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明日は明日の風が吹くのだ

人生いつでも波瀾万丈

HOLYさんに返信(3)。

2011-05-02 19:55:33 | 国際・政治

「HOLYさんに返信(2)。」へのHOLYさんのコメントに対する返信です。

まずはHOLYさんのコメントからご紹介。

たびたび記事にしていただき恐縮です!

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「もうそのセオリーでは立ち行かない」
そう判断する根拠が何か、ですね。

自分は、今回の福島の事故は確率論的に「いつか起こり得ることが今起こった」、すなわちその辺りの認識がHOLYさんとは異なります
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

すみません、ここでの「立ち行かない」は、まさに感情論的な部分での継続困難な局面に入ったと思います、という意味です。

理系の人だと、トラブルフリーなシステムはあり得ない、というのは一般的な認識ではないかと思いますが、そうでなければ、「こういう風に十分対策しているので、絶対に絶対に絶対に、安全なんです!!」と権威的に言われれば、そうかな、つって、推進/反対が入り乱れてたのが、これまでだと思うんですよ。

ところが、起こらないと言われたことが起こった今、これからは、安全で安定した供給方法の原発ベースのベストミックス、という方法論自体が説得力を失ったわけで、増々、あちこちの住民感情的に、これまでの「ベストミックスコンセプト」が大幅に見直しを迫られるだろう、ということが言いたかったことなんです。

 

>「起こるべくして起こった事故」だと思っていますので、

この点は、おれも全く同じで、「やはりとうとう来たか」というのが、最初の溶融可能性の報道から水蒸気爆発まで感じていたことで、爆発をリアルタイムに見た時は、後で格納容器が無事だと知るまで、せめて九州まで避難したいけど、色々投げ出せないしどうしよう、と、かなり絶望的な気分で過ごしていました。

>原発の急停止や化石燃料置換で社会がどうなるかをよく考えてから「それでも止めろ」と言って欲しい訳なんです。

で、あれば、逆に、代替案が出るまでは原発併用が現実的、というのも思考停止で先送りな気がします。
そもそも、何もなしに「今すぐ止めろ」とか言いたいのではなく、「止められるようにするには、どうすべきか」について考えるのが最優先でしょう、と言いたいだけなんです。

なので、
>「知りたくないの」は、この問題に関してはちょっと許されないと思いますね。

が、何を指してるのか、ちょっとわからないんですが、とにかく、根本で意見が一致してるのに、ここまで会話が議論ぽく続くのにビックリです(爆)

HOLYさん>

> ここでの「立ち行かない」は、まさに感情論的な部分での
> 継続困難な局面に入ったと思います、という意味です。

これは非常にわかりやすいですよね。もちろん、そういうおつもりでの発言であることは理解した上での「あえての」前回コメントなんです。

理系/文系に関わりなく、「絶対安全です」が明らかなウソだってことは分かってたはずだ、っていうのが「東京湾に原発はない」って話を持ち出した理由です。文系な人も、本当は危ないと薄々感じてはいるけど、反対したってどうせ原発は日本のどこかに出来るし、危ないと思うと怖くてやりきれないから「絶対安全と信じる」ことに決め込んでいたわけです。なので、事故が起こると「もう無理、ヤメテー」になるわけですし、それが当たり前です。「怖いものである」と理解して受け入れていたワケではなく、怖くないと自己洗脳して原発を受け入れていたのですから、催眠術が解ければ怖いに決まってます。

ですから、原発建設に当たっては、「どんなに努力しても一定の確率で事故が起こることは防げません。その代わり、事故が起きた場合には金銭面、医療面の補償も含めて誠心誠意対応します」とちゃんと説明しておくべきだったのです。それを、「事故は起きません」とウソで固めた話を押し通して来たから、いざ事故が起きるとおかしなことになってるわけです。

医療の世界でも、避けられない事故ってのは必ず起きます。努力しても予定通りの治療効果よりも合併症のデメリットの方が大きいことがあり、最悪の場合は治療のために命を失うこともあります。ですから、治療前には必ず充分すぎるくらい合併症の説明をしますし、事故が起きたら即座に分かっている状況を洗いざらい説明します。説明・謝罪をしないと訴訟リスクが明らかに高くなるという海外のデータもあるくらいです。

> 何もなしに「今すぐ止めろ」とか言いたいのではなく、
> 「止められるようにするには、どうすべきか」について考える
> のが最優先でしょう、と言いたいだけなんです。

