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【製作裏話的な何か】キメラについて

2014年11月23日 00時09分01秒 | 製作裏話的な何か
 前回と今回でいろんなタイプのキメラが登場してますね。

 今回はそのキメラについてまとめてみようと思います。

 キメラというと一番有名どころは鋼の錬金術師でしょうか?
 キメラという言葉の本来の意味はギリシャ神話に登場する怪物で、ライオンの体に背中から生えた山羊の頭、尻尾に蛇が生えた想像上の動物です。
 キメラはエキドナとその夫テュポーンの子で、兄弟にはオルトロスやヒドラ、ケルベロス、ラドンなどがいます。草のおばさんと鼻息で相手を吹き飛ばす風船みたいな怪物の子供ですね。草のおばさんと夫婦なら、キメラシードを鼻息で吹き飛ばして生息版図を広げるのが便利そうです。
 ところで鼻息を離息と変換するのは一体どういうことなのか。
 ちなみにエキドナとオルトロスの近親相姦の結果生まれてきたのがVampire Killers2で登場したネメアの名の由来にもなったネメアの獅子なんですが、まあそれは置いといて。
 生物工学上、キメラの単語は異なる複数の胚に由来する細胞群から形成された生命体を指し、同一個体内に異なった遺伝情報を持つ細胞が混じっている状態、およびその個体を指します。有名なところでは鶏と鶉の細胞群を複合したキメラですね。
 作中に登場するキメラは人間の胚をベースに様々な生物組織を複合し、薬品を用いて成長に誘導を加えて作り出したものです。

 キメラには量産可能な代わりに繁殖能力を持たないタイプのキメラと繁殖能力を持つキメラがおり、アルカードがステイル・エン・ラッサーレの居城で遭遇した鎧が前者、その後地下工房で遭遇したキメラたちが後者です。

 とりあえずここでは後者のキメラについて。

 作中に登場するキメラは、第一世代のみ調製槽を用いて造られます。
 調製とは人間の胚をベースに様々な生物組織を複合し、薬品や電気刺激等を用いて成長に誘導を加え任意の変化を促すもので、これによって意図した能力や形態を附加するわけです。
 第一世代のキメラは通常実験のために使われ、実際のキメラ群の持ち運びはキメラそのものではなくその体内から取り出した卵を持ち運ぶことによって行われます。
 実際のキメラの群れの誕生は、キメラ卵を母体に植えつけることによって行われます。
 キメラの卵はいわゆる玉子ではなくキメラの胚を分割した受精卵に似たもので、これが胎生生殖生物の子宮に挿入されると胎盤を形成、女性が排卵期にあろうがなかろうが関係無くホルモンバランスを狂わせて肉体を強制的に妊娠状態に変化させ、胎盤を通じて母体から栄養とカロリーを受け取って成長します。
 また、キメラ卵はすでに受精済みの状態なので母体との間で遺伝子の混合は起こらず、したがって生まれてくるのは父親と同じ種類のキメラ、完全な自己クローンです。
 通常の人間の妊娠期間が約十ヶ月なのはあまり成長が早いと母体が栄養とカロリーを奪い尽くされて死んでしまうからですが、作中におけるキメラは戦闘用に調製された生物なので生命活動は早回しにされており、当然妊娠期間も短く、三十分程度で母親(=胎内にキメラ卵を植えつけられた女性)の栄養分やカロリーを根こそぎ奪い取り、最終的には――母親が出産前に死亡することが多いこと、および人間と同じ出産過程が始まる前にキメラが行動可能になる為に――母親の体を食い破って生まれてきます。
 また、キメラは体内で高速で成長するため、母体のカロリーや栄養不足で成長中に死んでしまうことも珍しくなく、そのため出生率はさほど高くありません。アルカードがフランスで城を陥落せしめた当時と今では人間の栄養状態に差があるので、当時に比べればまだ出生率は上がっています。
 以上がキメラの繁殖です。
 このために、キメラが繁殖しようとするときは人間の女性を襲うわけです。ちなみにホテルでのキメラは、ラッサーレが最初に持ち込んだキメラ卵を魔術で催眠状態にした宿泊客の女性の子宮に植えつけることによって誕生しました。作中で言及されてはいませんが持ち込んだキメラ卵の数はフリーザ様、フレイムスロアー、バイオブラスター、ブラストヴォイス、ジェネレーター、ザ・スティックの六種類のキメラの卵をそれぞれ五個ずつ。
 そのうち実際に出産に成長したのは各種類それぞれ一~二体で、ラッサーレが直接取り上げたキメラにのみアミュレットが植えつけられています。
 成長が早い=新陳代謝の速度が速いということなので、キメラはほとんど常にひどい飢餓感に襲われています。そこらじゅうで犠牲者の死体が食い荒らされているのはそのためですね。

