「モーツァルトのニューイヤー2010 ~協奏曲の午後~」
1月23日(土)14:00~ 第一生命ホール S席 1回 1列 24番 5,000円
ヴァイオリン:川久保賜紀*
フルート:小山裕幾**
ハープ:吉野直子**
クラリネット:赤坂達三***
管弦楽:N響メンバーによる室内オーケストラ
曲目:モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219「トルコ風」*
モーツァルト:フルートとハーブのための協奏曲 ハ長調 K.299(297C)**
モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622***
第一生命ホールとトリトン・アーツ・ネットワークの主催によるニューイヤー・コンサート。モーツァルトの有名な協奏曲を3曲集めた名曲コンサートである。2週続けて川久保賜紀さんが聴ける、ということで喜び勇んで出かけた。
会場の第一生命ホールは、古い歴史を持つホールだが、2001年に東京・晴海に新設された比較的新しいホールだ。2階席を含む767席の楕円形で、室内楽や室内オーケストラに適した中規模ホール、音響も良く木の内装が美しい。
今日のオーケストラは、N響のメンバーによる室内オーケストラということで、指揮者なし。コンサートマスターの山口裕之さんが牽引する。編成は、第1ヴァイオリン5、第2ヴァイオリン4、ヴィオラ3、チェロ2、コントラバス1、フルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2。今日は協奏曲のみのオール・モーツァルト・プログラムなので、これくらいの規模の室内オケが、会場の特性からみても絶妙なところ。非常に緻密なアンサンブルを、上品に聴かせてくれた。
さて、1曲目。ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219「トルコ風」。モーツァルトが19歳の頃の作品だけあって、清新・溌剌とした名曲である。今日の川久保賜紀さんは、淡いグリーンのドレスでにこやかに登場。相変わらずエレガントなたたずまいだが、今日はちょっぴりセクシーだったかも。
指揮者のいない室内オケなので、ステージの中心で演奏が始まった。主題を提示するオケは息もぴったり、極めて透明な音色の緻密なアンサンブルが見事で、さすがはN響(?)、抑え気味の管楽器も上手く、弦とのバランスも良い。やはりモーツァルトの音楽はこのような美しい音色が良い。ソロ・ヴァイオリンが静かに入ってくる。今日の川久保さんは、先週のラテン系とは打って変わって柔らかな音色で、モーツァルトの音楽を時に優雅に、時に溌剌と弾く。アイコンタクトを取りながらオケのメンバーを従えてリードしていく姿は、ある種の貫禄さえ感じさせる。その姿はボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」のイメージを想起させた(勝手なイメージでスイマセン)。カデンツァになると、その流麗なテクニックと豊かな響きで会場を魅了していた。
第2楽章は緩徐楽章。天国的な美しい旋律が続く。今日の川久保さんはピアノ・ピアニッシモが繊細で見事だった。このようなモーツァルトの協奏曲では元々大きな音を出す必要がないだけに、弱音部分が上手くないと全体のダイナミックレンジが狭くなって、抑揚がなくなってしまう。そのあたりのバランスも素晴らしかった。この楽章も協奏曲風ソナタ形式で書かれており、カデンツァがある。もちろん、見事な演奏だった。
第3楽章はロンドにもかかわらず曲想はメヌエット。モーツァルトらしい18世紀の典雅な響きだ。やはりカデンツァがあるのだが、そこからオケにつなぐところなど、その流れの美しさにBrava!!
やはりモーツァルトということもあって、川久保さんのヴァイオリンは、非常に素直な音色とともに緻密な演奏だった。しっかりとしたリズム感、極めて正確な音程で、アンサンブルを楽しんでいるようだった。時折客席にも視線を向け、聴衆にも語りかけるような表情を見せる。1列目で聴いていたので目が合った時はドキドキしてしまった。やはり川久保さんは最高ですね!!
