タラット
【口絵の言葉】 鼠のタロットが有りました。表題はタロットでなく「タラット」になっている。ナキシャというシアトルの作家が自費出版しているという。1パック6千円弱とのこと。
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♠が3トリック回った後のSからのプレイです。♣QがAKの下にドロップする(約30%)が、フィネス(同50%+)は利かないハンドでした。
♠984
♥KJ75
♦87
♣J643
♠KQ106 ♠J75
♥A84 ♥1063
♦10952 ♦KJ43
♣Q9 ♣872
♠A32
♥Q92
♦AQ6
♣AK105
[解説] 実戦は3NT1ダウンが2テーブル、2NT3メイクが1テーブルでした。(私は参加して居ません。)
一見容易にメイクしそうですが、(フィネス準備として♣Aを一回取った後)♥のエスタブリッシュに行くと、Wが2回目に(1回目でも同じ。)Aceで勝って♠Qを取り、的確に♥でエクジット(3回目に取るとスローインされた状態になりメイク。)すると、(♥QをKでオーバーテイクして、♥の4枚目を取ったとしても、)その後普通は♣Jを流すから、ダウンするでしょう。
♥でなくて、♣を出されても、間違いそうですが、Eが正確に♣のカウントシグナルを示していると、WのQxを読まれて、メイクされてしまう可能性が高くなります。
また♠Qに対する棄て札から始まって、どちらかと言えばテキトーにプレイをして居るうちに、ハンドにロックされて、♣Kをプレイせざるを得なくなり、メイクしてしまうという皮肉なことも起こり得るようです。
が、Wが♥エクジットの前に♠を取って(逆ストリップ)しまうと、このスローインは出来なくなります。
(朝の珈琲を飲みながら、宙で考えて書いています。ハンドを検証したわけで有りませんから、間違いがあればお許しあれ。)
このハンドは、メイクする方が普通なのか、ダウンする方が普通なのか、フィールドによるのでしょうが、興趣深いところです。
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NISHIDA様のように、合理的に(しかも恐らく第1感で見当を付けて!)、Qドロップがベストプレイと判断される人は、当楽園界隈には少ないと思います。
[無論単に山勘でそうプレイする実戦型プレイヤーならば、少なからず見掛けますが、今回はそういうデクレアラーも、スローインを何度か仕掛けて、ディフェンスを間違わせたデクレアラーも居なかったことになります。
TDBCの初釜とはいえ3テーブル半だったから、参考事例としては少なすぎることが残念です。]
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【謝辞】TDBC広報担当者に日頃のハンドのネット公開を感謝します。
なお今回のハンドは見やすくするため180度回転しました。
只♠3ルーザー♡1ルーザーが確定している以上、♣で負ける訳にはいかず
♡が2トリックしかない時♦フィネスも試したいとなるとエントリー問題から
♣Qドロップが有力と思いました。
2.♣フィネスなら1度は叩いてとしたい
所ですが♡をWが最初にAで上がる
事は考え難いので♣でHANDに戻る
必要が有ることも♣は叩くに偏った
原因です。
3.♠ダックの件は
教科書的に
1ストッパーの場合、7からダミーと
HANDとの枚数を足した数を引いた
数値が正しいダック回数とされている
ものの受け売りです。
効果が無い場合も有りますが
手段は少しでも多く残すべきでしょう
4.落ちる方が余程まともで、作った人 が上手と言えない場合もたくさん有り 今回も微妙なようです。
(以下は、初・中級者のためです。)
トリック数については触れませんでしたが、♦フィネスで1トリック取っても、それではまだ1トリック足りず、どうせ♣で3トリック要るし、その♣は上から3トリック取れれば4トリック取れる組み合わせなので、(しかも相手に4トリック既に取られたり、取られることが見えてしまったりした以上は、♣10のプロモーションは出来ない。)、メイク最優先のIMPの場合は、♦フィネスは、1アップのためにリスクを冒すだけなので、考慮の外になると思います。
しか取れない時の話です。
3-3以外ではAceダブルトンを当てねばならず結構頭の痛いゲスです。
このハンドは、♦フィネスの必要性、次いで♣Qフィネスかドロップかを当てる前に、プレイでどれだけ情報が得られるかも、影響してくるのかもしれません。
結果は100%の論理的推論は出来ないものでしたが、最初からエントリー不足を見て取られて、ドロップに見当を付けられたのは、感服の他有りません。
他にスイッチされて困るスーツが無い事
を考慮すると、ホールドアップしないで
すぐ♡に着手するべきだったようです。
Eに第2トリック♦にシフトされるとほとんど即死(K、10いずれに負けても♠に戻られて落ちる)ですから。
今回は、途中までのプレイを前提にして問題設定をしましたが、そのやり方は議論は精細になって面白くなるけれども、すっきり提示するのはなかなか難しいものですね。
OLが出た所からの、普通の(シングルダミーの)プレイ問題だったら、ホールドアップしてはならない良い例になりますね。