 ちなみに当作品におけるクリーチャーのモチーフになっているのは、強殖装甲ガイバーのゾアノイドたちです。さすがにそのまんまというわけではないですが、とにかくこの手のネタに関してはインスパイア受けまくりです。
 と言っても、最近のガイバーの流れは正直あまり好きではないんですが。巨大化はあかんだろ巨大化は。
 キメラだのなんだのというとグリフォンとかそういうのを思い浮かべがちですが、俺は個人的にそういうのが好きじゃないのです。
 先述した現在非公開の他作品にはでっかいドラゴンが登場するかもとか考えていたのですが、ドラゴンは炎ではなく熱波を吐くという設定でした。
 体内に熱交換器を持っていて、周囲の空気を取り込んで熱を取り出し、それを呼気と一緒に口から吐き出す。
 冷気を吐くドラゴンもいたのですが、こちらも体内に冷媒を持つ膨張エンジンと熱交換器を持っており、周囲の空気を取り込んで冷却し、冷気を吐くという設定でした。ちなみにこのドラゴンに関しては、大量の石炭の粉を吸気と一緒に吸い込ませて引火させ、内部から爆発させて斃すという戦い方を考えてました。当時はなかなかカッコいいじゃんとか考えていたのですが、今思い起こすとジョジョがワムウを斃した方法と一緒ですね。
 今回アルカードが海賊船に放火するのに使った石炭の粉は、その設定の名残です。
 本当は石炭の粉塵に引火させて海賊を爆殺だ汚物は消毒だーとか考えていたのですが、強風下の甲板上でそんなもん使えねーよということでお流れになりました。ああん。

 まあそれはともかくとして、作者がグリフォンとか嫌いな理由ですが、いくら考えても噛みつきと引っ掻きしか攻撃方法が思い浮かばないし、ヒポグリフの石化ガスとかも生体組織にどういう変化が起こるのかとか考えて夜も眠れなくry
 それなら一体一体異なる能力を持つキメラに囲まれて戦ってるほうが、書くほうも読むほうも楽しいと思うんですよね。
 ちなみにホテルで対峙した六種類のキメラには、それぞれちゃんと対処法があるんですよ。ありていにいえば、俺は能力の内容から斃し方まですべて考えてからキメラの群れを登場させました

