サンデーたかひろ

絵描き・ながさわたかひろの制作実況 “from Machida, Tokyo”

野村セオリー絆刊行記念サイン会の御報告です

2006年12月14日 | 野村克也
行きの電車の中では、色々と込み上げてくる思惑のためか、立眩みするほどでした。
現地に到着したのが18時5分。すでに100人前後の人が並んでいます。
まずは気を落ち着けるためにも、生ノムを拝まなくてはなりませんよね。
…居ました、いました。
一冊一冊、丁寧に毛筆(筆ペンだったかもしれん)でサインをする野村監督。希望者には宛名入りです。
本はノムさんから沙知代夫人に渡され、「絆」の文字が書き加えられます。
これも内助の功の現れか、文字がやたら大きい。
整理券は事前に貰ってあるので、ここで暫く様子を伺うことにしました。(ノムさんまでの距離 1.5m)
写真撮影自体は、容認されているようです。事前にカメラを渡せば、係りの方が夫妻との3ショットを撮ってくれます。

現在のプロ野球界を憂えた発言をする小父さんや、ご夫妻の健康面について感嘆する小母さん、南海ホークスの帽子を被り、選手としての野村克也を賞賛する(何年前の話じゃ?)いかにも怪しい人、色々います。
けれども、不思議なことに楽天カラーのエンジ色が見当たりませ…ん?否、居たいた。白地にエンジでEAGLSの文字が小さく刺繍されたグランドコート(白地にエンジ色はホーム用ユニフォーム)を羽織った人が!控えめだけど、しっかりした自己主張を感じます。上着だから、おそらく家から着用してきてるんだもん、この方は本物です。
僕はと言えば所詮小物なので、現地に到着してから着替えました。流石にこの姿で電車には乗れないもんな。
でもね、色には拘りますよ。ここはもちろんビジター用のユニフォームで!もちろんエンジ色ですよね。
さぁ、では並ぼ並ぼ。ノムさんとのやり取りをイメージしつつ、列の最後尾へ向かいます。

30分以上並んだかな?いよいよ近づいてきました。
ノムさんの横顔が見え隠れし始めます。
今日なすべきことを確認しましょう
 その1 作品(93年ヤクルトV2)を渡すこと
 その2 どれだけイーグルスを愛しているのかを伝えること
 その3 ノムさんを描くことを、僕の春季キャンプにしたいこと
 その4 その3のための資料となる、写真を撮らせてほしいこと
 その5 最終的には、「楽天ユニフォーム姿の野村監督を描かせてほしい」こと!

…分かりました。さぁ、僕の番です。
僕が近づいていくと、報道陣か書店スタッフの撮影隊がにわかに動き出しました。
楽天一色の馬鹿野郎とノムさんの構図はそこそこ絵になるってことだろうけれど、無視無視。
さぁ本番、よ~いぃぃ、スタート!

「宜しくお願いします!僕の名前は永澤孝博です。絵描きをしております。野村監督の野球観を人生の指針とし、日々これ精進致しております。今日はひとつお願いがあり、馳せ参じました。楽天監督としての野村克也の御姿を、今日この日の出会いを元として描くことを了承して頂きたいのです。僕の春季キャンプです。来シーズンの開幕に合わせて、しっかりと描き込む所存です。御快諾下さい。今日は、僕が最も熱中した野村ヤクルトV2当時の優勝ビールかけシーン、満面の笑みで喜ぶノムさんの図をお持ちしました。これは今シーズンの開幕前、楽天の優勝祈願にと描いたものです。どうぞ、どうぞひとつ貰ってやって下さい!写真を撮らせて下さい。お願いします。」
 
こんな感じだったと思う。一気に話した。
監督はそんな僕に一瞥くれることもなく、淡々と筆を走らせる。聞こえてないのかな?
周りのスタッフは、唖然としている。
永遠の如く長く感じられる沈黙。
撃沈。あァァァ
…!そこへノムさんの一声。
「オマエ、楽天に入ればイイんじゃないのか?フフッ」
おおっ、喜んで良いのかどうかはさて置き、会話は成立してる。「よし!」カメラに手をまわす僕。
しかし!そんな僕を尻目に夫人から鶴の一声
「アンタ、他に待ってる方が居られるんだから、ダメよ」
こんどこそ撃沈。朦朧とする僕。そこへ夫人、隣を指差して
「ここに座ってなさい」
おっ?ハイ…
この後、僕は沙知代夫人の隣にちょこんと座ってサイン会を見届けることになりましたとさ。

<おしまい>



いやいや、まだ写真は撮れてませんからね。
でもね、そこに座りながらね、カツノリの引退セレモニーで息子の頭を撫でなでしてる、あのサッチーの姿を思い出しました。
それにしても、これは面白い図だろうな。サッチーの横に座ってる楽天姿の僕。
写真を撮りたかったな。誰か撮ってないかな?

でね、最後の人のサインを書き終えたところでスタッフの挨拶があり、その場はお開きとなったんです。
拍手の中、僕に「ほら、アンタの番だよ」という言葉をかけて、そのまま場を下がるサッチー。嗚呼、そうかぁ、そうだったかぁ…
「はい、ありがとうございます!」

残されたノムさんを前に、震える手でカメラを構える僕の図が今日のUP写真です。(ノムさんまでの距離 0.5m)
少し逆行気味ですが、フラッシュは使いません。その場の空気感を大切にしたいからです。
ここではこの状況が反映された写真が欲しいわけで、その微妙な緊張感も含めて写真に取り込まなきゃね。
綺麗な絵を描きたいわけじゃないからさ。
自らの手で資料を得る、ってのはそういうことなんだ。自分が試される、怖い怖いこと。

写真は合計6枚撮ることが出来たのですが、その内の4枚は手ブレとピンずれのために、トホホな状態でした。
でも、これが今の僕の限界なんだね。やるべきことはやったんだもんな。
だからこの微妙な写真を以って、僕は春季キャンプに入りますよ。
シーズン開幕前に球団宛に郵送することも伝えてある。それが「その5」の布石になるんだよ。

撮影中、ノムさんが言ったんだ。「葬式用の絵も描いてくれよ」って。
「何を言ってるんですか!まだまだ監督には頑張って貰わなきゃ!」とか言うところだったんだろうけどね、
でも舞い上がってたし嬉しくなっちゃってさ、「描きます描きます!任せてください」って答えてたの。
ノムさん、「ふざけるな!まだ死なないよ。フフッ」って笑って去って行ったよ。


以上、お粗末さまでした。

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