「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

ワインの年齢

2005年02月27日 | 遊びと楽しみ
エッセイスト玉村豊男さんのエッセーの中に、嬉しい言葉を発見しました。「フランスでは、古い樹のブドウから造られるワインが高級品として珍重される。若く樹勢の強いブドウの樹からはたくさんの果汁が取れるが、それは凡庸なワインにしかならない。有名メーカーの中には、若い樹のブドウからできたワインは二級品として売り、五十歳以上の樹から造ったものだけをブランド品として認める、というところもあるくらいだ。一生の間に得たものを凝縮して搾り出すわずかな量の果汁が、滋味豊かで香り高い、素晴らしいワインを生むのである。若いうちはただ元気なだけで内容がない。人間も、五十歳を過ぎてからようやく充実してその真価があらわれる。」
 時間と共に熟成されていくワインやチーズはもちろん、人間の熟成にも50年と言う時間が必要と言うことでしょう。そして、若いことにのみ価値があり、歳を重ねていることはまるで悪いことででもあるかのような扱いをする近頃の風潮に一矢報いる発言でしょう。若いは決してほめ言葉ではなく、まだ未熟ということでしょうか。すっかり楽しくなってしまいました。
 胸を張って、乏しいながらも年数だけは十分に熟成?されたはずの果汁を、いささかでも還元しなくてはと、元気が出てきました。

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1 コメント

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Unknown (ba-ba)
2005-02-27 15:03:34
年寄りのマイナス面ばかりが思い当たり、数え上げては悲観していました。

本当に若さには羨ましく憧れますが、時間を戻すことは出来ません、貴女のブログを見て少しだけ救われました。