これも理解した上でお話ししてます。だからこそ会話が繋がってるわけでして。「今すぐ止めろ」はHOLYさんの意見ではなくて、強硬な反対派ののものです。個人メールでなくBlog記事って性質上、我々の会話を横からギャラリーしている方も多少はいらっしゃるんで、HOLYさん以外の方に向けられた言葉も少々含みますから、その辺はご容赦ください。ただ、代替エネルギーがまだ開発途上の段階での原発停止は、「今すぐ」に近いものだということも指摘しておきます。

ただ、「止められるようにするにはどうすべきか」について考えるのが最優先ではないと自分はずっと繰り返し言い続けていて、これがHOLYさんと決定的に違う点です。その前に、「ほんとに止めていいの?」をクリアにすべきだってことですね。おそらくHOLYさん以上に原発嫌いの自分が「議論する間、待つ時間がある」と言っているのはおかしいはずですが、自分の中では「事故はいつか起こるもの」と思っていたので、我慢出来ているんだと思います。また、事故は確率の問題ですから、今年事故が起きたからといって、これから毎年起こるものでもないですし。

そして、「ほんとに止めていいの?」をみんながそれぞれの意見を持てるように、原発は単なるエネルギー問題ではなくて、日本が化石燃料にシフトして大量の化石燃料を要求することで中東情勢に与える影響や、それが日本の国防に与える問題、また核兵器保有国に囲まれた中で核能力を自ら放棄する意味、またCO2排出に与える重大な影響について考える必要があると言い続けているのです。

これらの検討事項の中で、我々バイク乗りがCO2排出の問題に触れるのは自殺行為とも言えるタブーではありますが、絶滅危惧種である我々が趣味で使うガソリンの量と、日本中の原発が全てガスタービンに置き換わって化石燃料がジャンジャカ燃やされることとはまったく桁が違う話なので、地球温暖化とCO2の関係について思考停止していないで考えるべきだし、そのためにもっとちゃんとしたデータが欲しいと思っているんですね。自分の中では現状のCO2レベルは白とも黒とも言える情報がないので灰色のままですが、灰色の状態で膨大なCO2排出を伴う化石燃料へのシフトは許されるのかどうか、というところで情報不足で考えが進められなくなっています。その辺、以前引用したラブロック(ガイア理論の提唱者)を読んでいると、かなり絶望的な気分になれます。HOLYさんにも一度読んでみて欲しいな。多分面白がってくれそうな気がします。

そんなわけなので、バイク乗りだからってCO2排出の問題に頬かむりしたまんまで、世界中がガスタービンだらけになるのを容認するのもどうかなと思っています。原発大国の日本ですら原発を持ちきれずにガスタービン化したら、追従する国家も当然出てくると見なければなりません。そういう意味では、日本のことだけ考えてる場合でもないんですよ。ですから、

> 代替案が出るまでは原発併用が現実的、というのも思考停止で先送りな気がします。

というのは、先送りなのではなくて、実は当分の間イヤでも現状の「ベストミックス」しかやりようがないのではないかとも思い始めています。ただし、老朽炉の廃止や、高温ガス炉など新しい安全技術の投入は必須ですね。


mffactory02さんに返信。~やっぱり長いんでこっちで~

2011-05-01 21:50:11 | 国際・政治

「HOLYさんへの返信。」にいただいたmffactory02さんのコメントへの返信もたいがい長いので、これも記事化。まずはmffactory02さんのコメント。

たしかに、ピーク域だけの話で電力不足が語られてるわけで、実際は東電管理区域の潜在能力はもっとある、という説もあるようですね・・揚水力発電だけでなく。

やっとこのところ、知識人達が発電所の小型化や自治体、法人などでの独自電力供給を語りだしましたね。
 発電機メーカーなんて大盛況のようです。

 僕がかねてから提唱してる「小型の簡易水力発電所を大量に敷設する」案も、いずれは若いエンジニアとかがいいアイデアをたくさん出す時代が来るでしょう。

今すぐにエネルギー問題を解決できなくても、いずれは次世代が。

ワクワクします。

 追伸、

案外早く電力不足は解消されるかもしれませんね。

問題はどこまで東電などの地域電力会社の独占が開放・改革されるかですね。

送電ロスとかもかなりあるらしいですから・・少なくとも私鉄各社くらいは自社の電力供給源を持つべきかなあ・・。

自治体、企業などが独自で電力供給源を
どんどん持つべきです・・。

このあいだ通ったら杉並区は電灯を一部LED化してて・・頼もしかったです。
自治体の前向きな努力の兆しですわ。


以下、mffactory02さんへの自分の返信です。

潜在能力があることを指摘するのは大事なことですね。ただし、それが分かったらもう一段階進んで、「じゃあ、なんで今までそれらが活用されてこなかったの?」というところに回答を出さなければならないんです。政財絡めた原発利権モデルや、電力会社による小規模発電の妨害モデルはそれを極めて容易に説明してくれますが、それだけで充分だとは言えません。

