前稿のトラスコットは、クレームしないプレイヤーが迷惑だと書くにとどめていますが、つぎの文書では、
- それは「プレイの故意の遅延」として違法行為だ。
と明記しています。文中Law 74を引用している部分です。
Claim early, claim often
早くクレームせよ、なるべく多くクレームせよ
これは、カレン・ウォーカー女史が編集長をしているアメリカの本場中の本場ACBL第8支部の月間公報誌の記事です。
- クレームすることは他のプレイヤーに対する礼儀で、相手を余計な判断から解放するものだ。
- 小さなエラーで、1トリックだけで済むことなら、その場で合意をして、ディレクターを呼ぶな。それに収まらなければディレクターを呼べ。
- 「プレイして下さい」とか、もっと悪いが「私の切札はどうしますか」と言わないで、ディレクターに判断させよ。
Finally, be generous in accepting claims. If the claimer's intentions are clear, don't nitpick about his language or try to get a trick that you wouldn't have won if the hand had been played out normally. You may want him to do the same for you someday.
最後に、クレームを受け入れるに当たっては寛容で在れ。クレーム者の意図が明らかであるときに、彼の言葉の粗探しをしたり、普通に最後までプレイしたら取れなかったであろうトリックを得ようとするな。いつか彼にそうして欲しい日が来るだろう。
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この支部は、コントラクトブリッジ発祥の地を含んでいる最も由緒正しい地域をカバーしています。最後に朱字と下線で示したところは、明確に、「劣悪なプレイを要求するな」という意味ですが、これがなかなか強制力が有る成文規定には出来にくく†、プレイヤーの人格や理解能力に依存する面が残ること、それ故ディレクターの指導的な又は仲裁をする力量が物を言う部分であることが、事態を複雑にしているわけです。
NISHIDA様が寄せられたご意見(7/25)のように、JCBL自身や主催団体による啓蒙、教育、指導が必須であり、上の例は正にその手本の一つになっています。NISHIDA様に申し上げることでは有りませんが、アメリカの支部(District)は、それぞれ日本のJCBLとほぼ同じ立場ですね。
なお、参加者自身による啓発、啓蒙は、昔は兎も角、プレイヤーのクラスが広がり、「異人種交流」のようになってしまった地域では、不可能です。ただその人達を育てたセンターやクラブや教師達には重大な責任が有ると思います。
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† 後日テレンス・リースの言葉を紹介する。なおストップカードも程好い慣行が規則で表現しにくい(ために試合運営が劣化しやすい)ものの一つ。
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