 ブラストヴォイスの弱点は喉か肺。攻撃対象の共鳴周波数をチューニングして、共振現象によって対象を粉砕する遠距離攻撃能力は声を出せなくしてしまえば封じられるし、高速で振動しているために大量の酸素を必要とする高周波数で振動する鈎爪は同様に呼吸を封じてしまえば振動させ続けることが出来なくなる。
 フリーザ様の能力は発生した冷気は確かに強力ですが、それほど遠距離まで届かないし、湿度の高いところでは使えない。ありていにいえば、水をかけただけで強酸のシャワーに早変わりです。名前もネタ入ってたし。生体モーターによるドリルも強力ですが、こちらは大量の酸素を必要とする欠点があります。
 バイオブラスターは珍しく同系統の能力ですね。恒常性を利用しての発熱爪と、放熱を兼ねた赤外線レーザー。そういえばガイバーに出てくるヴァモアというゾアノイドは、ルシフェリンの発光を集束させてレーザー・ビームとして照射する能力を持っていましたが、ルシフェリンのバイオルミネッセンスは極めて効率が高く、熱を伴わないそうです(『冷光』という呼び名まであるそうです)。十五年ほど前に似た様なネタを思いついて、図書館で調べたらその事実を知って、がっかりした記憶があります。
 ちなみに戦場になったホテルは実は帝国ホテルがモデルなんですが、こいつはホテルの洗濯場か空調設備室で斃す予定でした。帝国ホテルには自前のクリーニング設備があって(創業当初からあるそうです)、ボタンがちぎれて紛失したり生地を傷めない様にいったんボタンをはずしてからクリーニング終了後に縫いなおすということまでやっているそうです。
 クリーニングに使う水か、あるいは空調用の温水を周囲に撒くか、スプリンクラーの様に降り注がせれば、水滴による乱反射を起こしてレーザーは役に立たないですから、同じく水と相性の悪いフリーザ様やザ・スティック、ジェネレーターともどもここに誘いこんで戦闘をする予定でした。
 ザ・スティックは近距離攻撃は鞭毛上の鞭で、遠距離攻撃はシアノアクリレート。フリーザ様の能力もそうですが、どちらかというと攻撃に特化したほかの個体に比べると相手の動きを止めてからとどめを刺す戦い方に向いた組み合わせです。
 シアノアクリレートの硬化速度は空気中の湿度によって変化するので、これも洗濯場の様な湿度の高い所とは相性がよくないんですよ。洗濯日和の晴れた日とも相性良くないですけど。
 ジェネレーターは電気ウナギの様な強力な発電細胞を持ち、放電攻撃も可能な個体ですが――言うまでも無くこいつも水が苦手です。

 このキメラの繁殖行動に関する設定、ベルセルク25巻終盤のトロールの繁殖シーンのインパクトがあまりにも強かったことのほか、子供のころに親戚の家で読んだ仮面ライダーブラックRXの単行本が強く影響しています。
 確かあの単行本、どこぞの洞窟かなにかに裸の女の子が大勢捕まってて、なんか蜂みたいな怪物の苗床にされてるんですよね。そして生まれてきた幼虫たちの餌にされてた様な記憶があります。もう何十年か前の話なので記憶もいい加減ですから、実際には仮面ライダーではないかもしれません。
 これに加えて瀬名秀明氏のパラサイト・イヴ原作が強く影響しています。
 彼の作品において、イヴは女の子の子宮を自分と教授の受精卵を受胎させ完全な生物を生むために利用しています。で、その女の子はわずか十数分程度の短時間でイヴの子供を出産しました。
 それを読んだ時思ったんです。
 こんな短時間で赤ん坊が体内で成長し、出産に至るなら、母体になった女の子は蓄積した栄養分やカロリーを根こそぎ奪われて、死んでしまうんじゃないかと。
 ここらへんが影響して、この様な設定になりました。

 あらためてまとめると、自分で書いてて鬱な気分になります。

 ちなみにアルマゲストの城で登場した肉塊は、そのキメラ卵を取り出すための最初のキメラを作り出す実験の被験体です。
 でかい腐りかけた肉の塊に人間の顔が張りついている様なものを想像してもらえればおおむねおkですね。

 今回は書いてて楽しいと同時に、自分で書いてて自分でどん引きするものでした。まあ、現在非公開の他作品の冒頭のシーンなんかも書いてて自分で引いたりしていましたが(その時点でひとり、初見で電プチ)、暴行シーンは順調に残虐さを増していき、香坂戦を書いてるあたりではもはや自分がフラ●ス書院あたりの様な強姦系官能小説や個人的に大嫌いな石原慎太郎の様なポルノ犯罪小説(例・太陽の季節)を書いているのか、それともなにか他のものを書いているのかなんなのか自分でもわからなくなる有様で、自分がこんなもん思いつくんだなあと鬱になったりもしましたが。
 魔術に狂った人間たちのおぞましい所業みたいなものが表現できていればいいのですが、今回に関しては読んだ人たちが読後に気分が悪くなる様なら成功したと言えるでしょう。

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