例えば、ドイツで盛んに行われている風力発電がなぜ日本で広まらないのか?世界中に風力発電システムを輸出する三菱重工があるなら、「風力利権」議員と結託して日本中が風車だらけになっていないとおかしいんです。

自家発電規制の緩和は、決してバラ色ではありません。一般企業に自家発電を許すと、mffactory02さんが提唱するような自然エネルギー利用型の発電ではなく、小型ガスタービンのような化石燃料依存型の古い発電方法の比率が高まってしまいます。電力会社がつくる大型ガスタービン発電のコンバインドサイクルだと熱効率は60%にもなりますが、この効率は小型タービンでは達成不可能です。つまり、現在の技術での小規模発電による電源の分散では、電力供給の安定化と引き換えにエネルギー浪費に向かうということなります。しかも、その「安定化」だって、化石燃料の供給が安定していることが前提なのですが、こと燃料供給の安定性においては、化石燃料はウランに遠く及びません。これらのことを総合的に考えると、電力会社に発電事業を集中するのは、それなりのメリットがあるのです。あちこちで同じことを書いているようですけれども、「今あることがそうなっているからには、それなりの理由がある」んですね。

原発の問題を考えるにあたり、なぜかみんなCO2のことを口に出さなくなってしまったことにも正直違和感を覚えています。レジ袋持参までして 「CO2削減でエコ」とか言ってたはずの人たちが、いつの間にか「原発なくすなら火力OK!」と知らんぷりで鞍替えしているなら、かなりいい加減な話だと思うんですけどねえ。みんなが節約するレジ袋1枚1枚の積み重ねのCO2削減量と、火力発電所のガスタービン1基のCO2排出量じゃ、文字通り桁が違うはずなんですけれども。

公共施設の電球のLED化は今に始まった話ではなくて,mffactory02さんもよくご存知の通り、信号機の電球はかなり前からLEDに置き換えられていますよね。原発事故の前から、気づいている人はちゃんといて、みんな出来ることをしっかり始めてたんです。LED信号機のお陰で、ドライブレコーダがちゃんと撮像されないとか、発熱しないので積雪地帯で信号機に積もった雪が溶けなくて見えなくなり、冬期の事故が増加したとか色んな話がありますが、そうしたこぼれ話が出てくるくらいに使用実績があるってことですね。

mffactory02さん同様、次世代エネルギーの台頭が待ち遠しいですが、それと同時に核兵器の解体や、まだ未完成の次世代エネルギーの開発を支えるエネルギーとしての次世代原子炉の導入も必要だと考えています。少なくとも、これ以上老朽炉を使い続けるべきではありませんから、早急に老朽炉の廃止と新規炉への更新を行うようにすべきだと思います。


HOLYさんへの返信(2)。~長いので転載~

2011-05-01 21:35:15 | 国際・政治
「HOLYさんへの返信。」についたHOLYさんのコメントへの返信が長過ぎるので、記事化。なんてややこしい(苦笑)。まずはHOLYさんのコメント。

もう終わってたのかよ!(爆

そりゃ申し訳ない!
「どー思う?」って丸投げにも関わらず、
長文で思いのたけをお聞かせいただけて、
ありがとうございます!

週刊誌系は元々信用してないので、
どんどんやっつけて大丈夫です。
揚水は、確かに不安定だから含めていない、
と取材に対する官僚回答もあったけど、
この後、供給量見通しを急遽訂正してたから、ゴシップばかりと思ってた週刊誌系にもまだ余力があったかと驚いたので、思わず書き込みを。

まあ、揚水があるから大丈夫、ということではなくて、原発=電気の有無、にすり替えられてるような供給側の主張がどうかと思ってると言いたかったのです。

経団連の25%節減の真意は、ちょっとわかりかねますが、(もちろん大需要家の削減が最も効果的、という実利部分が大きいですが、元々製鉄などの超消費工場は自前の発電所があって、休み休み使ってたのをフル稼働して東電に売電始めてたりするし、実効数値というより、心意気を示してるような感じもなくはないというか。)会長の「東電の賠償範囲は法律の範囲内に収めるべき」という発言からは、やはり原発産業の多くが参加する団体として側面支援的な意図も感じられたりするわけで、でも、おれもぞの一派の下っ端なので、あまり触れないようにします。

