サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

2013 最後のお願い

2013年12月22日 | プロ野球ぬりえ

開催中の「プロ野球ぬりえ2013 ~新たなる希望~」展にお越しいただいた皆さんとお話しながら、
だんだんと、自分でも気付いていなかった、この作品の意味が分かってきました。
楽天からスワローズに移籍して4年、一昨年の優勝できそうでできなかったことや、
それから僅か2年で最下位に転落したことも含め、全ては必然だったと思うことにします。
この辺りのことは、しっかり説明しておかなければいけないだろうということで、
今年もまた展覧会最終日の28日に「一人語り」をさせていただきます。
昨年、“引退会見”と銘打ち、延々喋り続け、結果的には引退を撤回してお叱りを受けた、あの会見を再びです。
10分ぐらいで済ませるつもりですが、ひょっとするとまた長くなるかもしれません。
ご興味おありの方は是非お越し下さい。
今回も野球DJ「プロ野球 音の球宴」のお二人…ではなく、今回はお一人、
ヨシノビズム・アローンver.で、盛り上げていただくことになりました。18時ごろ~
Ustream配信については只今、調整中です。

それと28日には、展示中の、ながさわが選ぶベンチ入りメンバー28人パネルを希望される方に差し上げます。
もしくは24日、出来れば外出したくない、出るのがとっても憂鬱なクリスマスイヴの火曜日に在廊している僕に、
その旨言ってもらえれば展覧会終了後に郵送します。
いくらかカンパして下さいませね。
これまでにも自ら「欲しい」と申し出ていただいた方には差し上げる約束をしております。
ですので、現時点で以下の選手については行き先が決まっておりますので悪しからず。
ロマン、八木、中村、山本、山田、川端、宮本、ユウイチ

但し、このパネルはこの展示用に作ったものなので、それほどしっかりした作りでないこと、ご了承下さい。
(タンスに閉まっておくようなものではなく、部屋に飾ってナンボという意味です)

今週は、火土曜のほか、少し遅れるかもしれませんが木曜も在廊します。
皆さま、どうぞ宜しくお願いします!

 

さて、きのう、また新たな展示品が加わりました。
ひとつは、ホワイトセルのバット!
S 53の刻印入りです。
ロッテではなく、メイクミルミル時のもの。あ~、あの時は打ったな~な感涙ものです。
「ウチでホコリを被ってるよりもいいだろうから」とお持ちいただきました。
だからと言って、僕に渡しちゃっていいものなのか、少々戸惑いますが、
これは何かを託されたんだと理解しました。
ありがとうございます!

そしてもう一点。これも凄いですよ。
“宮本慎也引退記念メモリアルプロ野球カード”
手刷りのシルクスクリーン、15版刷りの一品です!

 10.7×7.6cm

〈ウラ面〉

これは東京造形大学2年の青柳有美さんの作品。
スゲーぞ、青柳ちゃん!

僕は今年、東京造形大の絵画専攻領域で非常勤講師をしていたのですが、(呼んでもらえて嬉しいっス…泣)
とは言え、担当が1年生だったので、彼女とは授業を通じてのやりとりはしていないのですが、
「野球をテーマに制作してます」と打ち明けられ、「ならば」と、ちょこちょこと話だけはしてて、
ま、「巨人ファンです」とのことでしたけど。。。
しかし!
そんな彼女が、ヤクルトの宮本カードを作ったという… 「あげます」って。
おおお~!!!

大学での講評会にも、これを提出したみたいです。偉い! 即、展示しました。
いや、これ、分かってもらえますかね~
もの凄い労力、かかってますよ。
版画と言いつつ、何十枚と試作や失敗を繰り返し、そして残った一枚だろうと推測します。
しかも刷った後に、おそらくは震える手で慎重に厚紙に張り合わせたのであろう労作。

 厚み、あります。

なんという愛おしさ。もはや工芸品だね。
もう、きのうの晩から触りすぎて、角とかが少し擦れてきちゃって。マズい、マズい…
でも、こうやって触ることで、モノとしての魅力が膨らみます。
きのうは、いい時間を過ごせました。

