「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

縫いもの

2008年07月06日 | 遊びと楽しみ
 手仕事が好きで、10代のころから親しんだ木彫、布を用いた小さな細工物や、皮細工、草木染めと、移り気な性分は興味を持つと次から次でした。

 自分の身に着けるものも、大方は自分で本を頼りに制作してしまいます。これは必要に迫られての作業で、今も続いています。妹や、世話になる義妹にも届けて、一応、喜ばれています。
 2年ほど前は、風で飛ばない帽子の制作に励んでいました。自分の分は、スカートを縫った残り布でお揃いにして、ITサークルにもかぶって出かけて好評でした。冬の室内ガウンも、販売されているものは丈が短いので、自分で作った好みの柄物です。

 日ごろの、がさつな挙動を知る友人や、殊に幼い日からの気短な所業を見てきた親戚の者たちには、レース編みの作品と私の像が結びつかないようで意外な顔をされます。

 夏のものは、外出着も、フォーマルのレースのツーピースまで自作です。布もデザインも自作なら自在ですから。
 先日、奈良で世話になった妹が、私がくつろぎ着にしていた、絣に大胆な古風な柄が入った片身がわりが気に入って、自分も欲しいといっていたので、染めの注文を出していました。やっと届いたので一気に縫い上げました。(写真 右)

 正規の洋裁教育を受けていない分、発想も自在で、布地屋さんが、まさかと、驚くようなことをやっては、得意になっています。着分で買った残り布に他の布を合わせてもう1枚の生産をしてしまうのです。これは余り布の利用ですから大胆な試みが出来て、時には本命より良いものが出来ることもあります。

 私のこの余技は、周りに日本人が居ない海外暮らしの良い支えになってくれました。
 退屈しのぎに作ったタオル利用のぬいぐるみは、プレゼントした子供に大喜びされ、親のほうが欲しがって、もう一つ作る羽目になりました。
 言葉の通じない壁を越え、遂には、ミシンが遊んでいるからと届けられて、にわか教室をやらされました。
 暇をもてあます奥様方とのコミュニケーションは、会話の勉強にも役立ってくれて、足の骨折の折には皆さんに随分世話になりました。
 今も、当時「ピンタ」と呼んでいた白地の陶器に自分で絵を描いて焼き付けた果物皿や、デミタス・カップが名残をとどめています。

 雨の日の仕事には、縫い物は伸縮自在に時間が使えるし、目の前に形が見える達成感もあり、うってつけの楽しみです。
 どうやら、早い梅雨あけのようです。暑い日々は縫い物には向かないのですが、ミシンのご機嫌が良いので、しばらくは縫い物に精を出すことにします。

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オンマウスで2枚入っています。

守一の「水滴」

2008年07月03日 | 絵とやきもの
 2枚だけ持っている熊谷守一の絵のうち、「水滴」と題されたこの1枚(シルク)は、私の好きな絵です。
 家人や、来訪者はいろいろと評しますが、好きなものは好きなのですから、仕方がありません。私には童謡のメロディが聞こえてくる絵です。

 1日中雨を眺めて、あるいは蟻を見つめていて飽きることのなかった守一が捉えた水滴は、庭先の水溜りに落ちてくる雨あしでしょうか。
 浅い水溜りに沸き起こるメロディーを楽しみながら描いています。

 ここまでくるとイラストに近く抽象化されていて、しかも迷いのない確かな線と形です。それでいてどこかユーモラスでさえあり、ほのぼのとしたものがあります。
 文化勲章受賞内定を辞退し(1967年)、72年には勲三等の叙勲内示も、「お国のために何もしたことがないから」と辞退した守一らしい、肩の力が抜けた絵と思います。それが子供の描いた絵に通う素朴さを感じさせるのでしょう。
 こんな境地での絵は、俗物の典型である私には、死ぬまで描けそうにありません。たとえ守一と同じ97歳までの高齢を生きたとしてもこの境地には到達できないでしょう。守一は、生きる姿勢も、そのスタンスも桁外れの人ですから。

 この季節の私のささやかな贅沢は、守一の「水滴」を自分の部屋にかけて、存問を交わすことで,充分に満ち足りています。

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    オンマウスで2枚です。

北海道の夏鳥たち

2008年07月02日 | 旅の足あと
 名前だけは耳にしたことのある“北海道の夏鳥”の映像が届きました。
 MAILの記載によると、6月12日から18日までの期間を探鳥されたようです。
  
 すっきりしない7月の雨の日々です。梅雨のない北海道の夏鳥たちを眺めて、しばしのさわやかさをお楽しみください。最新映像のおすそ分けです。

 探鳥に出かけるのは、朝4時。気温は6度と記されています。
「朝霧が消えると視界一杯に新緑が広がり、北海道の大自然」に感動しながら、偶然がもたらす、幸運に恵まれた撮影だったようです。


 上から順にエゾフクロウ 苫小牧にて。シマフクロウ 養老牛にて。クマゲラ 小樽にて。ヒナをつれたエゾライチョウ。 野付半島、根室、釧路と探鳥の旅も広範で驚きます。
 愛鳥家の方たちの鳥に遭いたいがための熱意には感服します。この熱意があってこそ、いながらにして、珍しい鳥たちを目にすることが出来るネット社会の恩恵です。
 費やされた膨大な時間と経費を思いながら感謝して楽しませていただきました。