大江健三郎の作品を初めて読みました。ちゅーか、文学の本を買うのも10年くらいぶりかも! (他のジャンルの本は結構買ってるんですが)。
前から一生に一度は読んでもいいなとは思ってたんですが、どうも大江センセの本は難解というイメージがありまして。
そこへ1月中旬の新聞広告に「平易な文章で達成した」とあったので、私が室内プールのサイトを立てていることもあって「水死」というタイトルも気に入り、早速会社帰りに本屋に寄って買ってみたわけです、はい。
しかし売り場を見つけるのに非常に苦労しました。大きな書店でしたが、あんな端っこでしかも隠すように陳列しなくてもいいだろうに。曲がりなりにもノーベル賞作家なんで。

登場人物の整理から。だいぶ読み進まないと正体がワカラン人らも多いのですが、一連の大江作品を読んでる人にとってはお馴染の方も多そうです。(と、あとから気づきましたとさ。)
【登場人物】
長江古義人
小説家。文学の世界的な賞を受賞している。70台半ば。幼少時の呼び名は「コギー」。
アサ
古義人の妹。元病院勤務の看護師。愛媛県在住。近くの古義人の愛媛県の別邸「森の家」を練習場として利用できるよう便宜を図るなど、穴井マサオの劇団を支援している。夫は「中学校長」(故人)。
多麻吉
アサの息子。苗木を栽培する職人。
母
古義人の母。過去に古義人が書いた「みずから我が涙をぬぐいたまう日」の内容に怒り、確執を残した。10年ほど前に亡くなる。
父
古義人の父。手工業を営む傍ら、若い将校らと影の思想結社まがいのことをしていた。古義人が9歳のとき、短艇で増水した川へ出、水死体となって発見される。
塙吾良(はなわごろう)
映画監督。古義人の高校時代の同級生で親友。故人。
千樫(ちかし)
古義人の妻。吾良の妹。
アカリ
古義人の息子。作曲家。知的障害とてんかんの発作を持つ。
真木(まき)
古義人の長女。長江家の事務や経理を担当する。
ウナイコ
劇団の幹部で女優。30台半ば。小柄で魅力的な容姿だが、演技や演出は危ういほど過激。
リッチャン
劇団の事務員。ウナイコの親友。
穴井マサオ
古義人の小説を戯曲化している劇団を主宰。劇団名「穴居人(ザ・ケイヴマン)」は吾良が名づけた。
大黄(だいおう)さん
古義人の父の弟子。農場主。「錬成道場」を開いていたが解散した。快活な大阪弁風の方言の話者。隻腕。
【舞台】
成城
東京都世田谷区。古義人の一家が住む。
松山
愛媛県松山市。「穴居人」のメンバーの多くがそこに住む。古義人や吾良が通った高校がある。
谷間
古義人の故郷の村(現在は町と合併)のアサの自宅や「森の家」がある一帯。
森の家
古義人の別邸。地元にいるアサが管理している。
本町
町の中心市街地。松山空港から車で1時間半ほど。古義人が1年間だけ通った高校がある。
川筋
古義人の生家、生家近くを流れる川沿い。
【荒ーいあらずじ】
母の死から10年たとうとするある日、古義人にアサから電話があり、遺言により預かっていた母の「赤革のトランク」を渡したいという。古義人は父の水死を題材にした小説を書きたいとかねてより願っていたが、トランクを古義人に渡すことを拒む母が障壁となり果たせないでいた。トランクには「水死小説」を書くための材料、すなわち父の死の謎を解く品々が詰まっているはずだ。
【感想】
はっきりいってこれでも私には難解でしたが。読めない漢字が次々と出てきて(笑)。
しかし2週間以上掛けて読んでしまうと、やぼなコメントは不要な小説。売れているかどうかは別として‥。
途中非常に退屈でたまりませんが(演劇に関する描写や議論が多く、あまりそれに興味が沸かなかったので)、でも電車の中で何度も寝てしまいつつも、そのたびにしおりだけはしっかり挟んで、飛ばさずに読んでよかったと思います。
なぜならば、5分の4の穏やかな展開は、急加速するラストのためにあります。
読み終わって胸に残る、すっと抜けたような、しばらく動けなくなるような、そんな空白感。