ちょっと長くなってしまいますが、偉ぶって美術講師っぽく言わせてもらうと、
現時点でこの作品から受け取るメッセージは、もしかすると極々小さいものかもしれませんが、
(そんなこともないけどね…)
しかし、版画家としての自分の経験からこの作品の背景を含めて考えると、
やはり、もの凄い可能性を感じてしまうわけです。
大学で版画を勉強して2年、おそらく現時点で彼女の持てる技術を結集し、ようやく完成した作品でしょう。
まずは、そのことを思い、感動。
次。ここでの苦労は、次の作品では楽々とは言わないまでも、すぐにクリアできるようになります。
ひとつ手にした技術によって、次の作品に着手するときには少しばかり成長している自分に気付く。
作品に対する考えも近視眼的なものから、より深く広がりを持ち始める。期待値、高いッス!
もし今ピンと来ずとも、次かその次、近い未来に「スゲ~」って、みんなが思える作品が待ってますよ。
その起点となる作品。その可能性を信じて、今、できたてホヤホヤを見ておくことをオススメします。
あとになって見とけば良かった~なんて言っても知らないよ~

どうです? 彼女の作品、次のも含めて見たくなるでしょ?
言ってしまえば、これが “現代美術”というものでしょう。

何かのきっかけから、ある作品と出会い、何か引っかかったら、その作り手の次の作品も見に行ってみましょう。
その時に、自分の中で引っかかったものがなんだったのかが分かるかもしれません。
分からなくても、何かまだ引っかかるようなら、次の次の作品展も見に行きます。
何か分かるかもしれません。作品について分からないまでも、その作家について少し分かるようになります。
そして思ったことを伝えればいいと思います。
作品は一人の作家が一人で完結させるものではありません。
他者と交わることで変化していくものです。
それを支えているのは、見る側の視線であることをお忘れなきよう。
何も話さないまでも、毎回来られる方のことは芳名帳などで確実に認識していますし、
その方が見にきてくれなくなれば、それは一つのメッセージとして受け取りもします。

長くなってきたけど、もう少しだけ。
“宮本カード”に話を戻しますが、ここでこうやって記したことで、何人かの人が彼女を知ります。
彼女は、その目を少しだけ意識して制作する。
そこにはある種の共犯関係が生まれます。期待してていいと思います。楽しみ。

「プロ野球ぬりえ展」も同じです。
お客さんが入ってくる。作者である僕は多少構える。しかし、あれこれと話しかけたりはしない。
我関せずというフリをする。ある種の緊張感は無くさなければならない。
お客さんも「どうやら押し売りとかは無さそうだ」と安心して作品に向き合う…
そうなれば、まずひとつクリア。あとは、お客さん次第。
当然、数秒で出ていく人もいる。1時間以上かけて見ていく人もいる。
感想を言われる方、何も言わずに去っていく方、様々だけど、
その全ての目が自分にとって重要な意味を持ちます。
僕自身の緊張が消えることはありません。手のひらは汗でびっしょりです。
どうしても話さなければいけない人が2組、3組と続き、結局話せず終いということもある。
「しまった~」と思う。
誰もいないときは何時間も誰も来ません。一人ポツネンと「オレの絵はダメなのか!」と、ごちる。
個展は自分自身と向き合う場であり、人にジャッジされる場でもあります。
とにかく、見てもらえなければ何の意味もありません。是非、見にきて下さい。

「個展、おめでとうございます」と挨拶されたりもしますけど、おめでたいのは、
我が身をさらしものにしなければならない自分自身です。
なんて職業でしょう。食えないし…
でも、小さな“希望”が絶えず、すぐにも手が届きそうなその先に見えてるんです。
それは作品を発表し、自分をさらけ出なければ見えて来ないものです。
皆さんの目、だけが頼りです。
たとえ今はピンと来なくとも、次は分かりませんよ!
継続して見てもらえたら、この作品の“芯”が見えてくる筈です。

長くなりました。この調子だと最終日の“お喋り”も長くなりそう…
では残り5日間、どうぞ宜しくお願いします!

 

 

ながさわたかひろ展「プロ野球ぬりえ2013 ~新たなる希望~」

会期:2013年12月3日(火)~28日(土) 12時から19時 ※日月休
場所:eitoeiko
   〒162-0805 東京都新宿区矢来町32-2  
   Tel.03-6479-6923


※ 東西線・神楽坂駅からギャラリーeitoeikoまでの《 順路 》(2011シーズンの再録ですが参考にして下さい)



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