2曲目は、フルートとハーブのための協奏曲 ハ長調 K.299(297C)。これも有名な曲ではあるが、ナマで聴ける機会はそう多くないと思う。今日は席が、ちょうどハープを真横から見る位置で、しかも4メートルくらいしか離れていないから、ハープという楽器を十分に堪能することができた。もちろん吉野直子さんはハープ奏者の第一人者。指使いだけでなくペダル使いなども興味深く拝見させていただいた。フルートの小山裕幾さんは若手のソリスト。この名曲をそつなく聴かせてくれたと思う。正直言うとハープやフルートのことはよくわからないので、コメントは差し控えさせていただこう。今日はモーツァルトの名曲を楽しませていただいただけで満足である。
休憩をはさんで3曲目は、クラリネット協奏曲 イ長調 K.622。これまた誰でも聴いたことがあるような名曲だ。モーツァルトの最晩年の曲だけに、極めて完成度が高い。クラリネットの赤坂達三さんもこの道の第一人者。この曲のCDもリリースしている。クラリネット協奏曲としては最も有名な曲ではないかと思うが、意外なことに楽譜を見ながらの演奏だった。そのためか、少々盛り上がりに欠ける演奏だったような印象を持った。とはいえ、オケとのアンサンブルも美しく、クラリネットらしい、大地の息吹き(あるいは神の息吹きか)を思わせる自然な音色が素晴らしかった。こちらの方も名曲の演奏を楽しませていただき、満足である。
今日のコンサートも川久保賜紀さんが目当てで行ったのだが、土曜日の午後、モーツァルトの協奏曲を3曲、しかも室内楽的な緻密なアンサンブルを楽しませていただいた。モーツァルトを聴くと、何故かほのぼのとした気分に浸ることができ、幸せになれる。とくに今日は川久保さんのモーツァルトだったから、幸せいっぱいでした。
1月23日(土)14:00~ 第一生命ホール S席 1回 1列 24番 5,000円
ヴァイオリン:川久保賜紀*
フルート:小山裕幾**
ハープ:吉野直子**
クラリネット:赤坂達三***
管弦楽:N響メンバーによる室内オーケストラ
曲目:モーツァルト:ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219「トルコ風」*
モーツァルト:フルートとハーブのための協奏曲 ハ長調 K.299(297C)**
モーツァルト:クラリネット協奏曲 イ長調 K.622***
第一生命ホールとトリトン・アーツ・ネットワークの主催によるニューイヤー・コンサート。モーツァルトの有名な協奏曲を3曲集めた名曲コンサートである。2週続けて川久保賜紀さんが聴ける、ということで喜び勇んで出かけた。
会場の第一生命ホールは、古い歴史を持つホールだが、2001年に東京・晴海に新設された比較的新しいホールだ。2階席を含む767席の楕円形で、室内楽や室内オーケストラに適した中規模ホール、音響も良く木の内装が美しい。
今日のオーケストラは、N響のメンバーによる室内オーケストラということで、指揮者なし。コンサートマスターの山口裕之さんが牽引する。編成は、第1ヴァイオリン5、第2ヴァイオリン4、ヴィオラ3、チェロ2、コントラバス1、フルート2、オーボエ2、ファゴット2、ホルン2。今日は協奏曲のみのオール・モーツァルト・プログラムなので、これくらいの規模の室内オケが、会場の特性からみても絶妙なところ。非常に緻密なアンサンブルを、上品に聴かせてくれた。
さて、1曲目。ヴァイオリン協奏曲 第5番 イ長調 K.219「トルコ風」。モーツァルトが19歳の頃の作品だけあって、清新・溌剌とした名曲である。今日の川久保賜紀さんは、淡いグリーンのドレスでにこやかに登場。相変わらずエレガントなたたずまいだが、今日はちょっぴりセクシーだったかも。