原発>火力>水力という安定性とベストミックスのセオリーはそのとおりかと思いますが、もうそのセオリーでは立ち行かない(トラブルのない機械など存在しない、というのは真理で、まさに原発のトラブルの厄介さが今の現実なわけで)状況の中、立場を超えて現実的な選択肢として燃料燃やしきるまで原発を使う、というご主張かと思います。んがしかし。やはりおれは、止める前提で、どうすべきかを考えたい。

なんか、いつも堂々巡りですいません~~

以下、自分の返信です。

> もう終わってたのかよ!(爆

自分の中で考え続けることはともかく、Blogで取り扱うのはもういいかなと思ってました。HOLYさんからの宿題のトリウム炉についても、「トリウム炉よりも高温ガス炉のほうがいいかもよ?」という記事を書きましたんで。


> 「どー思う?」って丸投げにも関わらず、?

丸投げしすぎや、おっさん(笑)。どういうつもりで記事にリンクしたのか読みとれないので、あらゆる場面を想定して返信せざるを得ず、長くなっちゃいました。なのに、

> 長文で思いのたけをお聞かせいただけて、
?> ありがとうございます!
> 週刊誌系は元々信用してないので、
?> どんどんやっつけて大丈夫です。

気ぃ使うて大損やわ(苦笑)。

?> まあ、揚水があるから大丈夫、ということではなくて、
> 原発=電気の有無、にすり替えられてるような供給側の
> 主張がどうかと思ってると言いたかったのです。

...んなもん、あのコメントから読み取れるかーっ!(笑)

単独で、クリーンかつ安全で国際的にも問題を起こさないエネルギー源が現時点では存在しない以上、各種の発電方法を上手いこと組み合わせなければならんのですが、システムの一辺が崩れりゃ全部崩れるって意味では「原発=電気の有無」になるのもやむを得ないですね。供給能力が需要を満たせなかったら、100Vの電気が70Vになって届くのではなくて、停電してゼロになっちゃうので。

経団連の話ですが、製鉄所のように自前の発電所があるのは一部の話ですし、これまで自家発電をフル活用していなかったということは、売電よりも買電のほうが経営的なメリットがあったということになります。また、加盟する1601社がみんな自家発電で易々と目標をクリア、なんてわけはないですよね。なので、心意気という部分もあるかもしれませんが、大停電・計画停電に対するそれなりの危機感あっての25%堅持だと自分は見ています。

> おれもぞの一派の下っ端なので、あまり触れないようにします。

経団連加盟会社の社員ですと、なかなか言いたいことも言えないですよね。特に、独身ならともかく、家庭を持つと自分のことだけ考えてりゃいいってわけにいかないですから。だから、「独身のおっさんには思ったことを言うべき義務がある」と思ってるとこもあります。

> 原発>火力>水力という安定性とベストミックスのセオリーは
> そのとおりかと思いますが、もうそのセオリーでは立ち行かない

ここが非常に極めてとっても大事なポイントなんです。
「もうそのセオリーでは立ち行かない」
そう判断する根拠が何か、ですね。

自分は、今回の福島の事故は確率論的に「いつか起こり得ることが今起こった」、すなわち「起こるべくして起こった事故」だと思っていますので、その辺りの認識がHOLYさんとは異なります(ただし、ここまで被害が大きくなったのは防災対策の怠慢以外の何物でもないので、原因をしっかり調査しなければなりません)。自分にとっては「事故は必ず起こるもの」という前提なので、だからこそ事故処理が面倒な原発が嫌いなんです。そもそも絶対に事故が起こらないものなら、これほど嫌いになる必要もないんですから。

HOLYさんのおっしゃる「そのセオリー」には、お忘れかもしれませんがそもそも一定確率の事故が含まれています。なので、セオリーを正しく理解しているなら、事故が起こったからといって「セオリーが立ち行かない」と考えるのは、感情的には容易に理解出来ますし共感もしますが、理論的には誤りです。「トラブルのない機械はない」というのはエンジニアにとって常識ですし、トラブルがあるかもしれないと政治家もわかっていたからこそ、東京湾には原発がないわけです。「事故は起こるかもしれないけれど、日本のために絶対に必要だから原発を使おう」と決断して現在の原発施策を選択したなら、事故が起きたからといって急に方針転換するようでは「理解も覚悟も足りなかった」と言わざるを得ませんね。

