「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

水墨画の巨匠たち

2008年05月18日 | 絵とやきもの

 五月晴れの好天に、小倉で所用があるから、ついでに門司港の出光美術館まで足を延ばさないかと、運転手に御用の声がかかりました。
“水墨画の巨匠たち”と題した展覧会が、後期の展示替えになっているのに気づき、折角のお誘いなので出かけることにしました。

 土曜日で、いつもよりは人が多かったようです。サブタイトルにいうように、「雪舟・長谷川等伯から富岡鉄斎まで」、ほかにも、浦上玉堂、谷文晁、田能村竹田、宮本武蔵、狩野元信、俵屋宗達、おまけが、博多の代表、仙和尚の小品3点で、端渓の硯、翡翠の筆洗といった文房具なども出ていました。

 宗達の虎と龍を描く双幅は、墨一色の世界でも圧巻です。虎が上から下を大きな目玉でにらみ、龍のほうが下から上を仰ぐ逆転の配置も面白く、表情が独特の親しみやすさです。よくみると、たらしこみの技法もなかなか細やかな配慮がありました。(チラシの右下)もう1枚の小品「神農」は、異容の風貌を、見慣れた宗達とは異なる繊細な表現で描きこんでいました。谷文晁の大幅も大胆な斜めの白地を残した風雨の表現が印象に残ります。
 鉄斎の豪放な、「居無如静図」「高士弾琴図」竹田の線描の菊、等伯の竹に鶴を配した屏風絵の余白の訴える力など、学ぶところが多い小さな展覧会でした。
 例によって、鑑賞の緊張を、会場の仙和尚の小品、蛙、や、田植え歌がほぐしてくれました。招待券をくださった朝日新聞さんに感謝です。

宗達の虎はここから。