goo blog サービス終了のお知らせ 

Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

5/15(日)読響みなとみらい名曲シリーズ/アラベラ・美歩・シュタインバッハーのドヴォルザークVn協奏曲

2011年05月16日 00時44分23秒 | クラシックコンサート
読売日本交響楽団/第48回みなとみらいホリデー名曲シリーズ

2011年5月15日(日)14:00~ 横浜みなとみらいホール S席 1階 C2列 14番 4,050円(会員割引)
指 揮:ペトル・ヴロンスキー
ヴァイオリン: アラベラ・美歩・シュタインバッハー
管弦楽: 読売日本交響楽団
【曲目】~オール・ドヴォルザーク・プログラム
ドヴォルザーク: 序曲「謝肉祭」作品92
ドヴォルザーク: ヴァイオリン協奏曲 イ短調 作品53
ドヴォルザーク: 交響曲 第8番 ト長調 作品88

 読売日本交響楽団の2011/2012シーズン・みなとみらいホリデー名曲シリーズの第2回は、オール・ドヴォルザーク・プログラム。前回はドヴォルザークを除いたチェコ音楽の特集だったから、今回はドヴォルザークをたっぶりと、というわけだ。そもそもの計画では、指揮者はズデニェク・マーツァルさんだった。千秋真一じゃないけれど、「やっとヴィエラ先生に会える」と思っていたら、やはり原発問題であっさりと降板してしまった。代わりに同じチェコから来てくれてのは、読響とは24年ぶりの共演となるペトル・ヴロンスキーさん。まあ、ご本家には違いないので、ネイティブな音楽をどこまで聴かせてくれるのか興味津々であった。ヴァイオリン協奏曲には、アラベラ・美歩・シュタインバッハーを迎え、今回のプログラムは、読響の東京オペラシティ名曲シリーズ、みなとみらい名曲シリーズ、サントリー名曲シリーズと、3日連続同じ曲目を会場を変えて演奏するというものだ。

 1曲目は序曲「謝肉祭」。登場したヴロンスキーさんは、いかにも紳士といった落ち着いた風情のある人で、その音楽にも現れていた。基本的にはやや遅めのテンポで、ここぞというところでピッチを上げたり、各パートに細かく指示を出しながら、正攻法の音楽を作っていく。読響の演奏は協奏曲も馬力があって、迫力満点だったが、この曲に限っては音が混濁しているように印象だった。

 2曲目はヴァイオリン協奏曲。アラベラ・美歩・シュタインバッハーさんはCDでは聴いているがライブ演奏を聴くのはもちろん初めて。結局5/12にあったリサイタルには行けなかったので、今日が初対面である。登場したシュタインバッハーさんは、思い描いていたイメージとは少々違っていた。身長もそれほど大きくなく、華奢な感じ、表情も優しげであった。そして演奏も同じような印象だった。
 第1楽章の冒頭、ヴァイオリンが入ってきていきなり主題+カデンツァのように展開するが、音量はやや小さめで線が細い感じだ。前から2列目のソリスト正面、距離にして4~5メートルの席で聴いていての感想である。後ろの方ではどのように聞こえたのだろう。一方、音程や技巧は極めてしっかりしている。音色は繊細で艶やか。とてもキレイで上品な音だ。使用楽器は1716年製のストラディヴァリウス「ブース」だという。なるほど。確かにそういうイメージの音色だが、アクがないといえばなく、優等生的な演奏にも思えた。
 アタッカで演奏される第2楽章・緩徐楽章では、むしろこの美しい音色が抒情的で素晴らしい。演奏自体は素晴らしいのだが、やはり音量が小さめで、オーケストラが大きく鳴ったときには埋没しがちなのが残念だ。
 第3楽章は、民族的な色彩の強い主題がロンド形式で繰り返されるため、美しい音色で的確な演奏をしているのだが、繊細すぎて「ボヘミア的な土の香り」は感じられない。
 曲全体を通してみると、やはり美しく繊細な音色と上品な演奏スタイルが、それ自体はとても素敵なのだが、この曲の表現としてはいかがなのだろうか、と終始疑問に感じてしまった。

 休憩を挟んでの3曲目は、交響曲第8番。何しろ3日前に東京フィルで聴いたばかりの曲なので、どうしても比較してしまうのだが…。今日はチェコのベテラン指揮者だから、期待としては読響から如何にしてボヘミアっぽい響きを引き出してくれるかということか。
 第1楽章は、主題を弾くヴィオラとチェロが暖かみのある良い音を出していた。対するヴァイオリンは音が澄んでいてアンサンブルも良い。金管群とのバランスも完璧とまではいかなくても、かなり良くまとまっていたと思う。
 第2楽章では弦楽のアンサンブルが美しく、かつ厚みもあって良かった。
 第3楽章は、これは泣かせてくれる美しさ。ヴロンスキーさんの細部に至る曲作りが感じられた。旋律の歌わせ方や微妙に強弱を付けたニュアンスがスコア以上に豊かな音楽を創り出していたように思う。
 第4楽章は、冒頭のトランペットのファンファーレがちょっと派手すぎ(?)。弦楽の中では、やはりヴィオラがピタリと統制されていて、素晴らしかった。全合奏の時は読響の爆発的な演奏は、非常に解りやすくて良い。
 曲全体を通してみると、ヴロンスキーさんの曲作りは、基本的にはやや遅めのテンポで、アクセントを付けるようにテンポを揺らすことがある。これも嫌味がなく、あまり個性を浮き出させるようなことはしない。保守的といえば保守的だし、伝統的といえば伝統的なのかもしれない。とても聴きやすい解釈と曲作りで、演奏も平均以上にしっかりしたものだったと思う。ただし、いつもの読響の音に違いなく、ボヘミアの香りまではしなかったようだ。

 終演後には、アラベラ・美歩・シュタインバッハーさんのサイン会があった。間近でお会いしても、華奢な感じは同じだった。上品で誠実なお人柄のようで、CDジャケットにサインと“Best Wishs”と書いていただいた。

人気ブログランキングへ ← 読み終わりましたら、クリックお願いします。

コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 5/14(土)松山冴花&津田裕也デ... | トップ | 5/17(火)「プロジェクト3×3」... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

ブログ作成者から承認されるまでコメントは反映されません。

クラシックコンサート」カテゴリの最新記事