> んがしかし。やはりおれは、止める前提で、どうすべきかを考えたい。

極めて自然な感情だと思います。なので、「どんな犠牲を払ってでも、原発を止める覚悟があるのか」という部分さえクリア出来たら、それはひとつの立派な考え方だと思うんですよ。

「原発が怖いから止めたい」ってのは、誰にとっても当たり前の話だと思います。いくら自動車よりマシと言われたって、イヤなもんはイヤじゃ。それでいいんです。ただ、その「イヤじゃ」を通すには、相当の犠牲を払うことになるのが現在の社会システムだという認識を持たないと無責任な発言になりそうですよ、というのが自分が最初から言い続けてることなんですよ。この不景気で、既に「就職活動に失敗した大学生の自殺が増えている」というデータもありますので、大人の責任として、原発の急停止や化石燃料置換で社会がどうなるかをよく考えてから「それでも止めろ」と言って欲しい訳なんです。「知りたくないの」は、この問題に関してはちょっと許されないと思いますね。

ということで、次回はあるのか?(苦笑)


HOLYさんに返信。~「揚水発電で原発要らず」は本当か?~

2011-05-01 13:32:32 | 国際・政治

自分の中でもう原発の話はいったん終結したつもりだったんですが、HOLYさんから問題提起がありましたので。

> ところでさ、原発全部止めても停電しないらしい話もあるんだけど、
> おれたち、やっぱ政府と東電に騙されてるんちゃう?

 http://www.news-postseven.com/archives/20110418_17850.html

> どう思う?

毎度の確認ですが、自分は原発が嫌いです。でも、原発で働く人は応援してます。それから、原発が嫌いだという以上に核兵器が嫌いです。そういう前提での発言だとご理解ください。決して自分は原発推進派ではありません。

揚水発電ネタですが、自分は揚水発電を計算に入れていないのは必ずしも不当だとは思いません。むしろ、水力発電がどういう扱いを受けているのか心配しているくらいです。首都圏に限っても、平成6年と平成8年に大渇水が発生していますが、この記事ではその検討が全く為されていません。水力発電を議論するために極めて重要なはずのこの検討が、ポストセブン記事では「原発が必要と主張するための言い訳」として「取り上げたふり」をした上で、さっさとゴミ箱に捨てられています。読者に正確な判断を促すなら、「大渇水でも大丈夫」という計算を示さなければならないし、提示出来ないならその旨を明記するのが責任ある姿勢です。

「原発をなくしたい」というのは多くの人の願いですが(自分も含みます)、普段の仕事では冷静な人も、話題がこと原発になると、なぜか都合の悪い話には目を閉じ、耳を塞いでしまう。ほんとに不思議なくらいに。なので、「恐怖に思考を奪われてはならない」という記事を再三書いているんです。

部下を管理する立場の人であれば、「現在進行形の案件に加えて、新たなブロジェクトを引き受ける余力はあるか」「こいつに任せるが、もし予定通りに進行しなかったらどうするか」ってことを考えながら仕事を受けたり、割り振ったりすると思うんですね。

会社でいえば、部下の「原発くん」が突然のバイク事故で大怪我をして、長期欠勤が決定した。そうなると、力持ちの「火力くん」とお天気屋さんの「水力ちゃん」、パートの「揚水おばちゃん」で力を合わせなきゃならないわけです。

火力くんと水力ちゃん、揚水おばちゃんが最高のパフォーマンスを発揮し続けてくれれば、原発くんの不在を埋められるかもしれない。でも、それは「出来るかもしれない」という可能性の話なのであって、「必ず出来る」ではないんです。「出来ないかもしれない」という可能性はそれなりに高い。

お父さんがアラブ系の火力君は、お家騒動があると仕事してる場合じゃなくなってしまう。実家の隣がイラクだったり、ご近所にリビアがあったりする火力君は、毎日のニュースに気が気じゃない。しかも、普段でさえ一生懸命仕事したら、「息が炭酸ガス臭い」ってみんなに嫌われちゃう。京都議定書を手に持ったみんなに囲まれて「罰金だ!罰金だ!」って。