「新しい代表作」かどうかは私にはわかりません。しかし「小説としての面白さ」は確たるものです。
前から一生に一度は読んでもいいなとは思ってたんですが、どうも大江センセの本は難解というイメージがありまして。
そこへ1月中旬の新聞広告に「平易な文章で達成した」とあったので、私が室内プールのサイトを立てていることもあって「水死」というタイトルも気に入り、早速会社帰りに本屋に寄って買ってみたわけです、はい。
しかし売り場を見つけるのに非常に苦労しました。大きな書店でしたが、あんな端っこでしかも隠すように陳列しなくてもいいだろうに。曲がりなりにもノーベル賞作家なんで。

登場人物の整理から。だいぶ読み進まないと正体がワカラン人らも多いのですが、一連の大江作品を読んでる人にとってはお馴染の方も多そうです。(と、あとから気づきましたとさ。)
【登場人物】
長江古義人
小説家。文学の世界的な賞を受賞している。70台半ば。幼少時の呼び名は「コギー」。
アサ
古義人の妹。元病院勤務の看護師。愛媛県在住。近くの古義人の愛媛県の別邸「森の家」を練習場として利用できるよう便宜を図るなど、穴井マサオの劇団を支援している。夫は「中学校長」(故人)。
多麻吉
アサの息子。苗木を栽培する職人。
母
古義人の母。過去に古義人が書いた「みずから我が涙をぬぐいたまう日」の内容に怒り、確執を残した。10年ほど前に亡くなる。
父
古義人の父。手工業を営む傍ら、若い将校らと影の思想結社まがいのことをしていた。古義人が9歳のとき、短艇で増水した川へ出、水死体となって発見される。
塙吾良(はなわごろう)
映画監督。古義人の高校時代の同級生で親友。故人。
千樫(ちかし)
古義人の妻。吾良の妹。
アカリ
古義人の息子。作曲家。知的障害とてんかんの発作を持つ。
真木(まき)
古義人の長女。長江家の事務や経理を担当する。
ウナイコ
劇団の幹部で女優。30台半ば。小柄で魅力的な容姿だが、演技や演出は危ういほど過激。
リッチャン
劇団の事務員。ウナイコの親友。
穴井マサオ
古義人の小説を戯曲化している劇団を主宰。劇団名「穴居人(ザ・ケイヴマン)」は吾良が名づけた。
大黄(だいおう)さん
古義人の父の弟子。農場主。「錬成道場」を開いていたが解散した。快活な大阪弁風の方言の話者。隻腕。
【舞台】
成城
東京都世田谷区。古義人の一家が住む。
松山
愛媛県松山市。「穴居人」のメンバーの多くがそこに住む。古義人や吾良が通った高校がある。
谷間
古義人の故郷の村(現在は町と合併)のアサの自宅や「森の家」がある一帯。
森の家
古義人の別邸。地元にいるアサが管理している。
本町
町の中心市街地。松山空港から車で1時間半ほど。古義人が1年間だけ通った高校がある。
川筋
古義人の生家、生家近くを流れる川沿い。
【荒ーいあらずじ】
母の死から10年たとうとするある日、古義人にアサから電話があり、遺言により預かっていた母の「赤革のトランク」を渡したいという。古義人は父の水死を題材にした小説を書きたいとかねてより願っていたが、トランクを古義人に渡すことを拒む母が障壁となり果たせないでいた。トランクには「水死小説」を書くための材料、すなわち父の死の謎を解く品々が詰まっているはずだ。
【感想】
はっきりいってこれでも私には難解でしたが。読めない漢字が次々と出てきて(笑)。
しかし2週間以上掛けて読んでしまうと、やぼなコメントは不要な小説。売れているかどうかは別として‥。
途中非常に退屈でたまりませんが(演劇に関する描写や議論が多く、あまりそれに興味が沸かなかったので)、でも電車の中で何度も寝てしまいつつも、そのたびにしおりだけはしっかり挟んで、飛ばさずに読んでよかったと思います。
なぜならば、5分の4の穏やかな展開は、急加速するラストのためにあります。
読み終わって胸に残る、すっと抜けたような、しばらく動けなくなるような、そんな空白感。
「新しい代表作」かどうかは私にはわかりません。しかし「小説としての面白さ」は確たるものです。
