Bravo! オペラ & クラシック音楽

オペラとクラシック音楽に関する肩の凝らない芸術的な鑑賞の記録

9/29(金)せんくら2017第1日/川久保賜紀・三舩優子/西村悟・成田博之・加藤昌則/郷古 廉・田村 響/渡辺玲子・上原彩子・仙台フィル

2017年09月29日 23時00分00秒 | クラシックコンサート
仙台クラシックフェスティバル2017《第12回》〜第1日

2017年9月29日(金)仙台市内3会場4ホール

 「仙台クラシックフェスティバル2017」に遠征することになった。2014年以来だから3年ぶりとなる。今年はついに3日間フル参戦。今日9月29日(金)の朝東京から「はやぶさ」に乗り仙台入り。早速午後からコンサート巡りが始まった。
 「せんくら」仙台市を上げてのイベントで、地下鉄南北線の沿線上にある4箇所の会場に、大小合わせて10のホールを会場に充てる。有料のコンサートは、基本的に1枠45分間で室内楽が中心。チケット価格はほとんどが1,000円。仙台フィルが出演する大ホールでのコンサートでも2,000円というお手軽さが嬉しい。それでも出演するアーティストは日本で活躍するベテランから若手まで、一流の演奏家がズラリと並ぶし、またご当地ゆかりとなる「仙台国際音楽コンクール」の入賞者達も加わるので、パフォーマンスのレベルは高いのである。中途半端な外国人アーティストを呼んだりしないところが良いと思う。クラシック音楽を身近に感じることが出来るとても楽しいフェスティバルなのである。
 毎年、10月初めの金・土・日に開催される。今年は3日間で有料コンサートは合わせて87公演に及んだ。しかもそのほとんどが完売となる盛況ぶり。仙台の人たちのクラシック音楽熱は高く、このような音楽祭が定着していることをうらやましく思う。東京の「ラ・フォル・ジュルネ」より、企画内容も、曲目等の選定も、出演者も、チケット価格も、コチラの方が間違いなく優れていると思う。

■公演番号10《<アメリカと映画音楽>ジョン・ウィリアムズ、モリコーネ・・・心に響くメロディー》
14:00〜14:45 エル・バーク仙台/ギャラリーホール 自由席 1列中央 1,000円
ヴァイオリン:川久保賜紀
ピアノ:三舩優子
【曲目】
J.ウィリアムズ:映画『シンドラーのリスト』より
J.ウィリアムズ:ミュージカル『屋根の上のヴァイオリン弾き』より
モリコーネ:映画『海の上のピアニスト』より「愛を奏でて」(ピアノ・ソロ)
ガーシュウィン:歌劇『ポーギーとベス』より「サマータイム」
ガーシュウィン:歌劇『ポーギーとベス』より「女は長続きしねぇもんだ」
ガーシュウィン:歌劇『ポーギーとベス』より「いつもそうとは限らない」
サン=サーンス:序奏とロンド・カプリチオーソ
《アンコール》
 マスネ:タイスの瞑想曲

 まずはこの公演に合わせて、自由席に並ぶ時間も計算して出てきたので、並んだのは3番目。ちなみに1番は東京から来た音楽仲間のHさんだった。川久保賜紀さんと三舩優子さんの共演は初めてとのことだが、さすがにこのレベルの演奏家はちゃんと合わせてくる。映画音楽の方は賜紀さんよりは三舩さんが得意としている分野だろう。『ポーギーとベス』からの曲はハイフェッツの編曲もので、アメリカ育ちの賜紀さんは昔から好きだと言っていた。賜紀さんの演奏は実に歌謡的で、息遣いまでが伝わって来るようによく歌う。下層社会の苦悩をテーマにしたオペラの曲だが、優しさに包まれてホッとするような印象となる。「序奏とロンド・カプリチオーソ」は技巧的でも有名な曲だが、賜紀さんの演奏はその技巧性をサラリと受け流し、豊かな音楽性で包み込む。聴いていると一緒に歌い出したくなるような共感を生み出すのである。アンコールは「タイスの瞑想曲」。旋律を歌わせるというのはこういう演奏のことを指すのだと思う。若い演奏家たちがお手本にして欲しい、素敵な演奏であった。


■公演番号5《Viva! イタリア! サンタ・ルチア、帰れソレントへ》
15:45〜16:30 日立システムズホール仙台/シアターホール 指定席 1階 D列 17番(最前列) 1,000円
テノール:西村 悟
バリトン:成田博之
ピアノ:加藤昌則
【曲目】
レオンカヴァッロ:マッティナータ
コットラウ:サンタ・ルチア
クルティス:忘れな草
クルティス:帰れソレントへ
トスティ:マレキアーレ
カルディロ:カタリ・カタリ(つれない心)
ララ:グラナダ
ガスタルドン:禁じられた音楽
ボチェッリ:君と旅立とう

 次の公演までのつなぎにと思い、チケットを取っておいたのだが、実に楽しい公演であり、聴いて良かった。西村 悟さんと成田博之の掛け合いトークも絶妙で面白く、しかも歌唱は本格派。ここではオペラ・アリアではなく、カンツォーネの名曲集である。興味深かったのは、バリトンで歌うカンツォーネが、意外にもなかなか素敵だと言うこと。要は、歌唱が上手ければ聴き手には伝わるものが多いということなのであろう。

■公演番号20《麗なフランクに酔い、ショーソンの神秘に息を呑む。フランス・デュオの決定版》
17:15〜18:00 仙台銀行ホール イズミティ21/小ホール 指定席 1列 14番 1,000円
ヴァイオリン:郷古 廉
ピアノ:田村 響
【曲目】
ショーソン:詩曲
フランク:ヴァイオリン・ソナタ

 郷古 廉さんのヴァイオリンを聴くのも久し振り。彼もウィーンに留学して一段とグレードアップしてきた。イケメンで背も高く、実にカッコイイ青年だが、音楽に取り組む姿勢は真剣そのもので、演奏にも常に全力を尽くして向き合うタイプである。演奏は緊張感を孕んだ男性的なもので、濃厚で質感の高い音色とクッキリとした造形。以前のような線の細いイメージはすでになく、強い意志の感じられる演奏だ。今日はパートナーの田村 響さんの演奏に覇気がなかったように思う。


■公演番号21《あまりにロマンティックで、情熱的・・・2大ソリストで聴く、3回泣ける世界の名曲》
19:00〜20:00 仙台銀行ホール イズミティ21/大ホール 指定席 1列26番 2,000円
ヴァイオリン:渡辺玲子*
ピアノ:上原彩子**
指揮:現田茂夫(指揮)
管弦楽:仙台フィルハーモニー管弦楽団
【曲目】
サラサーテ:カルメン幻想曲*
サラサーテ:ツィゴイネルワイゼン*
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲 第2番 ハ短調 作品18**

 渡辺玲子さんのヴァイオリンは、相変わらずパッションがいっぱいで、強烈な押し出しでガンガン攻めてくる。「カルメン幻想曲」も「ツィゴイネルワイゼン」もオーケストラ伴奏で弾く機会はあまり多くはないと思う。要するにロマの音楽だから、ヴァイオリンが自由気ままに演奏すると合わせるオーケストラが大変になる。仙台フィルの応答があまり鋭くはないので、その辺は現田茂夫さんが苦労していたようだ。上原彩子さんのラフマニノフは素晴らしく、強烈な打鍵から生み出される重低音や立ち上がりのカリッとした中高音でメリハリのあるダイナミックな演奏を聴かせた。緩徐楽章などの美しい旋律には、女性的な繊細さが現れ、実にロマンティックな表現となる。見事な演奏であった。

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