お天気屋で雨女の水力ちゃんは、日照りが続くとまったくやる気がしなくなってしまう。

揚水おばちゃんは、ちょっと働くとすぐ息切れして動けなくなってしまうので、数時間働いたら次の日まで休まなきゃならないし、おうちで休んでいる間に火力くんが余分に働いて、翌日の仕事の段取りをしておいてあげなきゃならない。

新入社員を採用したくても、期待の太陽くんと風力ちゃんはまだ中学生。

なので、今いる「ひと癖も二癖もある」部下3人だけで、いつまでも「仕事の3割をこなしていた働き者の原発くんの分を含めた4人分の仕事がスムーズに回せる」と簡単に判断するのは、上司としていかがなものかと。

その辺を冷静に考えた結果として、経団連は節電目標25%を維持しようとしています。目測の誤りが文字通りメンバーの死活問題に直結する経団連が、過去の政府通達を鵜呑みにして25%に固執しているわけではないと見るべきでしょう。血のにじむ努力で世界トップレベルの省エネ技術を維持している日本の工場が、さらに25%の節電目標を設定するなら、経団連は血が滲むどころか血を流す覚悟を決めているように見えます。それほどまでに経済界は、大停電はもとより計画停電による被害が甚大だと計算し、恐れているのがよくわかります。

原発の話に戻りますが、こういう揚水発電を含めた電力計画をする時に、考え得る最高のパフォーマンスを足し算していくだけではダメで、それぞれの発電方法が最高のパフォーマンスを出した場合と、それぞれの発電方法が最悪のパフォーマンスしか出せなかった場合を想定し、最高のシナリオと最悪のシナリオを両方提示しなければ片手落ち以下です。

問題を考えるにあたり、ネットニュースや雑誌記事は主張の根拠が曖昧なものが多いので、注意しなければなりません。ほんとに玉石混淆なんです。今回の記事の場合、既に店頭にない週刊ポストの過去記事はもう確認しようがない。主張の根拠に直接あたれないという時点で、もう既にこのネットニュース記事は信頼性が極めて低いと自分は判定します。「そういう声もある」という受け止め方に留めるわけですね。医学を含めた科学論文では、ある文献を根拠の軸に引用しながら、その元文献が消失しているなんて状況は許されないしあり得ませんから。また、「まず主張ありき」で書かれたものであることは間違いないでしょう。もちろん、主張は「原発施策を糾弾する」ことです。

まず、ポストセブン記事の主張の大前提から。

「すべての火力復旧・増設が上手く行き」
「渇水などが起こらず」
「予想外のトラブルが起こらなければ」
「東電は」

原発なくても大丈夫、という理屈です。どれかひとつ欠けてもダメです。「予想外のトラブルが起こらない」なんてのは甘い幻想に過ぎないことは、大地震と津波による原発事故でこれ以上ない証明が為されたはずですよね。もし東電が出来ても、原発依存度48%の関電はどうでしょう?また、上に書いた3社員の話は、「大地震+津波+原発事故」よりは明らかに起こる可能性の高い話です。「アラブのお家騒動」「渇水」なんて全然珍しくなくて、その気になれば極めて簡単にいくらでも実例を思い出せるはず。でも、なぜかみんな「思い出したくない」んです。そこが、原発問題の議論をややこしくしていると思います。

揚水発電の大きな利点は、「瞬発力」です。揚水発電を含めた水力発電の大きなメリットは、「水門を開けば直ちに発電量を上げられる」ことなんです。この辺のレスポンスは、原子力は論外として、火力よりも優れています。需要のベースを原発などの調整不能だけれども安定した発電で下支えし、大きな変動は調整能力の高い火力で負担する。火力の追従能力を上回る需要が発生すれば、揚水発電でその場を凌いでいる間に火力の出力を上げてゆくというのが、それぞれの発電方式の個性を生かす本来の使い方です。揚水発電は火力発電がブルペンで肩を作るまでのワンポイントリリーフと考えるべきで、先発ローテーションを回せるほどの力はないと見るべきです。原発を廃止するなら火力発電だけでピークを支えられなければ充分な備えとは言えませんし、もちろんその火力発電だってメンテナンスやトラブルでの休止分を計算に入れておかなければなりません。「全火力がフルに動けば大丈夫」ってレバタラ話はダメです。死なない人間がいないのと同じで、トラブルのない機械やシステムは、この世界のどこにもありませんから。

