「もののあはれ」の物語

古き世のうたびとたちへ寄せる思いと折に触れての雑感です。

右か左か

2008年03月04日 | 遊びと楽しみ
 右か左か、といっても、思想信条といった難しい話ではありません。
 雛飾りの内裏様の、親王様の位置のお話です。
 今は、向って左が男雛で、右に女雛が飾られるのが一般的です。我が家では、先代が飾っていたように、逆に右に男雛、左に女雛で飾っています。
 この、いただいた葉書の享保雛(遠山記念館所蔵・江戸中期)と同じです。

 これは、雛の方を基準にすると左の位置になります。つまり、伝統的にわが国では左をもって上位としてきたところからだといわれています。
 官職を左右対称に区分した時の左が、右よりも上位でした。つまり、左大臣が右大臣よりも上席ということです。
 京都御所は南に向っていますが、御所から左側が東で、左京。西側が、右京です。

 ”左団扇”は安楽な暮らしを言いますが、”左前”は、経帷子の死者の着付けで、左の袵の上に右の袵を重ねた着方です。ここから、物事が順調に行かなくなったこと、金回りや、商いがうまく行かなくなることをいいます。
 一方、”右肩上がり”、”右腕と頼む”、”右に出るものがない”と、今日では右のほうが優勢です。雛飾りも左右が入れ替わったのも頷けます。
 ちなみに、”左遷”のように、中国はじめ、外国では右を上位とする習慣が多いので、昭和に入ったころから、入れ替わりが行われたようです。
 そろそろ、我が家でも位置の移動をと考えますが、見慣れた位置は動かしがたくて、今年も旧来の通りに、3月に入っての雛飾りです。今月いっぱい飾っています。