を出した。

 火曜ニューオーリンズのレイ・ナギン市長は、増え続ける水量のため、市役所から緊急にヘリコプターで空から非難した。市関係者は現在、最低2万人が避難している体育館「スーパードーム」から全員を避難させる計画をしている。ドームは電気供給が切れているため、冷房は効かない状態。周りは水で溢れている。

 二つある市の空港も冠水。市の新聞「タイムス・ピキューン」のスタッフは火曜、灌水のため新聞社から避難し、電子版のみの報道を余儀なくされている。市最大の公立病院であるチューレーン大学病院はもはや機能しておらず、患者・スタッフも避難している。報道によると、軍は病院から1000名以上の避難を援助。

 医師らは、飲料水の汚染、食糧の腐敗、虫、蛇といった動物による刺傷・咬創による疾患の大発生も懸念している。

 連邦緊急事態管理局(FEMA)は現在、この地域で家屋が損害・破壊された最低百万人の世帯の居住施設を準備しているが、これは前例を見ないことである。FEMAのビル・ロッキーは今回のハリケーンを「米国を襲った最大の天災」と呼んだ。

 ペンタゴンは、救助作業の支援として、海軍艦船5隻と8つの海軍救援チームを湾岸地域に派遣するよう命じた。カリフォルニアからは快速船救助チームが空輸されている。

 国家警備隊も救助・法の執行にあたっているが、ルイジアナおよびミシシッピ州警備隊の約6千名は、7000マイル離れたイラクの地から地元の惨事を傍観せざるを得ない。現在、ミシシッピ州は40%、ルイジアナは35%の国家警備隊員がイラクにいる。この8ヶ月の間、ルイジアナはイラクで23名の警備隊を失っており、死亡者数はニューヨーク州に並んで高い。

 タイムス・ピキューン紙によると、すでに破滅的被害をもたらしている洪水は、ハリケーンによる降水が上流からポンチャトレーン湖に流入することで、今後数日さらに悪化すると予想されている。堤防が崩壊しているため、市全体への灌水は、湖およびミシシッピ川と同じ高さになるまで続くことになる。

 ブッシュ大統領は、夏休みを2日切り上げで今日ワシントンに戻ると発表。大統領は火曜サンディエゴで「今、優先事項は命を守ることであるが、まだ探索・救助作業の真っ最中である」と発言した。

 サンディエゴ訪問中、大統領はカントリー歌手のマーク・ウィリスと会い短時間ギターを弾く時間を割いた。大統領は金曜にルイジアナ州へ飛び、ハリケーン被害地区を回ると見られている。

 ニューオーリンズ市は現在戒厳令が敷かれている。市では、食糧・飲料水を求めた大勢の人が店に侵入するなど略奪が報告されている。そのほか電化製品・酒・銃も略奪されている。タイムス・ピキューンによると、略奪は、警察も参加するまで広範囲に及んでいる。警察服を着た警官が、ウォールマートの外で一人がDVD6つ、もうひとりが27インチテレビを抱えて歩く姿が撮影されている。

 「カトリーナ」の被害規模は、210億ドルの損害を出した「アンドルー」をしのぎ、最大になることが予想されている。

 今回のハリケーンはすでにアメリカ経済に影響を及ぼしている。メキシコ湾にある製油・ガス工場のほとんどが月曜以降閉鎖されており、多くが損害を受けている。通常この地域は、国内石油生産の3分の1を担い、天然ガスの5分の1を供給している。ガソリンの値段も、国内多くの地域で1ガロン3ドルほどまで上昇されると予測されている。アトランタを含む地域のガソリン不足も深刻である。アトランタにガソリンと航空機燃料を送る二つの主要パイプラインは止まっており、同地域のガソリン予備は2日分しかない。

 致命的洪水を防止するために、連邦政府はもっと対策を取れていたのではないか、との疑問もあがっている。1995年連邦議会は「南部ルイジアナ都市部洪水管理計画」を承認。この10年間で陸軍工兵隊による堤防強化および揚水施設建設に4億3千万ドルが使われてきたが、まだ2億5千万ドル分の作業が残っていた。報道によると、連邦財政のほとんどが2003年に凍結されている。タイムス・ピキューン紙はこの2年間少なくとも9回、ハリケーン・洪水対策の資金不足のひとつの理由としてイラク侵略に資源が割かれていることを指摘する記事を載せている。今年はじめブッシュ大統領は、洪水対策に当てる連邦資金を大幅に削減する提案をしている。大統領が提案した額は1千万ドル。地元の自治体関係者によれば、対策にはその6倍の額が必要であった。