ポストセブンの記者が、上記の内容を考えないで記事を書いているのか、それとも分かっていてあえて書いているのか?どちらの場合であっても、感心したものではないように思いますね。ここのような素人のブログ記事とは違って、雑誌記事や出版社を看板にしたネット記事には世論を誘導する力がありますので、その力の自覚がない、あるいはその力を知りながら公正さに欠ける記事をあえて書くような記者は、情報を扱うプロフェッショナルとして「嫌い」です。

「真っ赤なウソ」で騙されているよと教えてくれる人って、信用したくなるでしょ?でも、ちょっと待ってください。「騙されているよ」という言葉でいったん信用を勝ち得たら、その相手に別の騙しを吹き込むのは極めて簡単なんです。「ホントは安いんです、お値段のほとんどはお店の手数料。皆さん騙されてるんですよ」とかいって怪しい商品を売りつけるインチキ詐欺師、いっぱいいますでしょ?みんなわかっているはずなのに、そういう商法に騙される人が後を絶たない。もちろん、全員を騙せるわけもないけれど、いつの時代でもそれなりの比率で騙される人は必ず存在するので、詐欺や霊感商法が根絶しないんです。

なので、「騙されてますよ」と言いながらすり寄って来る人ほど要注意です。綿密な取材のもとに、ホントに力のある文章を書ける人は、「真っ赤なウソ」なんて言葉を使わなくても記事の内容だけで読者をその自覚に導けるものです。

インテリジェンスの世界では、「秘密情報の98%は、公式発表をもとに組み立てられる」と言うそうです。情報の専門家がそのように言うならば、我々も98%は無理でも、頑張れば7割くらいの真実に近づくことは出来るでしょう。ニュース記事単独では難しいのですが、例えば今回のポストセブンの記事と、経団連の「節電目標25%堅持」の記事を見比べると、シンクタンクそのものであり、その影響下の企業やその従業員の生活を責任を持って守る立場にある経団連が、ポストセブンとは真逆の方向に動いているのが分かりますから、ポストセブンの記事の方が怪しいと判定出来ます。ポストセブン記者の論理展開に引きずり込まれちゃった人も多いと思うのですが、自分が書いた小説「王王七号シリーズ」にも似て、「いかにももっともらしく書いてあるけど全然根拠が示されていない」部分が目立つ...というかほとんどです。このポストセブン記事では、「理想的に状況が運んだ場合はこうなる」という数字しか示されていません。

こういう記事に使われるのが分かり切っているからこそ、資料には「厳秘」と記されていたわけですが、それを安易に外部に漏らしてしまった人間がいることは、国家の危機管理上、重大な問題だと思いますね。問題の資料が配布されたのは意思決定機関中枢部のごくごく限られた人間のはずですから、海上保安庁職員なら誰でも容易にアクセス出来た尖閣諸島のビデオが流出した事件以上に大きな問題だと思います。各電力会社のサイトや、wikipediaなどの情報から、それぞれの発電所の発電能力を足し算して行く手間さえかければ、この夏の電力需給見積もりにおける供給量が少なめに計算されていることは誰にでもわかることなので、厳秘資料のリークという手段に訴えなくても正々堂々論戦を張れるはずなのです。なのに、それをしないで業務上の機密保持義務を破り、合議での決定事項をひっくり返して自分の意志を通そうとした人物の責任は重いと言わざるを得ません。流出した情報自体はまったく大したことはないのですが、流出したことが問題なのです。

この話はいわゆる「汚染状況の隠蔽」と同列に論じるべきではありませんから、違いによく注意してください。一般市民にとって、放射能汚染状況は政府発表を信じるしかありませんから、隠されると手も足も出ない。一方、今夏の電力供給見積もりが期待出来る最大値より小さいことは、既に広報された各種資料から知ることが出来るわけです。なので、揚水発電が隠されていたことを問題視してもしょうがなくて、「隠蔽工作に見える資料を持ち出して使おうとした奴がいる」ことに注意しなければならないと思います。

あと、ポストセブン記事の真偽はともかく、「経団連が25%削減目標を維持するのは、原発関連企業や癒着政治家を抱えているからだ」と糾弾したくなる人もいるでしょう。けれども、産業界には原発関連でない企業の方が圧倒的に多いわけですし、だいたい25%節減が達成出来ちゃったら「原発なんか要らない」って声を実績で後押ししてしまうわけですから、その批判は当たらないということも自明です。そもそも、25%の省エネなんて「無茶ブリ」もいいところで、何の意味も根拠もなく瀕死の企業を倒産に追い込んだり、工場の海外移転で国内産業の空洞化を促進したりするような目標を産業界のリーダーが立てるはずがない、と考えるのが自然です。もっとも、もし経団連が「原発企業とも政治家とも関連ない売国奴の集まり」だったとしたら、25%削減目標維持には別の意味を帯びて来ることになりますが、さすがにそれはないでしょう。というか、そうだと思いたい。

