にちじょうのわな

ひびのにちじょうとつれづれて

手話日記No.196

2015-11-15 | 手話

調べ物をしていて、以下の少し古い資料を見つけました。
読んでいて、非常に悩ましい限りですが......。
ご参考までに。

------------
演者が経験したいくつかの症例の中から、 一、 二の例を紹介すると、 幼児期から口話法での教育を受け、 専門学校を卒業し、 ある大企業に就職した。 そこには手話通訳がいて通訳をしてくれる。 本人は就職試験も通る程言葉には不自由はなかった。 技術系の仕事なので手話の表現は限度がある。 そして何より本人は手話を知らなかった。 大きな会社は何人かの身体障害者を採用しなければならず、 従って聴覚障害者には手話通訳も置くという、 行政の温かい配慮かも知れぬが、 本人にとっては困った問題となった。 そこで手話の講習会を受けに行かなければならなくなった。 数週間が過ぎて彼は驚きあわてて相談に来た。「今まで声を出して話していたが、 いつの間にか口だけパクパクあけている自分自身に気がっいた。 そして段々本当に声が出なくなっているようだ。 話をする自信がなくなった。」と嘆いた。 そして今度は休日に言葉の訓練を受ける事になった。

第二例目は、 聴覚障害のある女性が、 障害のない男性と家庭を持ち二児に恵まれた。 第一子は何も問題もなく小学校に通っていたが、 第二子が2才近くになっても言葉を発せず、 難聴を心配して来院した。 その時手話通訳として近所の主婦が同行して来た。 母親は明らかに言葉でコミュニケート出来る様に見えたので通訳を介せず話を聞いた。 第一子を育てる時はとなり近所とっき合いもあまりなかったが、 現在のアパートでは近くにボランティアで手話をやっている主婦が居て、 その人の呼びかけで同じアパートや近所の主婦が手話を習い、 この症例の家を訪れてくれる。 第二子は生まれた時から手話をみて育ったため、 手話がことばと思ったためか、 手まねをしようとするが、 音に対して特に話言葉や音声には全く関心を持たなくなった。 父親が帰る頃は眠っている時間であるせいか、 一番長い間時間を過ごす母親との生活に手話が入ってしまった結果である。 乳幼児聴力検査では音刺激に反応もあり結局聴力に問題はなかったが環境の影響であった。 ご近所の人達に手話を一切やめて、 その代わりにその子に母親に代わってたくさん歌を歌ってやったり、 話をしたり、 あそんでやる事が母親への奉仕になる事を説明し協力を求めた。 その後言葉の発達も見た。

Audiology Japan Vol. 39, No. 5, 1996
日常コミュニケーションに於ける手話の役割: その光と影
舩木フキ子 東京医科歯科大学難治疾患研究所 聴覚機能疾患部門

------------





昨日の山!
雨上がりでしたが、山頂は雲が降りてきていて小雨が降っていました☂

最新の画像もっと見る