エイミー・グッドマン:ニューオーリンズからの報告です。今朝ロヤラ大学のビル・クイグリー法律学部教授から話を聞きました。テナント記念病院から携帯電話での話しです。同病院で看護婦をする夫人を手伝いボランティアで救援活動をしています。教授によると、現在病院には1200名がいるということです。今の市の状況を説明してもらいました。

ビル・クイグリー:皆が心底恐れていた悪夢が現実となっていますが、ニューオーリンズの問題は、健康で、お金と車があった人たちは避難したということです。ですから、今現在おそらく10万人が取り残された状態で、スーパードームにはおそらく5、6万が電気・水洗便所・食糧・水もない状態で閉じ込められています。しかも彼らは、車がないため、そこまで徒歩かバスをつかってたどりつかなければならなかったのです。今、老人ホームや小規模の病院に取り残されたままの人たちがそこらじゅうにいます。

 さらに、夜窓から外を見ると、水で溢れ、真っ暗な街中を懐中電灯を照らして歩いている人がいます。ご指摘されたように、明日の夜になればこの懐中電灯の光も見えなります。水位が9から15フィートまで上がるからです(3~4.5メートル)。いまは懐中電灯で歩けている人たちも、明日にはいなくなります。

 市の病院は満員で、これ以上人を抱えれば入院している人たちのための食糧や水がなくなるため、来る人たちを追い返している状態です。今朝だったか午後この病院にもボートで、二人の小さい子どもを連れた父親と母親が来ましたが、病院は受け入れられないと断りました。これ以上人が入る場所がないからです。

 また20人ぐらいの人が駐車場のガレージまで歩いてきました。ホリデー・インに避難していたのですが、電気が切れたので、そこを離れて、街中をさまよって身を寄せる場所を探していたのです。しかし警備員が受け入れられないと断り、彼らはまた洪水の中へもどっていきました。すでにここにいる人たちの分の食糧・水さえも十分にないからです。

 ですから、いまニューオーリンズで取り残されているのは、数にして数万になりますが、もっとも病気が重く、高齢で、お金がなく、一番小さい子どもたち、障害者といった人たちです。市の計画は全員避難ということでしたが、現実は、入院患者は避難など出来ませんし、看護婦も患者をほおって避難などできないのです。患者もそうです。老人ホームにいる高齢者もそうです。車がなければ避難できません。こういう人たちの避難について市は何の計画もしていませんでした。

 ですから、おそらく10万前後の人たちがまだ市の中心部にいます。当局の提案は、ここのとなりの行政区に唯一残っているラジオ局から放送されているのですが、――テレビ局も機能しておらず、携帯はこちらからはかけられません――当局の提案といえば、となりの州への境界へボートで移動して、そこで救助する、といったことだけです。少し考えてみれば分かりますが、残っている人たちは、車も持っていなし、病身の母親を抱えてアパート暮らしをしているような人たちですよ。だから家を離れられないのです。車を持っていない人がボートをもっていますか。今まさに、人道的に危機的状況がおこっています。

エイミー・グッドマン:すこし変な質問かもしれませんが、法律学の教授として、いつもはハイチでの危機を取り上げており、現在ジャン・ジュースト牧師などが投獄されているハイチには何度も足を運ばれていますね。いま、ニューオーリンズで起こっていることは、ハイチと比べてどうでしょう。

ビル・クイグリー:ハイチがニューオーリンズのようになってくれればといつも願ってきましたが、最近はニューオーリンズのほうがハイチのようになってきています。電気もなく、交通機関も機能していません。この時点で、この病院の人たちには飲料水がありますが、水道からは飲まないようにと言われています。ですから、水も、交通機関も、医療もない状態で、人びとが市内をさまよっている状態です。多くの点で、いまニューオーリンズの百万の人口が、ハイチにいるような経験をしています。

グッドマン:そこに国家警備隊はいますか?

クイグリー:屋根の上で、ヘリコプター救助を支援している警備隊はいます。そのほか一、二箇所で見ました。これから数千人が来るといわれていますが、繰り返しますが、どうやってここにたどり着くのか分かりません。一日のほとんどの間、通信システムがほとんど使えないため、市長、警察署長、知事といった人たちが唯一稼動しているラジオ局と連絡をとることができません。ですから、ラジオ局まで歩いていって、そこのスタッフと話をして状況を把握している様です。まさに大惨事で、ニューオーリンズの外に出ている市民は、家に戻ろうと矢も盾もたまらない状態にいます。ですが、いま市内に残っている人は、正直に言いますが、死にかけており、本格的な救助が迅速にこなければ死傷者の数は増えかねません。

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