ってことで、回答になりましたでしょうか?あんまりセブンポスト記事をやっつけちゃうとHOLYさんに申し訳ないんですが、「どう思う?」と聞かれたら正直に思うべき所を言わせてもらってもいいかなと思い。まあ、文字通り太っ腹なHOLYさんだから、きっとわかってくれるはず!


ただ、悲しい。

2011-04-19 19:00:05 | 国際・政治

最近、反省してばかりです。

ともこー@(^_-)さんに横から茶々を入れられて、「よりによってお前が言うな」と前回のような記事を書いたけれど、よくよく考えればたとえ誰の口から出た言葉であろうとも真摯に受け止めなければならないのでした。あれじゃ東京湾に原発を造れと言っている人と何ら変わらないですね。綾町の皆様、妙な話を致しまして、誠に申し訳ございませんでした。深くお詫び申し上げます。記事は自らの戒めとして残します。

とはいえ「原発さえ止めれば後はどうなったって知るもんか」的な無責任な反対活動に関しては話は別で、彼らが加担している風評被害についてはホントにどうにかならないものかと思っています。風評被害については、反対活動家(一部であると信じたい)が地震被害と原発被害を混同したような表現で原発事故を語り、あるいは今もどんどん放射能が福島から拡散しているというような表現を用いて、人々を恐怖を以て「今すぐ全ての原発を止めろ!」へと誘導しようとしているのを見て、その心ない叫び声に憤りを感じると同時に、傍らでその声を聞く被災された皆さんのことを思って心が痛みます。「ホントのこと言って何が悪い」と言われそうですが、少なからず本当でないものが流されていますし(震災後「東日本は全滅だ、私はもう知らない」などと暴言を吐いた広瀬隆とか許しがたい)、またたとえ本当のことであっても時期というものがあると思います。事故については日本中のみんながマスコミ報道でもう充分過ぎるくらいに知っているのですから、ことさら被害を煽るような表現をしなくても、彼らの目的は達せられるはずなのに。ただ、彼らの活動によって義援金が集まるという側面もあるので、避難所にいるわけでもない私には、もう何とも判断できないところがありますが。

ネット界でなく、現実世界でお目にかかる大半の方は「原発は将来的にはなくすべきだとしても、今すぐ全基停止なんてあり得ない」という意見で、その点では安心しています。ただし、そういう普通の方はネット界ではなかなか発言されないので、どうしても声の大きな「今すぐ派」が目立ちますし、その様子を見た人たちが「やっぱり今すぐ止めなきゃダメなの?」と簡単に思ってしまったりすると困りものだと思っています。ちゃんと考えた後なら、それもひとつの意見ですけど、怖い話ばっかり聞かされたらその人にとっての適切な判断が出来ません。メリット、デメリットをきちんと理解した上で、デメリットを取って「後でどんな被害が出ても覚悟の上だから今すぐ止めろ」ならそれでいいんです。でも、デメリットばかりで判断するように仕向けられちゃったら、それはその人が自分で考えたことにならない。いったいどうしたらいいものか、知恵がないのですが。

震災後、原発建設が予定される上関町に「原電を妨害する人は上関町に来ないで」と書かれた看板が立ったとネット記事で知りました。この看板の主張を支持する意見はみられなかったし、それはそれで意見ですから、そこを取り上げるつもりはありません。原発は事故が起きたらその町内だけでなく、周辺地域にも被害が及びますから、何か行動を起こしたいのもよく分かる(遠い地方から来た人は別ですが)。

ただ、それらの声の中で、この看板を見て嘲笑した人がいました(ともこー@(^_-)さんではありません)。明らかに、大きな苦しみの中で立てられた看板です。それを立てた人たち、立てさせたくなかった人たち、それぞれの真剣な苦悩があったはずなのです。それを嘲笑した行為と、目的が何であれ一所懸命な人を嘲笑するようになってしまったその人のことを思い、やり場のない怒りや悲しみを感じていたのでした。前回記事の背景にそんな思いがあったとはいえ、それが何の言い訳になるものでもありませんが、そんなことより、今はただ何よりも悲しいとだけ言いたくて。