指揮者のいない室内オケなので、ステージの中心で演奏が始まった。主題を提示するオケは息もぴったり、極めて透明な音色の緻密なアンサンブルが見事で、さすがはN響(?)、抑え気味の管楽器も上手く、弦とのバランスも良い。やはりモーツァルトの音楽はこのような美しい音色が良い。ソロ・ヴァイオリンが静かに入ってくる。今日の川久保さんは、先週のラテン系とは打って変わって柔らかな音色で、モーツァルトの音楽を時に優雅に、時に溌剌と弾く。アイコンタクトを取りながらオケのメンバーを従えてリードしていく姿は、ある種の貫禄さえ感じさせる。その姿はボッティチェリの「ヴィーナスの誕生」のイメージを想起させた(勝手なイメージでスイマセン)。カデンツァになると、その流麗なテクニックと豊かな響きで会場を魅了していた。
第2楽章は緩徐楽章。天国的な美しい旋律が続く。今日の川久保さんはピアノ・ピアニッシモが繊細で見事だった。このようなモーツァルトの協奏曲では元々大きな音を出す必要がないだけに、弱音部分が上手くないと全体のダイナミックレンジが狭くなって、抑揚がなくなってしまう。そのあたりのバランスも素晴らしかった。この楽章も協奏曲風ソナタ形式で書かれており、カデンツァがある。もちろん、見事な演奏だった。
第3楽章はロンドにもかかわらず曲想はメヌエット。モーツァルトらしい18世紀の典雅な響きだ。やはりカデンツァがあるのだが、そこからオケにつなぐところなど、その流れの美しさにBrava!!
やはりモーツァルトということもあって、川久保さんのヴァイオリンは、非常に素直な音色とともに緻密な演奏だった。しっかりとしたリズム感、極めて正確な音程で、アンサンブルを楽しんでいるようだった。時折客席にも視線を向け、聴衆にも語りかけるような表情を見せる。1列目で聴いていたので目が合った時はドキドキしてしまった。やはり川久保さんは最高ですね!!
2曲目は、フルートとハーブのための協奏曲 ハ長調 K.299(297C)。これも有名な曲ではあるが、ナマで聴ける機会はそう多くないと思う。今日は席が、ちょうどハープを真横から見る位置で、しかも4メートルくらいしか離れていないから、ハープという楽器を十分に堪能することができた。もちろん吉野直子さんはハープ奏者の第一人者。指使いだけでなくペダル使いなども興味深く拝見させていただいた。フルートの小山裕幾さんは若手のソリスト。この名曲をそつなく聴かせてくれたと思う。正直言うとハープやフルートのことはよくわからないので、コメントは差し控えさせていただこう。今日はモーツァルトの名曲を楽しませていただいただけで満足である。
休憩をはさんで3曲目は、クラリネット協奏曲 イ長調 K.622。これまた誰でも聴いたことがあるような名曲だ。モーツァルトの最晩年の曲だけに、極めて完成度が高い。クラリネットの赤坂達三さんもこの道の第一人者。この曲のCDもリリースしている。クラリネット協奏曲としては最も有名な曲ではないかと思うが、意外なことに楽譜を見ながらの演奏だった。そのためか、少々盛り上がりに欠ける演奏だったような印象を持った。とはいえ、オケとのアンサンブルも美しく、クラリネットらしい、大地の息吹き(あるいは神の息吹きか)を思わせる自然な音色が素晴らしかった。こちらの方も名曲の演奏を楽しませていただき、満足である。
今日のコンサートも川久保賜紀さんが目当てで行ったのだが、土曜日の午後、モーツァルトの協奏曲を3曲、しかも室内楽的な緻密なアンサンブルを楽しませていただいた。モーツァルトを聴くと、何故かほのぼのとした気分に浸ることができ、幸せになれる。とくに今日は川久保さんのモーツァルトだったから、幸せいっぱいでした。
次のコンサート情報がなかなかあがってきませんが、楽しみです。